第六十話「ユエの経緯を知りました」
お待たせしました。第六十話です。
ランチの後ののんびりタイプです?
みんなとのランチタイムも終わり、俺たち女子組は来賓室に案内されて食後の安らぎ時間を謳歌していた。女子が集まってすることと言えば、やはりおしゃべりタイムである。
「いや〜、どれも美味しかったですわね〜。ま、1番はやっぱりルーナ様のおにぎりでしたけども!」
「ほんとですねえ……幸せすぎてしばらく動きたくないですう」
ランチの後ともなれば、トークの議題はその話で持ちきりだ。早速、マルシアとカリアが夢見心地な様子でランチの感想を語る。
「うむ、確かに現代の料理は我の時代と比べて格段に美味くなっておるわ。特に、ジェイドとやらが持ってきた甘味には驚いたぞ」
「おや、クロウちゃんもミニョンスヴニールの魅力に気づきましましたわね?」
「今の我はユエだ、間違えるでない。でもまあそうだな。特にあのまかろんとやら、あれは実に美味だったな。……くそう、何故我はこやつに憑依してしまったのだ。人間の姿であれば、もっと味わえたというものを」
「……そうは言いますけど、カリアと大差ないほどがっついていたのはどこの誰だったかしら?」
「む。こやつめ、我々愚弄する気だな? このっこのっ」
「もうルーナ様あ、私もそこまで食べてないですよお!」
「ちょっと2人ともやめなさい……特にカリアはシャレにならないから本当にやめて」
俺がカリアとユエをまとめてからかうと、2人から挟み撃ちされてしまった。クチバシで軽く突いてくるユエはともかく、フィジカル最強のカリアは軽くポカポカするだけでもとてつもない衝撃が体に走る。折れてはないにしても、骨が歪んでしまっていないか不安が走る。
「あの、そう言えば1つ気になることがあるんですが……」
和気藹々としたムードの中、メリアがやけに真剣な面持ちで俺に問いかけてくる。
「ルーナ様とユエさんって、どういったご関係なのですか? 急に現れたかと思ったら、妙にルーナ様と親しげと言いますか……」
「……はっ。確かに、言われてみればそうですわね。ユエさんって何者なんですの?」
そういえば、色々ありすぎてユエのことを説明するのをすっかり忘れてしまっていた。今までなあなあになっていたが、メリアも流石に完全スルーする訳にはいかなかったのだろう。
チラッとユエの方を見やると、完全に呆れたと言わんばかりの表情でこちらを見ていた。
「なんじゃお主、我のことなんも説明しておらんかったのか。世話の焼けるやつだな」
「……はい、返す言葉もございません」
「……仕方あるまい。我が説明するとしよう」
俺が反省で俯くと同時にユエが俺の肩から膝の方へ飛び降り、メリアとマルシアに向けて説明を始めた。
「こほん。まず大前提として、我はルーナの遠い祖先だ。」
「ええ? ご、ご先祖様なのですか?!」
「驚きですわー!」
「……おいお主ら、まだ前提の話だぞ。そんなんで身が持つのか?」
2人(特にマルシア)のオーバーリアクションに、ユエはすっかりタジタジなようだ。ユエがこちらをチラッと見てくるが、ユエは自分で説明すると言った手前、助けを求めるのに躊躇っているようだ。なので、親指を立ててエールを送るだけにしておく。それを見たユエの眼光が一瞬鋭くなったような気がしたが、気のせいということにしておこう。
援護を得られないと悟ったユエは諦めたかのように振り向き直り、メリアとマルシアへの説明を再開した。
「それで、2ヶ月ほど前だったかな。ルーナが、我の残滓が封じ込まれていた闇魔術の極意書を開いたのがきっかけだ。その時我はクロウとやらにこっそりリンクを飛ばしておいた。完全にリンクするのに少し時間はかかったが、お陰で今こうしてこの場にいるという訳だな」
一通りユエの説明を聞いたメリアとマルシアだったが、今度はマルシアがユエに質問を投げかけた。
「では、何故クロウちゃんにリンクを繋げたのでしょうか? 流石に魔術でも、誰だって憑依できる訳ではありませんわよね?」
言われてみればそうだ。なぜユエはクロウを選んだのだろうか。最悪な話、リンクを繋ぐのは俺でもできたはずだ。今日は珍しくマルシアが冴えている。
「ほほう、良い質問だな。まあ、クロウしかいなかったからと言えば話しは簡単だがな。初めはルーナに試してみたんだが、どうやらルーナは特異体質みたいでな。上手くいかなくて諦めた。それでこのクロウに試してみたのだが、驚いたことに、こやつは我がかつて相棒にしていた、黒鳥のクロスケの子孫だったようだ。そのクロスケとの繋がりがあったからこそ、こうしてリンクできたという訳だ」
「そ、そうでしたの……?!」
「凄い……! ルーナ様とクロウは出会うべくして出会ったのですね!」
「運命的な出会い……素敵ですわ〜!」
ここにきて俺も知らなかった事実をユエはカミングアウトした。確かに眷属召喚は召喚主の性質に似た者が選ばれるというのは知っていたが、単に似ているだけではなく、まさか長い年月を超えた繋がりがあったとは夢にも思わなかった。
それに、俺が特異体質というのは「ルーナの中に既に俺がいたから」であろう。恐らくだが、流石に1人の器に3人の魂が入る許容は無かったのかもしれない。
そんな俺とユエ、クロウの感動的なエピソードに飲み込まれる5人であったが、来訪者を告げる扉のノック音にてその時間は終わりを迎えた。
俺が一声かけると、扉が勢いよく開く。その扉の先にいたのはなんと、仕事が山積みになって部屋に篭っていたはずのゼノの姿だった。
「ルーナちゃん達、ご機嫌よう〜! 元気にしてたかな〜?」
ゼノの姿と声を聞いた俺は、これから起こるであろうハプニングを想像してしまい、思わず顔を手で覆ってしまった。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
次回は30日投稿予定です。




