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HAMBURGER BLUES  作者: ハンバーガーブルース


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HAMBURGER BLUES第9話 前編銀河一の幻のカリカリベーコン「ドンドドンドンドンッ 運動会へ向かう四台の哲学

HAMBURGER BLUES第9話 前編銀河一の幻のカリカリベーコン  「ドンドドンドンドンッ 運動会へ向かう四台の哲学



ベラ地区の朝は騒がしい


市場が開く音


空中電車の警笛


遠くの酒場から聞こえる笑い声


そして


WAGYU BURGERの厨房から漂う肉の香り


ジュゥゥゥゥゥゥ


beem「今日の牛脂は機嫌がいい」


Walker「脂に機嫌ってあるんですか」


beem「ある」


cool「ありますねぇ」


Walker「そっちも乗るんですか」


bads「ねぇ」


全員「ん?」


bads「今日の髪どう?」


Walker「朝一番でその話ですか」


bads「今日は運動会よ?」


bads「ベラ地区の自営業者全員が集まるのよ?」


bads「つまり銀河最大級のファッション戦争なの」


Walker「誰もそんな認識してません」


cool「可愛いですよぉ」


bads「でしょ?」


beem「今日のベージュジャケットとの相性がいい」


bads「店長だけは分かってる」


Walker「なんで肉以外も分かるんですか」


beem「色彩も熟成する」


Walker「意味が分からない」


その時


店の巨大ホログラムニュースが点灯する


【第八百三十二回】


【ベラ地区自営業者大運動会】


【優勝商品】


【幻のカリカリベーコン】


ドォォォォン!!


beem「……」


沈黙


Walker「始まった」


beem「幻」


cool「幻ですねぇ」


beem「カリカリ」


Walker「まずい」


beem「ベーコン」


次の瞬間


beem「絶対優勝する」


店が揺れる


bads「私は別に興味ない」


全員「え?」


bads「五位の商品が欲しい」


Walker「五位?」


画面切り替え


【第五位商品】


【ビッグバンドライヤーΩ】


【銀河最大出力】


【秒速三百メートル送風】


【髪型固定率99.999%】


bads「これよ」


目が輝いている


bads「これを手に入れるために私は生まれた」


Walker「スケール小さいな」


bads「うるさい!!」


beem「五位など敗北だ」


bads「黙れ肉狂人!!」


beem「幻のベーコンだぞ!!」


bads「私の髪の方が重要!!」


cool「平和に行きましょうよぉ」


Walker「絶対無理です」



beem「伝説を知らないのか」


Walker「何ですか」


beem「幻のカリカリベーコン」


cool「古い話ですねぇ」


beem「黒城建国以前」


beem「時間圧縮燻製法によって作られた」


beem「神話級保存食」


Walker「また始まった」


beem「一本のベーコンを完成させるのに」


beem「七年」


bads「長ぇ」


beem「噛んだ瞬間」


beem「人生が走馬灯のように蘇る」


cool「いやぁ」


cool「一回食べてみたいですねぇ」


beem「宇宙最高峰のカリカリ音」


beem「サクッではない」


beem「カリッでもない」


beem「存在そのものが振動する」


Walker「表現が怖い」


bads「私はドライヤー」


beem「裏切り者」


bads「髪は人生よ!!」


Walker「朝から喧嘩すんな」



そして


出発の時間


店の前


四台のヴィンテージスクーター


七百年前のVツインエンジン


ブラック


ダーティブルー


カーキ


ベージュ


朝日を受けて輝いていた


beem「行くぞ」


cool「酒ありますよぉ」


Walker「運転するんですけど」


bads「細かい女はモテないわよ」


Walker「別にモテなくていいです」


beem「テキーラだ」


cool「乾杯ですねぇ」


カンッ


全員「乾杯ィィィィ!!」


グビッ


Walker「毎回思うんですけど」


Walker「これ違法ですよね」


beem「ベラだぞ」


Walker「そうだった」



エンジン始動


ドンドドンドンドンッ


ドドンドンドンッ


ドンドドンドンドンッ


ドドンドンドンッ


四台が走り出す


ベラの街並み


浮遊看板


空中市場


巨大広告塔


朝から酔っ払う市民


全部いつも通りだった



bads「見て見て私のベージュ最高!!」


Walker「聞き飽きました」


bads「嫉妬?」


Walker「違います」


beem「俺のブラックこそ究極」


cool「カーキも渋いですよぉ」


Walker「私だけ地味じゃないですか」


beem「観測者は派手であってはならない」


Walker「ちょっと格好いい」


bads「意味分からない」



ドンドドンドンドンッ


ドドンドンドンッ


風を切る


酒を飲む


怒鳴る


笑う


喧嘩する


beem「優勝する」


bads「五位!!」


beem「一位!!」


bads「五位!!」


beem「幻のベーコン!!」


bads「ビッグバンドライヤーΩ!!」


Walker「どっちでもいいから前見て運転してください!!」


cool「まぁまぁ」


cool「人生もバイクも」


cool「少し蛇行するくらいが面白いんですよぉ」


Walker「元殺し屋の発言じゃない」


cool「何のことですかねぇ」


beem「肉も同じだ」


Walker「また始まった」


beem「真っ直ぐ焼くだけでは旨くならない」


beem「揺らぎが必要だ」


bads「髪も同じ」


Walker「急に哲学側に来るな」



すると


遠くに巨大な競技場が見えてくる


ベラ大運動場


何万人もの自営業者


屋台


酒場


音楽


歓声


巨大ホログラム


【WELCOME TO BELLA BUSINESS GAMES】


cool「着きましたねぇ」


Walker「喧嘩やめますよ」


bads「もちろん」


beem「当然だ」


次の瞬間


全員が静かになる


バイクを整列


ヘルメットを外す


服を直す


完全なチームになる


Walker「……」


Walker「なんなんですかこれ」


cool「家族ですからねぇ」


bads「当たり前でしょ」


beem「戦場では一致団結する」


Walker「さっきまで殺し合い寸前だったのに」



そして


巨大ゲートをくぐる


ドォォォォォォン!!!


司会者


「WAGYU BURGERチーム来場ォォォォ!!」


歓声


拍手


歓声


歓声


beem「勝つ」


bads「五位」


Walker「不安しかない」


cool「楽しみましょうよぉ」


空の向こう


伝説のカリカリベーコンが


静かに待っていた




続く




第9話 中編


「走れ ベラの狂人たち」






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