## 第8話 ### 「追われる星」
# 『昼間の金星、僕はそれを見つけたい!』
## 第8話
### 「追われる星」
---
森を抜ける風が、やけに冷たかった。
走る足音だけが、世界に残っている音だった。
---
「はぁっ……はぁっ……!」
ソラは息を切らしながら走る。
その手には、まだ小さな光の欠片が握られていた。
---
後ろから、地面が砕ける音。
追跡部隊の星術師たちが、空間を裂きながら迫ってくる。
---
「しつこすぎるだろ!」
アルトが叫ぶ。
「腹が減る前に死ぬわこれ!」
「縁起でもないこと言うな!」
---
スピカは涙目で走っている。
「なんで私までこんな修羅場なのぉ!」
「自分で付いてきたんだろ!」
---
ベガが振り返る。
「このままじゃ囲まれる!」
---
そのとき。
---
ルナが足を止めた。
---
「こっち」
---
短く、それだけ言う。
---
「え、どこ!?」
ソラが聞く。
---
ルナは森の奥を指さす。
そこには、古い獣道のような細い道があった。
---
「……星が見てない道」
---
ベガが驚く。
「そんな道、地図にないわよ」
---
ルナは小さく笑う。
---
「だからいいの」
---
次の瞬間。
---
ドンッ!!
---
さっきまでいた場所が光で吹き飛ぶ。
---
「早く!!」
ベガが叫ぶ。
---
一斉に駆け出す。
---
---
## 崩れる追跡
---
森の中。
枝が顔を叩く。
土が滑る。
息が乱れる。
---
アルトが叫ぶ。
「これ絶対冒険っていうか逃走劇だろ!」
---
「今さら気づいたの!?」
スピカが泣きながらツッコむ。
---
その後ろで。
ベガは静かに走りながら考えていた。
---
(ルナは……何か知りすぎている)
(でも、それを言わない)
---
---
## ルナの過去の影
---
少し離れた場所。
ルナは一瞬だけ空を見上げる。
---
その目に、過去の光景がよぎる。
---
壊れた空。
泣いている誰か。
そして――
昼間に輝く“金色の星”。
---
ルナは小さく呟く。
---
「もう一回……やり直さないと」
---
---
## ソラの異変
---
走りながら、ソラの手の中の光が強くなる。
---
「熱い……?」
---
光が脈打つように動く。
---
ドクン。
ドクン。
---
アルトが気づく。
「おい、それヤバくなってねぇか?」
---
ベガが振り返る。
「抑えて!今は――」
---
しかし遅かった。
---
光が一気に弾ける。
---
「うわっ!!」
---
ソラの視界が一瞬白く染まる。
---
そして――
---
また“見えた”。
---
昼間の空。
静かな世界。
その中心にある、金色の星。
---
そして声。
---
『見つけるか?』
---
ソラは叫ぶ。
「うるさい……!」
---
『お前はもう戻れない』
---
---
現実に戻る。
---
ソラは膝をつく。
---
ベガが駆け寄る。
「ソラ!」
---
アルトが叫ぶ。
「今の何だよ!」
---
ソラは震える手を見つめる。
---
「これ……勝手に見せてくる」
---
ルナが静かに言う。
---
「始まった」
---
---
## 裏側の視線
---
森の上空。
追跡部隊のさらに上。
---
シリウスが一人立っていた。
---
「……やはりか」
---
隣にいる部下が問う。
「回収しますか?」
---
シリウスは首を振る。
---
「まだだ」
---
「“観測”が進んでいる」
---
彼の目は遠くを見ていた。
---
その先には――
昼間の空があった。
---
---
## 次回予告
### 第9話
## 「見える者、壊れる者」
ソラの欠片が完全に覚醒し始める。
見えるはずのない未来が流れ込み、現実が崩れ始める。
ルナはついに“あの日の真実”を語る。
「私は一度、世界を終わらせた」
ベガの任務の本当の意味。
そしてシリウスが動き出す理由――それは救済か、それとも破壊か。
**次回、『見える者、壊れる者』**
見えた瞬間、世界は変わる――




