第三十四話「四対十五」
俺とアオを狙って海賊が襲撃してきた……て、本当ですか?
「はい。どこから情報が流れたのか、先程の亜光速航行が終了したのと同時に海賊の襲撃を受けました」
「外の様子がどうなっているか分からないの?」
「少々お待ちください」
ピピッ。……ヴゥン。
アオに短く答えた緋乃が手に持っていた端末を操作すると、客室の上空に画面が現れて外の様子を写し出した。画面には海賊達が乗っている小型の航宙艦五隻と十五体の無手型機甲鎧が映っていた。
これが海賊達の戦力か。こちらの戦力はどれくらいですか?
「え? あっ、はい。この船には上位の侍が四名、青火姫様と日善様の護衛についており、今から御手型機甲鎧で出撃するところです」
緋乃が言うと、彼女の言葉を証明するかのように画面に映っている俺達が乗っている航宙艦から、四体の御手型機甲鎧が出撃した。
海賊の戦力は小型の航宙艦五隻に無手型機甲鎧が十五体。
こちらの戦力は航宙艦一隻に御手型機甲鎧が四体。
戦力の質はこちらが上で、数は海賊が上、総合的にはこちらが不利といったところか。いくら御手型機甲鎧の方が無手型機甲鎧より強力だといっても、あの数の差は大きいだろう。
あの、他の護衛はいないのですか?
「いえ、それが……他の護衛達は丁度囮部隊の方に回っていて、そちらも海賊達の襲撃を受けているらしく、こちらまでこれないようです……」
緋乃が言うにはその囮部隊と護衛がいる場所はここから何光年と離れていて、海賊の襲撃がなくてもそう簡単にこちらにこれないそうだ。
「ふ~ん。海賊達も馬鹿じゃないみたいね。……でも私とカズトを捕まえるのによこしたのがたったあれっぽっちだなんて……随分と甘く見られたものね」
申し訳なさそうに言う緋乃の言葉にアオが目が笑っていない笑みを浮かべる。……笑顔からにじみ出る寒気がこちらまで感じて正直怖い。
「い、いえ。青火姫様と日善様はまだ正式に侍に認めてもらっておらず、天文帝国から『大装機甲鎧』を与えられていません。……恐らく海賊達にすればこれが青火姫様と日善様を捕らえる最初で最後の機会なのでしょう」
冷や汗をかきながら言う緋乃の言うとおり、海賊達にすれば俺達を今以外に捕らえる機会はないのだろう。そしてアオと俺、神霊とそれを宿した人間を捕らえれば、海賊が得られる利益は計り知れないはずだ。
そう言っている間に、客室の上空に浮かぶ画面の中では海賊達と護衛達の戦闘が始まっていた。




