HAMBURGER BLUES 第23話 『銀河一うるさいランチタイムと The Adicts の女王
HAMBURGER BLUES 第23話
『銀河一うるさいランチタイムと The Adicts の女王』
朝九時
WAGYU BURGER
開店十五分前
ドンドドンドンドンッ
ドドンドンドンッ
五台のVツイン
店前整列
ダーティブラック
ダーティブルー
カーキ
ベージュ
ダーティイエロー
近所のガキ
「うるせぇぇぇぇぇ!!!」
近所の老人
「最高じゃねぇか」
beem
「今日も肉を焼くぞォォォ!!」
Noah
「冷蔵庫パンパンです」
cool
「酒は?」
Noah
「二十七種類」
cool
「勝った」
Walker
「何にだよ」
ガチャァァァン!!!
bads
「オイ!!!
全員こっち向けェェェ!!!」
完全停止
今日のThe Adicts
“THE ADICTS
NEON JUNGLE 2090”
蛍光オレンジと深緑の迷彩ミニワンピース
素材は
惑星ライオネル産
ネオライオンレザー
超軽量
超伸縮
撥水性能
銃弾二発まで耐える
脚には
巨大なルーズソックス
黒地に蛍光グリーン
漢字刺繍
『怒』
『愛』
『速』
『美』
螺旋状
足元
The Adicts
ハイカットスニーカー
クリアソール
発光式
ジュエリー
今日もジャラジャラ
耳
首
鼻
腕
腰
全部古代文明
髪型
左右非対称ツインテール
左
ネオンオレンジ
右
シルバーグリーン
後頭部編み込み
毛先だけブラック
完全に狂ってる
bads
「どうだァァァ!!!
五秒以内!!!
褒めろ!!!
遅れたら殺す!!!」
beem
「ジャングルが歩いてる」
cool
「モテそう」
Walker
「いや
今回かなり完成度高い
迷彩というのは本来
隠れるための技術だ
でもお前の場合
逆なんだよ
誰よりも目立つために
迷彩を使ってる
存在を隠す技術を
存在証明へ転換している
これは完全にThe Adicts後期思想だ」
沈黙
bads
「……」
bads
「……」
bads
「……ちょっと嬉しいじゃねぇか」
Noah
「今日も綺麗ですよ」
完全停止
bads
「……」
bads
「……」
顔真っ赤
bads
「うるせぇぇぇぇぇぇ!!!!」
ガランガランッ!!
開店
客A
「チーズ三つ!!」
客B
「酒も!!」
客C
「Walkerさん今日DJありますか!!」
客D
「coolさん彼女いるんですか!!」
ギャル軍団
「きゃーーーーーー♡♡♡」
cool
「いない」
ギャル
「もっと好き」
Walker
「逆ナン成功率と拒絶率の関係性は
非常に興味深い
断られるほど恋愛感情が増幅するなら
coolはもはや国家資産と言っていい」
cool
「面倒臭ぇ」
beem
「肉焼けェェェ!!」
ジュゥゥゥゥゥゥゥ!!!
煙
鉄板
Noah
無言
超高速
パン
肉
チーズ
ピクルス
ソース
包装
全部完璧
客
「仕事速ぇぇぇ!!!」
Walker
「当然だ
Noahは感情を労働へ変換するタイプだからな
普通の人間は悲しむ
こいつは働く」
Noah
「忙しいだけです」
bads
「オイ!!!
客!!!
勝手に写真撮るな!!!
撮るなら左側から撮れ!!!
今日そっちが主役なんだよ!!!」
客E
「怖ぇぇぇぇ!!!」
客F
「でも美人過ぎる!!!」
客G
「近寄れねぇ!!!」
beem
「それでいい」
beem
「美しさとは
近づけない距離感でもある」
Walker
「珍しく正しい」
beem
「肉も同じだ
最高の肉は
敬意を持って焼かなければならない」
Walker
「また始まった」
beem
「肉とは」
「生命が宇宙へ残した最後の記憶だ」
「塩を振る行為は祈りだ」
「火を入れる行為は対話だ」
「食べるとは
存在を継承することなんだ」
客A
泣く
客B
「バーガー頼んだだけなんだけど」
大爆笑
ガランッ!!
新規客
「アルバイト募集してますか?」
全員
「もう間に合ってる!!!!」
Noah
「僕だけで十分です」
bads
「調子乗んなクソガキ!!!」
Noah
「事実です」
cool
「喧嘩始まった」
Walker
「正常運転だ」
夜
閉店
全員
ボロボロ
cool
「酒だ」
今日の新作
【GALACTIC HANGOVER 95】
度数95%
原料
黒隕石ラム
発酵ライム
量子樽熟成蜂蜜
深宇宙ミント
味
一口目
天国
二口目
人生を反省
三口目
全部許せる
Walker
「文明って
結局
誰かと酒を飲むために発達してきたんだと思う」
beem
「肉も同じだ」
全員
「また始まったァァァ!!!」
レコード
Walker
針を落とす
『CYBER TRIBAL LOVE MACHINE』
Hardcore Jazz
Industrial Blues
Quantum Dub
爆音
ドンドドンドンドンッ
ドドンドンドンッ
全員
グラスを掲げる
「乾杯ィィィィィィ!!!!」
笑い
怒号
肉
酒
音楽
友情
明日も
地獄みたいに忙しい
だから
最高なんだ
――第24話へ続く




