第五十八話「顔馴染みのメンバーが集まりました」
お待たせしました、第五十八話です。
これまでに登場した主要キャラ達が一堂に会します。
俺は城門の前で守衛している門番にギースから送られてきた招待状を見せる。その招待状が本物であることを門番が確認すると、目の前の大きな門が轟音を立てて開く。
その門が開いた先で俺たちを待ち構えていたのは、騎士の鎧を身に纏った、見知った人物だった。
「ルーナ様にカリア様、お久しゅうございます」
「あっユウラさん! お久しぶりですう!」
「ご機嫌ようユウラ。先日は大変だったわね」
「とんでもございません。むしろルーナ様の方こそ、何度も城の方へお呼び出しして申し訳ありません」
ユウラは先日のワイバーンとの戦いに参加していたが、大きな怪我をすることなく、負傷した部下たちをワイバーンの猛攻から防ぎきっていたのだとか。王族騎士団副団長の肩書きは伊達ではないようだ。
俺たちと挨拶を交わし終えたユウラは、初見のダンへと目線を移す。
「失礼しますが、もしや貴方がダン様でしょうか」
「は、はい! 私がダンでございます……!」
「なるほど貴方が……ペパー様より話は伺っております。よろしくお願いしますね」
「ふふ……柄にもなくダンのやつ、緊張しとるな」
「そりゃあ、初めてなら誰だってそうなるって。俺だって初めてここに来たそうだったし。ユエだってそうだったんじゃないのか?」
「いや? 我は生まれてこの方緊張などした覚えは無いぞ?」
「……聞く相手を間違えたかもなあ」
緊張で辿々しくなっているダンを見てユエが小声で俺に耳打ちをするように冷やかしを聞かせてきたので、その流れを断ち切るように俺はユウラに話を振った。
「そういえば、ゼノ王子はご息災でしょうか。正直な話、今回の出迎えはてっきりゼノ王子が来るものとばかり思っていたので……」
ゼノという固有名詞を聞いたユウラは一瞬表情が険しくなったかと思うと、大きな溜め息をついた。
「……ゼノ様は度重なる外出の結果、溜まりに溜まったお仕事を片付けている最中です。ほとほと、ゼノ様には困ったものです」
「……お変わりないのが分かって安心しましたわ」
「相変わらずゼノ様は面白いですねえ」
「なんじゃ。そのゼノとやらはそんなに面白いやつなのか。俄然興味が湧いてきたわ」
「……もしや変なことを考えてはいませんわよね?」
「——さて、なんのことだか我にはさっぱり分からんな」
俺たちの話を聞いてにやけ顔が止まらないユエを見て、ここでゼノの話題を出すのは失敗だったかもしれないと少し後悔する。掴みどころが無いこの2人が手を組んだら何が起こるか知れたものではない。
だが存在を知られてしまった以上は仕方ないので、滞在中にユエとゼノが顔を合わせないことを祈るしか無いだろう。
「さて、ここで立ち話をするのもなんですしそろそろ大広間の方まで移動しましょうか。既に皆様がそちらでお待ちになられていますので」
そうして、俺たちはユウラの促すまま大広間へと移動した。ユウラが大広間への扉を開け放つと、そこには見慣れた顔触れが揃っていた。
そこにいた桃色の髪の少女が俺の存在にきづくなり、猛スピードで抱きついてきた。
「ルーナ様ああ! 会いたかったですわああ!」
「会いたかったって……まだ1週間と経ってませんわよ」
「ふふ……マルシア様はずっとルーナを心待ちにソワソワされていましたものね」
感情が爆発しているマルシアのそばでメリアがくすりと笑う。初めて来た時は緊張で動きがぎこちなかった彼女も、すっかり慣れたようだ。メリアの精神面の成長には目を見張るものがある。
「ルーナ嬢には僕が1番に挨拶しようと思ったのだが……すっかり先を越されてしまったね」
「ふふーん! 私が1番乗りでしたわね!」
俺の腰に手を回しながらマルシアがギースに勝利宣言をする。……一体何で競い合っているのだか。耳元でユエが「お主も人気者だな」とからかってきたので、軽く指で小突いてお返しした。
ギースにちゃんと挨拶したいところなのだが、マルシアの細身な腕の力が抜ける気配が一向に無かった為、やむなくそのまま挨拶することにした。
「ご機嫌ようギース様。本日はお招きいただきありがとうございます」
「ようこそ、ルーナ嬢。君がここに来る時は何かと忙しなかったからね。今回はゆっくりくつろいでいってくれ」
「ええ、もちろんそのつもりです。楽しみにしていますわ」
「ありがとう。ルーナ嬢に期待されている以上は、それにちゃんと応えないとだね」
ギースに挨拶を終えると、今度はジェイドが間髪入れずにおれの近くにやってきた。
「よおルーナ! この前は助かったよ。礼を言うぜ!」
「ご機嫌ようジェイド様。……この前と言うと?」
「試験の話だよ。あんたらがいなきゃ今頃俺は補修を受けなきゃならなかったんだ。こうしてここで会えるのは、紛れもなくあんた達のお陰だ。本当ありがとな!」
ジェイドの言葉に賛同するように、マルシアも激しく首を縦に振る。お世辞にも2人の学力は高いとは言えず、2人が俺に頼み込んできたので勉強を教えることにしたのだが、あまりの手の負えなさにメリアとコニーにも協力を仰いだほどだ。
その件のコニーが深く溜め息をついたかと思うと、ジェイドの方に詰め寄り始めた。
「全く、少しは教える立場の身にもなってほしいものです。今回は難を逃れましたが、次からはもう少し自分で努力しなさい」
「それができれば苦労しねえよ……」
コニーとジェイドが完全にいがみ合ってしまって俺がすっかり蚊帳の外になったので、俺は後もう1人来ていたの男の元へと歩み寄った。
「ご機嫌ようギュラン様。ギュラン様もお呼ばれされていたのですね」
「ああ。お前とメリア、コニーが世話になっているからと第二王子から招待を受けた。正直全く乗り気では無いが……王族からの召喚を無視する方が余程怖いのでな。渋々だが来てやった」
「そ……そうでしたか……」
騒がしい面々を見てギュラン少々怪訝そうな顔をしているが、お陰でこの場に月プリの主要人物が揃い踏みしていることになる。
良くも悪くも個性的な顔触れだが、果たして何事もなく終わることができるだろうか。そして、今この場にはいないペパーがダンと顔を合わせた時、一体2人はどんな反応をするのだろうか。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
次回は24日投稿予定です。




