HAMBURGER BLUES 第22話 『五日ぶりの地獄営業と、銀河一うるさい昼下がり
HAMBURGER BLUES 第22話
『五日ぶりの地獄営業と、銀河一うるさい昼下がり』
朝
ベラ地区
雨
ネオン
肉
そして――
五日間
店を閉め
酒を飲み
1700キロ走り
伝説のVツインを引き上げ
金を全部使い果たした狂人たちが
何事もなかったように
今日も
店を開ける
ガララララッ!!
beem
「開店だァァァァァ!!!
働けェェェ!!!
もう金がねぇぇぇぇ!!!」
Noah
「知ってます。
冷蔵庫、
マヨネーズ二本しかありません。」
cool
「酒は?」
Noah
「十二樽あります。」
cool
「よし。
実質黒字。」
Walker
「いや、
それは経済学的には完全に破綻してる。
酒を資産計上する店は、
歴史上だいたい三年以内に宗教になる。」
beem
「肉も宗教だ」
Walker
「違う
肉は観測装置だ
宇宙そのものは、
肉によって自己認識している」
Noah
「店長、
朝から何言ってるんですか」
ドンドドンドンドンッ!!
ドドンドンドンッ!!
店の前
四台のV-TWIN 700 Heritage。
そして。
布で覆われた。
ダーティイエローの謎の車体。
Noah
「……。」
Noah
「……なんですか、
あの布」
全員
「知らん」
Noah
「絶対嘘ですよね」
全員
「知らん」
Noah
「怖ぇなこの店」
その瞬間
ガチャァァン!!
bads
「おいクソ共!!
どうだ今日の私!!!!」
全員
「うるせぇ!!!!」
現れた
The Adicts 2089
Spring Collection
メタリックパープル。
超ミニライダーワンピース。
肩から背中は透明ファイバー。
脚には。
『爆』
『愛』
『肉』
『速』
古代漢字
螺旋刺繍
黒紫グラデーション
超ロングルーズソックス
厚底ブーツ
古代惑星ジュエリー
耳。
首。
鼻。
腕。
全部。
ジャラジャラ
髪
ダークパープル
シルバーアッシュ
右側編み込み
左ロング
後方ポニーテール
客A
「こ、怖ぇ……。」
客B
「でも綺麗……。」
客C
「女神か?」
客D
「いや、
怒らせたら死ぬ」
bads
「オイ!!!
感想!!!
五秒以内!!!
遅れた奴ぶっ飛ばすぞ!!」
cool
「似合ってる」
Walker
「現代ファッションと
古代文明装飾の融合としては、
非常に完成度が高い」
beem
「肉が似合う」
Noah
「……。」
bads
「Noahは!!?」
Noah
「……。」
Noah
「今日も綺麗です」
沈黙。
bads
「……。」
bads
「……。」
bads
「……。」
beem
「顔真っ赤だぞ。」
bads
「うるせぇぇぇぇぇ!!!
仕事しろボケ共ォォォ!!!」
ガラン!!
客
一気に流れ込む
「ダブルチーズ三つ!!」
「ベーコン追加!!」
「マルガリータある!?」
「今日のDJ誰!?」
「Walkerさんいます!?」
「badsさん怖いけど写真いいですか!?」
bads
「ダメだ!!
勝手に撮るな!!
撮るなら角度選ばせろ!!」
Noah
「注文整理します!!」
cool
「酒七杯同時な」
Noah
「はい」
cool
「……。」
cool
「こいつ、
仕事早ぇな。」
ギャルA
「cool〜♡」
ギャルB
「今夜空いてる?」
ギャルC
「飲みに行こ?」
cool
「忙しい」
ギャル達
「きゃーーーーーー♡♡♡」
Walker
「面白い」
Walker
「人類は、
拒絶されるほど恋愛感情を増幅する
これは自己肯定の再帰構造に起因する」
beem
「何言ってんだ」
Walker
「簡単に言えば、
モテる奴ほど、
放っておく方がモテる」
cool
「知らん」
ジュゥゥゥゥゥッ!!
肉。
煙。
鉄板。
beem
「肉とは宇宙だ」
Walker
「違う」
Walker
「宇宙は肉を観測する為に存在する
恒星も
ブラックホールも
銀河も
全部、
最終的にはハンバーガーを理解する為の前段階なんだ」
Noah
「ヤバい」
Noah
「今日、
いつも以上にヤバい」
客E
「店長!!
トリプルワギューバーガー!!」
beem
「来たな。」
beem
「宇宙最大の芸術作品を作る」
bads
「ベーコン二倍な!!」
Noah
「チーズ追加」
cool
「酒セット」
Walker
「哲学解説付き」
客E
「いらねぇよ!!」
店内
大爆笑
そして
夜
閉店
静かになる
cool
「……。」
cool
「疲れた」
Noah
「今日は312人来ました」
beem
「最高じゃねぇか」
bads
「オイ」
bads
「で」
bads
「今日の服、
結局どうだったんだよ」
Walker
「最高だった」
Walker
「ただ綺麗なんじゃない
お前の怒り方も
優しさも
仲間への執着も
全部含めて、
今のお前の服だった」
沈黙
bads
「……。」
bads
「……。」
bads
「……。」
bads
「バカ」
beem
「泣くな」
bads
「泣いてねぇ!!」
Noah
「泣いてます」
bads
「うるせぇぇぇぇぇ!!!」
cool
「酒持ってくる」
今夜の酒
【COSMIC DEAD END】
アルコール度数。
92%
原料
・隕石ライム
・発酵ブラックハチミツ
・深宇宙オーク樽ラム
・重力圧縮スピリッツ
一口
甘い
三秒後
人生の後悔が全部蘇る
五秒後
全部どうでも良くなる
十秒後
仲間が愛おしく見える
Walker
「……。」
Walker
「名酒だ」
レコード
パチッ
『VOID RITUALS Vol.7』
Tribal Hardcore Jazz。
Cyber Dub。
Quantum Ambient。
Industrial Blues。
爆音
ドンドドンドンドンッ!!
ドドンドンドンッ!!
乾杯
全員
「乾杯ィィィィィ!!!!」
笑い
肉
酒
音楽
喧嘩
友情
明日も
また
死ぬほど忙しい
だから
最高なんだ
――続く




