# 『昼間の金星、僕はそれを見つけたい!』 ## 第9話 ### 「見える者、壊れる者」
# 『昼間の金星、僕はそれを見つけたい!』
## 第9話
### 「見える者、壊れる者」
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夜。
森の奥。
ソラたちは小さな洞窟に身を隠していた。
追跡部隊の気配は遠ざかっている。
だが誰も安心できなかった。
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焚き火の火が揺れる。
その光を見つめながら、ソラは黙っていた。
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さっきから何度も聞こえる。
あの声。
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『見つけるか?』
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頭の奥で響く。
消えない。
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「ソラ」
ベガが心配そうに声をかける。
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「大丈夫?」
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ソラは笑おうとした。
でもうまく笑えない。
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「大丈夫……じゃないかも」
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静寂。
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ルナが目を閉じた。
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「そうなると思ってた」
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ソラは顔を上げる。
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「ルナ」
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「知ってるんだろ?」
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ルナは少しだけ迷った。
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そして。
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決意したように口を開く。
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「……話すね」
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## ルナの過去
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焚き火が揺れる。
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「私は昔」
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「昼間の金星を見た」
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全員が息を呑む。
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アルトでさえ黙る。
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「それも……最後まで」
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ソラは聞き返した。
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「最後まで?」
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ルナはうなずく。
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「昼間の金星はね」
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「星じゃない」
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沈黙。
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「え?」
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スピカが固まる。
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ルナは空を見る。
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「願い」
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「人が失いたくなかった想い」
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「忘れたくなかった記憶」
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「諦めたくなかった未来」
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「それ全部が集まったもの」
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誰も言葉を失う。
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「だから近づくほど」
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「人の心が見える」
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「過去も未来も見える」
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「でも――」
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ルナの声が震えた。
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「代わりに自分が壊れる」
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ソラの胸が締め付けられる。
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ルナは続けた。
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「私は止められなかった」
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「全部見ようとした」
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「全部救おうとした」
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そして。
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「世界を壊した」
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## 衝撃の告白
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スピカが立ち上がる。
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「え?」
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「世界を?」
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ルナはうなずく。
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「正確には」
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「世界が壊れる未来を見た」
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「それを変えようとして」
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「もっと悪くした」
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焚き火が揺れる。
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誰も言葉を出せない。
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ただソラだけが聞いた。
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「だから一人だったのか」
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ルナが驚く。
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「え?」
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「ずっと誰にも頼らなかった」
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「全部自分で背負ってたんだろ」
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ルナは目を見開いた。
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そして。
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少しだけ泣きそうな顔をした。
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「……そうかも」
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## ベガの秘密
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そのとき。
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ベガが立ち上がる。
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「私も話す」
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全員が振り向く。
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ベガは深呼吸した。
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「私の任務」
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「本当はソラを守ることじゃなかった」
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静寂。
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「欠片の所有者を監視し」
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「必要なら処分すること」
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アルトが固まる。
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スピカも固まる。
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ソラも固まる。
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ベガはうつむく。
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「ごめん」
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「最初は任務だった」
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「でも今は違う」
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ソラは少し笑った。
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「知ってた」
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「え?」
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「ベガ、嘘つくの下手だから」
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アルトが吹き出した。
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「それはある」
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スピカもうなずく。
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「めちゃくちゃある」
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ベガは顔を真っ赤にした。
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「な、なんでよ!」
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少しだけ。
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重かった空気が軽くなる。
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そして。
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ルナも小さく笑った。
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旅に出てから初めて。
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心から。
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## 未来の光景
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その夜。
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ソラは一人で外に出た。
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空を見上げる。
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すると。
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また欠片が光る。
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ドクン。
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視界が変わる。
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見えた。
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巨大な塔。
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崩れる空。
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泣いているベガ。
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倒れているアルト。
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消えかけているルナ。
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そして。
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昼間の金星。
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その前に立つ一人の少年。
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自分だった。
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『選べ』
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声が響く。
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『世界か』
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『願いか』
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そこで映像は途切れた。
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ソラは膝をつく。
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心臓が激しく鳴る。
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(なんだよ……)
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(その選択)
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(どっちも守りたいだろ)
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風が吹く。
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遠くの空に。
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昼なのに見えないはずの星が。
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ほんの一瞬だけ。
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輝いた気がした。
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# 次回予告
## 第10話
### 「約束の丘」
旅の途中、ソラたちは星の丘と呼ばれる場所へ辿り着く。
そこで明かされるソラの父の過去。
なぜ父も昼間の金星を追っていたのか。
そしてベガがついに自分の想いに気付き始める。
一方、シリウスは王都を離れ独自に動き出す。
彼が隠している本当の目的とは――。
**次回、『約束の丘』**
見えない星は、誰かの願いの形なのかもしれない。




