HAMBURGER BLUES第21話 完 納車式と、黄色い流星
HAMBURGER BLUES第21話 完
納車式と、黄色い流星
黒城歴 午前零時三分
ベラ地区
WAGYU BURGER
閉店
看板の灯りだけが
静かに揺れている
noah
「……で?」
noah
「冷蔵庫の修理って何だったんですか」
noah
「5日間ですよ」
noah
「5日」
noah
「普通潰れてますからね店」
Walker
「観測するな」
noah
「しますよ」
cool
「まぁまぁ……」
beem
「少し待て」
bads
「黙って座ってろクソガキ」
noah
「なんなんだよ!!」
bads
今日も同じ服
The Adicts
ダーティイエロー
超ミニワンピース
肩を大胆に見せるシルエット
古代惑星ジュエリー
耳
首
腕
足首
すべて黄金色
イエローアッシュ
サイド編み込み
アップスタイル
The Adicts
イエローハイカットスニーカー
2日間
一度も着替えなかった
noah
「……」
noah
「その服」
bads
「は?」
noah
「ずっと着てるよね」
静寂
Walker
ニヤリ
cool
笑いを堪える
beem
黙る
bads
「……」
bads
「……」
bads
「うるせぇな」
noah
「いや」
noah
「珍しいから」
bads
「……」
bads
「……」
bads
「…………」
その瞬間
ベラ地区
全停電
真っ暗
noah
「え?」
遠く
Club One
巨大スピーカー
ブツッ……
Ancient Quantum Blues
“IRON MEMORY”
レコード針が落ちる
ザザッ……
低いノイズ
古代ブルース
鉄の音
鼓動
街全体に響く
同時
ベラ地区
全住民
灯りを持って現れる
鍛冶屋
漁師
DJスノー
酒場の店主
運動会で戦った連中
子供たち
老人たち
全員
笑っている
noah
「……」
noah
「なに」
noah
「これ」
Walker
静かに言う
「観測開始」
その瞬間
ドンドドンドンドンッ
ドドンドンドンッ
七百年前の鼓動
闇の向こうから
一つの光
ダーティイエロー
低い
長い
凶悪なシルエット
四本出しマフラー
古代Vツイン
怪物
ドンドドンドンドンッ
窓ガラスが震える
子供たち
歓声
老人
涙
DJスノー
「トォォォォル!!!!!」
Club One
爆音
全員
拍手
noah
立ち尽くす
「……」
「……え」
「……え?」
beem
静かに歩く
黄色い怪物の横へ
手を置く
「五日間」
「店は休んでいない」
「未来を焼いていた」
noah
震える
Walker
「黒城から」
「次元の狭間シティー」
「往復千七百キロ」
「川底」
「酒」
「喧嘩」
「哲学」
「友情」
「全部」
「お前のため」
cool
「驚いたぁ?」
bads
腕を組む
「感謝しろ」
「クソガキ」
「五日間」
「死ぬほど大変だったんだからな」
noah
涙
「……」
「なんで」
「なんで」
「そこまで」
静寂
beem
笑う
「家族だからだ」
完全沈黙
noah
泣き出す
「……」
「……バカじゃん」
「みんな」
「ほんと」
「バカだろ」
cool
泣いてる
Walker
空を見上げる
「連続性とは」
「記憶ではない」
「血縁でもない」
「共に騒ぎ」
「共に走り」
「同じ酒の匂いを覚え」
「同じ音楽を聴き」
「同じ未来を信じた者たち」
「それが家族だ」
静寂
その時
beem
badsを見る
ダーティイエロー
バイク
ワンピース
同じ色
beem
「そういうことか」
noah
「……?」
Walker
笑う
「お前」
「気付いてなかったのか」
noah
「え?」
cool
「同じ色なんだよぉ」
「バイクと」
完全停止
noah
振り返る
ダーティイエロー
怪物
そして
bads
同じ色
同じ歩幅
同じ未来
noah
絶句
「……」
「……」
「……マジかよ」
bads
顔真っ赤
「見るなァァァァァ!!!!」
「違うからな!!」
「別に!!」
「深い意味とか!!」
「一切ねぇからなァァァ!!」
Walker
「泣いてる」
bads
「殺すぞ!!!!」
ベラ地区
大爆笑
その時
DJスノー
巨大樽を持って現れる
「祝酒だトォォォル!!!!」
最新酒
【SOLAR ECLIPSE MARGARITA】
度数93%
太陽蒸留
月塩熟成
ブラックライム使用
香り
柑橘
煙
古代樽
全員
グラスを持つ
noahだけ
最高級紅茶
【WHITE STAR TEA】
Club One
音量最大
煙
ネオン
鉄
酒
友情
beem
静かに言う
「肉も」
「機械も」
「人も」
「一人では完成しない」
「火を入れてくれる誰か」
「走らせてくれる誰か」
「笑ってくれる誰か」
「それがいて」
「初めて命になる」
静寂
noah
泣きながら笑う
「……ありがとう」
人生で初めて
素直に言った
全員
静かに笑う
そして
beem
鍵を渡す
「乗れ」
noah
震える手
エンジン始動
ドンドドンドンドンッ
ドドンドンドンッ
遥か昔の伝説鼓動
黒城全域
窓が揺れる
歓声
拍手
涙
DJスノー
「銀河一ィィィィィィ!!!!!!」
Walker
笑う
「観測完了」
「未来確定」
「連続性維持」
「家族成立」
全員
グラスを掲げる
「乾杯ィィィィィ!!!!!!」
古代ブルース
爆音
黄色い流星は
その夜
ベラ地区を
朝まで走り狂い続けた
【HAMBURGER BLUES】
【Noah Engine Arc】
完
そして
新しい日常へ続く――




