## 第7話 ### 「欠片を持つ者」
# 『昼間の金星、僕はそれを見つけたい!』
## 第7話
### 「欠片を持つ者」
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森の遺跡跡。
さっきまで世界が壊れていたとは思えないほど、静かだった。
風が普通に吹いている。
鳥も鳴いている。
ただ一つ違うのは――
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ソラの手の中で、小さな光がまだ消えていないことだった。
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「これ……まだある」
ソラは呟く。
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アルトが覗き込む。
「それ、さっきのヤバいやつだろ?」
「そうだよな普通捨てるやつだよな?」
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スピカは顔を近づける。
「かわいい光だね」
「かわいいで済ませるな」
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ベガは表情を硬くしていた。
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「それ、絶対に持ち歩いちゃダメなやつよ」
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ソラは驚く。
「え?」
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ベガは声を落とす。
「王都の禁書に書いてあった」
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「“昼間の金星の欠片”は、世界の観測装置そのもの」
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「持つ者は“観測対象”になる」
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ソラの背中に冷たいものが走る。
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「観測対象って……何?」
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そのとき。
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パキッ。
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空気が割れる音。
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上空に黒い裂け目が生まれた。
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「来たな」
低い声。
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現れたのは――
王都の追跡部隊。
星術師たちだった。
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「対象確認」
「少年ソラ」
「即時回収命令」
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アルトが叫ぶ。
「え、なに急に敵!?」
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ベガが前に出る。
「待って!彼は危険じゃない!」
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しかし兵士は動かない。
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「命令は絶対だ」
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空気が張り詰める。
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ソラは一歩後ろに下がる。
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その瞬間。
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ルナが小さく言った。
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「もう……バレた」
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ソラは振り向く。
「ルナ……?」
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ルナは目を伏せる。
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「その欠片を持った瞬間から」
「王都はあなたを“星の異常”として認識する」
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ベガが震える。
「ルナ、あなた……何者なの?」
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ルナは少しだけ笑う。
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「私はね」
「昔、それを見た人間」
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空気が止まる。
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「昼間の金星を」
「ちゃんと見てしまった人間」
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ソラの胸が締め付けられる。
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そのとき――
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「くだらない」
声が割り込む。
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シリウスだった。
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王都部隊の上に立っている。
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「観測だの欠片だの」
「理屈が幼稚だ」
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アルトが叫ぶ。
「またお前かよ!」
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シリウスはソラを見る。
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「少年」
「それを捨てろ」
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ソラは息をのむ。
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「なんで……」
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シリウスは冷たく言う。
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「それは“お前を選ぶ”」
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「選ばれた者は、自由を失う」
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その言葉に、ルナが反応する。
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「違う」
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初めて強い声。
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シリウスはルナを見る。
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「何が違う」
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ルナは震えながらも言った。
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「選ばれるんじゃない」
「“信じた者”が残るだけ」
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静寂。
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ソラは手の中の光を見る。
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(信じた者……)
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そのとき。
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光が少しだけ強くなる。
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そして――
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ソラの目の前に“映像”が流れた。
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見知らぬ空。
崩れる星。
泣いている誰か。
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そして最後に。
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「昼間の金星」が確かに輝いていた。
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ソラは息を呑む。
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「見えた……」
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その瞬間。
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王都部隊が動き出す。
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「確保する!」
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ベガが叫ぶ。
「逃げて!」
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アルトが荷物を背負う。
「こういう時は逃げるに限る!」
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スピカが泣きながら走る。
「もう無理ぃ!」
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ルナはソラの横に来る。
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「走って」
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ソラは頷く。
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でも最後に一度だけ振り返る。
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シリウスは動かなかった。
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ただ小さく呟く。
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「その光は……お前を壊す」
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## 次回予告
### 第8話
## 「追われる星」
王都から正式に追放指定を受けたソラたち。
逃亡生活の中で明かされるベガの過去。
ルナが“見てしまった昼間の金星”の真実。
そしてソラの欠片が、ついに暴走を始める。
「これは星じゃない……意志だ」
さらに追跡部隊の中に、意外な人物が現れる――
**次回、『追われる星』**
逃げるほどに、星は近づく――




