第三十三話「襲撃」
『亜光速航行が終了しました。次の亜光速航行は五時間後を予定しています』
帝星へと向けて学園都市惑星ミチマサを旅立った次の日。俺とアオがいる客室に放送が聞こえてきた。
放送にあった亜光速航行というのは、航宙艦全体をZINの障壁で保護してから光速の数倍の速度で移動する特別な航行法のことである。機体にかかる負担と消費されるZINの量が高すぎるため一度に数分間しか行えないのだが、それでも光速の数倍の速度で移動した距離は大きくて、今この航宙艦はすでにミチマサから何百光年も離れた距離にあった。
「……ねぇ、カズト?」
放送が終わって何をしようかなと考えていると、何か聞きたそうな顔をしたアオがやって来た。
どうかしたか?
「うん。これを聞くのは今更な気がするんだけど……。景虎さん、カズトの義父さんはカズトに侍になるなって言っていたんでしょ? 義父さんはカズトが侍になることに納得したの?」
本当に今更な疑問だな。
……義父さんだったら、三年前に死んだよ。交通事故で。車に轢かれそうになった子供を庇ってね。
「あっ。……その、ごめんなさい」
いいよ。もう昔のことだし。義父さんが死んだ時に散々悲しんだから、今ではもう気持ちの整理がついている。
それで? 聞きたいことはそれだけ?
「ううん。実はもう一つあるの。……カズトの昔のことなんだけど」
やっぱりか。
昨日、政栄様は結局最後までアオに俺の過去を話さなかった。「日善カズト殿の過去を勝手に話す権利は私にはございません。どうしても知りたいのであれば、本人の口からお聞きになるのが一番良いかと」と言って、過去を話すかどうかを当人である俺に任せたのだ。
「私はカズトと一心同体。だから私はカズトのことは全て知っておきたいの。カズトがどうしても話したくないっていうのだったら聞かないけど、そうじゃないなら教えて。カズトの昔に何があったのか、景虎さんがカズトに侍になるなって言った理由を」
俺の目を見て聞いてくるアオの表情は真剣そのもので、決して中途半端な気持ちで聞いているのではないと分かる。アオの言うとおり俺と彼女はこの先ずっと一緒の関係だ。いつか知られるのだったら今話してもいいのかもしれないな。
アオ。俺はな……、
ドォン!
俺がアオに過去を打ち明けようとしたその時、航宙艦が大きく揺れた。
「え? 何が起こったの?」
ドォン! ドォン!
俺達が辺りを見回している間にも航宙艦は二度、三度と大きく揺れてそうしていると血相を変えた緋乃が客室に飛び込んできた。
「青火姫様! 日善様! ご無事ですか!?」
緋乃? これは一体何が起こっているんだ?
「襲撃です! 海賊が青火姫様と日善様を狙ってこの航宙艦に襲撃を仕掛けてきました!」
……………海賊?




