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エルフの鍛冶屋―ねぇ親方― (世界の不思議を語り合う、1話完結の雑談ファンタジー)  作者: ぱられ


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17/50

シスターと神父は何が違うの?

コン。


コン。


コン。


工房に小さな金槌の音が響く。


親方は一本の杖を作業台に乗せていた。


長い木の杖の先へ金具を取り付けている。


近くではシスターが少し緊張した様子で見守っていた。


少年はそんな二人を見比べる。


「ねぇ親方」


「親方じゃないけどなに?」


「何作ってるんですか?」


親方は杖を持ち上げた。


「シスターの牧杖」


「牧杖ってなんですか?」


「歩く時に体を支えたり」


「草むらをかき分けたり」


「まぁ色々だね」


少年は杖をじっと見つめる


「普通の杖なんですね」


シスターが頷く。


「私はシスターですって示す物でもあります」


「今度初めて巡回に行くので」


「巡回?」


少年は首を傾げた。


「ねぇシスター」


「なんですか?」


「神父様とシスターって何が違うんですか?」


シスターは少し考える。


「そうですねぇ」


「お祈りをしたり」


「癒しを行ったり」


「共通のお仕事もあります」


少年は頷く。


「じゃあ同じなんですか?」


「全部が同じではありませんね」


シスターは続ける。


「神父様はみんなに指示を出したり」


「教会のお仕事をまとめたりしています」


「じゃあ偉いんですか?」


シスターは少し困ったように笑う。


「偉いというより役割が違うんです」


「神父様は上下はありませんよとおっしゃいますし」


少年は少し考える。


「じゃあ教会には偉い人はいないんですか?」


親方が口を開いた。


「大きな街だとまた違うらしいけどねぇ」


「違うんですか?」


「司教とか」


「そういう偉い人もいるらしいよ」


シスターも頷く。


「神父様もたまにお手紙を書いていますね」


「その方達とやり取りしているみたいです」


「会ったことあるんですか?」


「私はまだありませんね」


シスターは首を振った。


「忙しい方みたいですから」


親方も頷く。


「普通に暮らしてると会う機会はあまり無いだろうねぇ」


少年は感心したように頷いた。


「教会も色々あるんですね」


「そうみたいだねぇ」


親方は牧杖の先を見つめる。


それから軽く石突きを打ち込んだ。


コン。


コン。


「よし」


親方は牧杖を差し出した。


「どう?」


シスターは受け取る。


少し持ち上げる。


床へ軽く突く。


コツ。


コツ。


「ちょうどいいです」


親方は少し肩をすくめた。


「木工は専門外なんだけどねぇ」


「先もちょっと不格好になっちゃったし」


「本当にこれで良かったの?」


シスターは牧杖を見つめる。


それから少し笑った。


「親方さんのが良かったんです」


親方は少し考える。


「そんなもんかねぇ」


「そんなものです」


シスターは大事そうに牧杖を抱えた。


少年はそれを見ていた。


「どこまで行くんですか?」


「近隣の農村です」


「シスターになって初めて街の外に出るんですよ」


「シスターも旅するんですか?」


シスターは笑う。


「旅というほどではありません」


「教会のない村や集落を回るだけですよ」


少年は少し考える。


「街の外には魔物がいるんですよね?」


「…いますね」


シスターの笑顔が少し固まった。


「シスターも戦うんですか?」


「怖がらせないで下さい」


親方が笑う。


「護衛に冒険者が付くんでしょ?」


「はい」


「神父様が手配してくださいました」


「この街には優秀なのも何人かいるから大丈夫だよ」


シスターも頷く。


「そうだと良いんですけど」


少年は少し考える。


「冒険みたいですね」


「巡回です」


シスターは即座に答えた。


「えー」


親方は少し笑う。


「残念だったねぇ」


工房に三人の笑い声が響いた。


終

※本作は note にも掲載しています。

※挿絵付き版のほか、作者ブログや『親方の秘密の考察ノート』などの関連コンテンツも公開しています。

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