HAMBURGER BLUES 第4 話 髪型戦争とヘアリアから来た使者
HAMBURGER BLUES 第4 話 髪型戦争とヘアリアから来た使者
カラン
カランカラン
Walker
来たな
beem
分かるの
Walker
嫌な予感だけは当たる
bads
ねぇ今日の前髪どう
beem
綺麗だね
bads
やっぱり
Walker
毎朝聞くな
cool
……平和ですねぇ……
カラン
カランカラン
扉が開く
そこに立っていたのは
異常だった
左右で色の違う髪
片側だけ編み込み
片側だけ短髪
瞳の色も違う
服装は十種類の流行を同時に着ていた
女は静かに名乗る
「私はリリア」
「ヘアリア中央美学監査局」
「第三髪型審議官」
店内が凍る
bads
は?
Walker
終わったな
beem
コーヒー飲む?
リリア
「拒否します」
「本日は監査です」
bads
監査ぁ?
リリア
「あなたです」
「バッズ」
「髪型規範違反」
「左右バランス率」
「美的法則」
「前髪傾斜角度」
「全て基準外です」
沈黙
三秒
bads
うるせぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!
リリア
「感情論ですね」
bads
誰だてめぇ!!
リリア
私の前髪に法律持ち込むな!!
Walker
始まった
beem
バーガー食べる?
リリア
「あとで」
「先に裁判です」
bads
裁判ぃ!?
誰が負けるんだよ!!
リリア
「あなたです」
bads
上等じゃねぇか!!
Walker
冷静になれ
bads
なるかボケ!!
髪型ってのは自由なんだよ!!
魂なんだよ!!
昨日と今日が同じでいい訳ねぇだろ!!
リリア
「非効率です」
「住民全体の調和が失われます」
bads
知るかぁぁぁ!!
beem
まあまあ
髪型もバーガーも自由だからね
リリア
「違います」
「美とは秩序です」
Walker
哲学戦争になってきたな
cool
……すぅ……
bads
秩序ぃ!?
美ってのは爆発だろ!!
感情だろ!!
昨日泣いたら髪切るんだよ!!
失恋したら色変えるんだよ!!
人生そのものなんだよ!!
リリア
「非合理」
「極めて非合理」
Walker
合理性だけでは人間は生きられない
リリア
「あなたは誰ですか」
Walker
Walker
リリア
「理解しました」
「危険人物ですね」
Walker
正解
beem
二人とも
腹減ってるでしょ
沈黙
リリア
「少し」
bads
私も
beem
よし
今日は特別メニュー
Hair Symphony
Walker
また勝手に名前付けたな
beem
いや
今回は君が付けた事にする
Walker
最低だな
十分後
テーブルには
七色の野菜
三種類のピクルス
香草
熟成チーズ
虹色バンズ
芸術作品のようなバーガーが置かれた
リリア
「……美しい」
bads
でしょ!?
リリア
「左右非対称」
「なのに均衡している」
Walker
人生みたいだな
beem
バーガーも同じだよ
一口
沈黙
二口
さらに沈黙
リリアの目が揺れる
「……負けました」
bads
は?
「自由も」
「美になり得るのですね」
bads
当たり前だろ!!
髪型に正解なんかねぇんだよ!!
その日の気分だ!!
人生だ!!
Walker
珍しく良い事言った
cool
……すぅ……
beem
乾杯しようか
夜になる
音楽が鳴る
爆音
badsが踊る
リリアも踊る
coolは寝ながら揺れている
テキーラが並ぶ
全員
乾杯
Walker
今日分かった事がある
髪型に法律は作れる
でも
美しさには作れない
秩序も自由も
結局は人間が後から付けた名前に過ぎない
大事なのは
明日
鏡を見た時
自分で笑えるかどうかだ
beem
いい事言うね
bads
ねぇ
今の髪型どう
全員
最高だよ
カラン
カランカラン
夜風だけが
心地良く流れていた




