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HAMBURGER BLUES  作者: ハンバーガーブルース


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HAMBURGER BLUES 第21話 第二幕  「黄色い悪魔と、The Adictsの女王

HAMBURGER BLUES 第21話 第二幕           

「黄色い悪魔と、The Adictsの女王」




次元の狭間シティー 第七整備区画





黒い空


紫色のネオン


鉄の匂い


酒の匂い


オイルの匂い


仲間の声




床の中央に


ついに完成した




ダーティイエローの怪物が立っていた




七百年前のV-TWIN


爆音四連マフラー


極限まで落とされた車高


低く


長く


凶悪で


美しい




まるで走るためだけに生まれ


止まることを拒絶する生命体




beem

「……完成したな」




Walker

「完成ではありません」


Walker

「観測者が認識した瞬間にのみ物体は完成する」


Walker

「つまり今のこれは未確定状態」


Walker

「noahが跨がった瞬間、初めて世界線が収束する」




cool

「おぉ〜……難しい話し始まったから……おれ……少し寝るねぇ……」




bads

「寝んなクソ殺し屋」


bads

「今だけは起きろ」


bads

「アンタが寝ると感動が半額になるだろうが」




cool

「はぃぃ……」




beemは静かにバイクへ触れる




beem

「肉も同じなんだ」


beem

「牛は解体された瞬間に終わるんじゃない」


beem

「誰かが火を入れ」


beem

「誰かが食べ」


beem

「誰かが笑った時」


beem

「初めて命は完成する」




Walker

「また始まった」


Walker

「出た」


Walker

「肉存在論」




bads

「いやでも分かる」


bads

「今日だけは分かる」


bads

「クソ悔しいけど分かる」




その時




全員の視線が


badsへ集まった




ダーティイエローの超ミニワンピース




The Adicts




古代惑星ジュエリー






足首




全て黄金色の光を放つ




イエローアッシュの髪


サイド編み込み


アップスタイル




まるで


黄色い悪魔の女王




Walker

「……なぁ」


Walker

「お前さ」


Walker

「なんで今日ずっと同じ服なんだ」




静寂




bads

「……は?」




beem

「確かに」




cool

「おぉ〜……そういえばぁ……」




bads

「うるせぇな」


bads

「別にいいだろ」




Walker

「いや」


Walker

「お前は一日に三回着替える女だ」


Walker

「四時間で髪型を変える女だ」


Walker

「昨日も」


Walker

「朝パンク」


Walker

「昼ゴシック」


Walker

「夜サイバー巫女だった」




cool

「忙しいねぇ……」




beem

「理由があるんだな」




沈黙




bads

「……」




bads

「……」




bads

「……」




bads

「……うるせぇな」




Walker

「図星だ」




bads

「違ぇよ」




beem

「バイクの色」




全員




停止




Walker

「……あ」




cool

「おぉ……」




beem

「同じ色か」




ダーティイエロー




バイク




ワンピース




同じ色




同じ歩み




同じ未来




bads

「……」




bads

「……」




bads

「ち」




bads

「べ」




bads

「別に」




bads

「そういうんじゃねぇし」




Walker

「泣いてる?」




bads

「殺すぞ」




Walker

「泣いてる」




bads

「殺す」




cool

「おぉ〜……優しいねぇ……」




bads

「黙れ元殺し屋」




cool

「ごめんねぇ……」




bads

「アイツ」




bads

「喧嘩ばっかするし」




bads

「紅茶しか飲まねぇし」




bads

「生意気だし」




bads

「でも」




bads

「……仲間だから」




沈黙




beem

「……そうか」




Walker

「連続性理論上」


Walker

「人間は血縁ではなく」


Walker

「共通の記憶で家族になる」




cool

「おぉ〜……名言だぁ……」




bads

「だから!」




bads

「納車まで!」




bads

「この服のままなんだよ!」




bads

「悪いかボケェェェェ!!」




全員




爆笑






そして




beem

「よし」




beem

「作戦会議だ」




Walker

「サプライズ納車」




cool

「おぉ〜……楽しそう……」




bads

「派手にやるぞ」




beem

「ベラ地区全員呼ぶ」




Walker

「レコードは?」




cool

「hardcore ambient collection 79」




Walker

「弱い」


Walker

「足りない」


Walker

「今日は」




Walker

「Ancient Quantum Blues」


Walker

「“IRON MEMORY”」


Walker

「初回プレス盤」




全員




静止




cool

「マジ?」




beem

「お前」




beem

「持ってたのか」




Walker

「当たり前です」


Walker

「私は狂人です」




bads

「最高」




beem

「酒は」




cool

「新作あるよぉ〜」




cool

「BLACK COMET MARGARITA」




Walker

「度数」




cool

「九十一」




bads

「頭おかしい」




beem

「採用」




全員




「採用!!!!!!」




その瞬間




外から声が聞こえた




鍛冶屋


漁師


DJ


運動会で戦った連中




ベラ地区の狂人達




「完成したらしいぞ!!」




「noahのバイクだ!!」




「見せろォォォ!!」




「酒持って来たぞ!!」




「肉もあるぞ!!」




「爆音出せぇぇぇ!!」






Walker

「まずい」




Walker

「街全体が泣く準備を始めてる」




beem

「いいじゃないか」




beem

「ハンバーガーも」


beem

「バイクも」


beem

「人間も」




beem

「誰か一人じゃ完成しない」




bads

「……」




cool

「おぉ〜……」




Walker

「連続性確認」


Walker

「友情存在」


Walker

「酒存在」


Walker

「騒音存在」


Walker

「感情存在」




Walker

「よし」




Walker

「宇宙は今日も正常に壊れている」




ドンドドンドンドンッ


ドドンドンドンッ




外で


四台のV-TWINが


夜空へ吠える




納車式まで


あと一日




ベラ地区全体が


黄色い悪魔の誕生を待っていた




──第三幕へ続く──








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