### 「失われる光」
# 『昼間の金星、僕はそれを見つけたい!』
## 第5話
### 「失われる光」
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森を抜けた先。
そこに広がっていたのは、空気の違う場所だった。
風が止まっている。
鳥の声がしない。
まるで時間が少しだけ壊れているような空間。
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「ここが……」
ソラは息をのむ。
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崩れた石柱。
半分埋もれた建物。
巨大な円形の遺跡。
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ベガが小さくつぶやく。
「星降りの遺跡……」
「古文書にあった場所よ」
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アルトは周りを見回す。
「おいおい、なんかヤバそうだぞここ」
「なんか腹減ってきた」
「今!?」
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スピカが遺跡の壁を触る。
「文字ある!」
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壁には古代文字が刻まれていた。
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その瞬間。
ルナが足を止める。
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「……ここ」
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ソラが振り返る。
「どうした?」
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ルナは遺跡を見上げていた。
震えるほど静かに。
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「ここに……あった」
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「何が?」
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ルナはゆっくり言う。
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「昼間の金星の“記録”」
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空気が変わる。
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ベガが古文書を広げる。
「やっぱり……」
「この遺跡は“星の観測所”」
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「昔、この世界には“昼の星”を観測する術があった」
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ソラは息をのむ。
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「じゃあ本当に……あるのか」
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ベガはうなずく。
しかし顔は暗い。
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「でも記録は途中で消えてる」
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そのとき。
アルトが叫ぶ。
「おい!これ見ろ!」
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遺跡の奥。
巨大な石碑。
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そこに刻まれていた文字。
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『昼間の金星を視た者は、代償を支払う』
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空気が凍る。
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スピカが震える。
「だ、代償ってなに……?」
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ルナは静かに答える。
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「記憶」
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沈黙。
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「見たものを覚えていられなくなる」
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ソラの胸がざわつく。
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そのとき――
拍手の音。
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「相変わらず、気味の悪い場所だな」
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振り返る。
そこにいたのは――
シリウスだった。
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金色のローブ。
冷たい笑み。
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「遺跡まで来るとはな、落ちこぼれたち」
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アルトが前に出る。
「またお前か!」
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シリウスは無視して遺跡を見上げる。
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「昼間の金星か」
「馬鹿げている」
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ベガが睨む。
「あなたには関係ないわ」
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シリウスは笑う。
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「関係あるさ」
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「それは“星の理”そのものだ」
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その言葉に、ルナがわずかに反応する。
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シリウスはルナを見る。
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「お前もそれを使っているのか」
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ルナは何も言わない。
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しかし空気が一瞬だけ凍る。
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ソラは気づく。
(この二人……知ってる?)
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そのとき。
遺跡が揺れる。
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ゴゴゴゴゴ……
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石碑が光り始める。
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ベガが叫ぶ。
「何か起動してる!」
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光の中心に浮かぶ文字。
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『観測を開始するか?』
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シリウスが一歩前に出る。
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「面白い」
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「見せてもらおうか」
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ルナが小さくつぶやく。
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「ダメ……それは……」
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しかし遅い。
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シリウスが石碑に手を伸ばす。
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その瞬間。
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世界が白く光った。
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## 次回予告
### 第6話
## 「昼の星、開かれる禁断」
石碑が起動し、遺跡が“星の観測装置”として目覚める。
ソラたちは強制的に異空間へ転送される。
そこに広がっていたのは――昼間の空に浮かぶ“もう一つの宇宙”。
そしてついに現れる。
昼間の金星の「影」。
その正体は希望か、それとも世界を壊す存在か。
さらにルナの過去が一部明かされる――
「私は、一度それを見たことがある」
**次回、『昼の星、開かれる禁断』**
世界が、少しずつ壊れ始める――




