「昼の星、開かれる禁断」
# 『昼間の金星、僕はそれを見つけたい!』
## 第6話
### 「昼の星、開かれる禁断」
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白い光。
視界が溶ける。
体がどこにもないような感覚。
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ソラは叫ぼうとした。
「うわ――!」
しかし声は消えた。
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次の瞬間。
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落ちた。
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空から。
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「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!?」
アルトの絶叫がどこかで聞こえた。
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ドンッ!!
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地面に叩きつけられる衝撃。
しかし――痛くない。
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ソラは目を開ける。
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そこは。
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空の中だった。
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いや、違う。
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「空に……地面がある?」
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逆さまの世界。
雲の上に大地が広がっている。
そのさらに上に、また空。
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ベガが立ち上がる。
「ここ……観測領域……」
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「星の裏側よ」
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アルトは混乱していた。
「腹が減ると世界もおかしくなるのか?」
「違うと思う!」
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スピカは震えている。
「なにこれ……夢?」
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そのとき。
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ルナは静かに空を見上げていた。
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その目は、初めて揺れていた。
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「……来た」
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ソラが聞く。
「何が?」
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ルナは指をさす。
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空の中心。
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そこに“穴”があった。
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黒い穴。
星の形でもない。
光でもない。
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ただ「存在している空白」。
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ベガが息をのむ。
「これが……昼間の金星の観測点……?」
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その瞬間。
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穴の中から“音”がした。
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ドクン。
ドクン。
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心臓みたいな音。
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アルトが叫ぶ。
「なんかヤバいの出てくるやつだろこれ!!」
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そして――
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それは“現れた”。
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星の形をしていない。
光でもない。
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「影」だった。
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ただ一つ。
人の形に近い“黒い星”。
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ベガが震える。
「昼間の金星……の影……?」
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影はゆっくり動く。
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そして、ソラを見た。
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その瞬間。
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ソラの頭に“声”が響く。
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『見つけるのか?』
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「え……?」
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『見つけた後、お前は何を失う?』
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ソラは息をのむ。
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(声が……直接頭に……)
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ルナが一歩前に出る。
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「やめて」
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影が反応する。
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『お前は既に失っている』
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ルナの体が揺れる。
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ソラが叫ぶ。
「ルナ!!」
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ルナは苦しそうに笑った。
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「大丈夫……」
「これは……私のせいじゃない」
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ベガが剣を構える。
「離れて!」
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アルトも前に出る。
「わけわかんねぇけど守る!」
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スピカは泣きそう。
「みんな死ぬやつじゃんこれ!」
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ソラは一歩前に出る。
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心臓がうるさい。
でも足は止まらない。
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「お前が……昼間の金星なのか?」
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影は沈黙する。
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そして――
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『違う』
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『私は“見た者”だ』
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空気が凍る。
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ベガが呟く。
「見た者……?」
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影は続ける。
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『昼間の金星を見た者は』
『必ず何かを失う』
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『私は“失ったもの”だ』
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ソラの背中に寒気が走る。
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ルナが小さくつぶやく。
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「やっぱり……もう出てきた」
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「最悪の形で」
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影が手を伸ばす。
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空間が歪む。
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ベガが叫ぶ。
「来る!」
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その瞬間。
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ソラの中で何かが弾けた。
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(見えないものは、ないんじゃない)
(見えないだけなんだ)
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ソラは叫ぶ。
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「なら俺は――」
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「全部見つける!!」
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空が光る。
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影が一瞬止まる。
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ルナが驚く。
「ソラ……?」
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光の中で。
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小さな“星”が一つだけ現れた。
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昼でも夜でもない光。
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それは確かに。
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「昼間の金星の欠片」だった。
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影が初めて後退する。
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『それを持つな……』
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ソラはそれを握る。
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「これは……俺の答えだ」
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光が広がる。
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世界が揺れる。
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そして――
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すべてが元の森に戻った。
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遺跡の前。
静寂。
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さっきの出来事が嘘みたいに。
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しかしソラの手には、まだ小さな光があった。
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ルナがそれを見てつぶやく。
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「もう……始まっちゃったね」
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## 次回予告
### 第7話
## 「欠片を持つ者」
ソラが手にした“昼間の金星の欠片”。
それは世界のバランスを崩す危険な存在だった。
王都はソラを「危険因子」として追跡開始。
ベガの本当の任務も明かされる。
そしてシリウスが告げる衝撃の一言――
「その少年は、星そのものに選ばれている」
さらにルナの過去がついに語られる。
**次回、『欠片を持つ者』**
運命が、ソラを離さない。




