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第四十二話「国王に謁見しました」

お待たせしました、第四十二話です。

いよいよ国王と謁見です。

「ささ、僕の父さん――アルバー国王はこっちだよー」


「は……はい……」


 ゼノに促されるまま、俺はアルバー国王がいる謁見の間へと歩みを進めていた。だが、その道中俺は「なぜマルシアとメリアもいる中で俺だけなのか」という疑念が頭から離れずにいた。

 もちろん心当たりが無いわけではない。正直言って、俺の学園での行動は目に余るものばかりだと自覚している。しかし、俺”だけ”なのがどうしても引っかかる。何故なら思い当たる場面は全て、メリアとマルシアも当事者だからだ。

 ここまで考えると、やはりゲームでのあのシーンが嫌でも脳裏に浮かび上がる。ルーナはただ独りアルバーの前に突き出され、無慈悲な処罰を言い渡される。いくらルーナが泣き喚いても、許しを願っても、アルバーは表情1つ変える事はなかった。

 連行されてないとはいえその時と状況が酷似していることを踏まえると、処刑や追放とは言わずとも何かしらの理由で処罰を受けてもおかしくはない。それでも、これまで通りの生活を送るのは難しいだろう。


(脱破滅計画――これまでの苦労もここで終わるのかな……)


 と、上の空の状態で将来を憂いながら歩いていると前を歩いていたゼノに衝突してしまった。ぶつかった衝撃に意識を取り戻すと、目の前には厳かな扉が立ち塞がっていた。


「おっとと……大丈夫? ルーナ」


「あ……申し訳ございません、つい考え事を。もう謁見の間着いたのですか?」


「そうだよー。あまり緊張しすぎないようにねー」


 そう言いながらゼノが見張りの人に合図を送ると、目の前の扉がゆっくりと開かれた。開いた扉の先には数人の護衛騎士と、その中央に位置する玉座に鎮座する男――アルバーの姿が見えた。

 謁見の間に足を踏み入れるゼノに続いて俺も恐る恐る前に歩みを進める。アルバーに近づくほど先ほどのシーンがフラッシュバックして動悸すら感じてしまう。


「父上、ルーナをお連れしました」


「うむ、ご苦労であった。……すまないがゼノ、護衛の騎士たちと共にしばらく退室してくれまいか。私はルーナと1対1で話がしたいのだ」


「……承知しました。皆んな行くよ」


 護衛の騎士たちは何か言いたげな様子だったが、ゼノの号令に従って渋々謁見の間を後にした。ゼノたちが全員退室すると扉が閉じられ、その場には俺とアルバーのみとなった。


「……さて。ルーナよ、よく来てくれたな」


「はい、この度はお招きいただきありがとう存じます。アルバー国王におかれましても――」


「……ああ、ルーナよ。そんなに畏まらなくても良いぞ」


「ええと、それはどういう……?」


 アルバーの言葉の意図を汲み取れず首を傾げていると、アルバーが玉座から立ち上がって俺に近づいてきた。


「いやあ、正直堅苦しいのって凄く苦手なんだよね俺って。立場上息子たちや皆んなの前では厳格に振る舞ってるけどさ、もう息苦しいのなんのさ」


「そうだったのですか……まるでゼノ様みたい」


「そう! ゼノはまるで俺の生き写しみたいでさ。俺が言うのもなんだけど本当困ってるんだよ。俺の父――先代国王も同じ気持ちだったのかなって思うと頭が痛くて堪らないよ……」


「はは……心中お察しします……」


 ゲームをプレイしていた時に感じた厳格な印象とは180度違うフランクすぎるアルバーに、思わず気後れしそうになる。まさかアルバーがこんな気さくな人物だったなんて、転生前の俺に言っても絶対信じないだろう。


「……と、長話がすぎちゃったね。そろそろ本題に入ろうか。君だけを呼んだのはいくつか理由があってね」


 そう言ってアルバーは軽く咳払いをした後、俺に向かって頭を下げてきた。


「まずは君が倒したグリフォンの件だ。本来、そこに生息しないはずの危険な魔物が現れた場合は王族の騎士たちが対処することになってるんだけど、知性も高くて肉体も頑丈なグリフォンを相手にしたら、犠牲は免れなかっただろう。……1人の犠牲も出さずに討伐してくれたこと、心より感謝するよ」


「頭を上げて下さい! あの時はその……少し鬱憤が溜まっていたといいますか、成り行きでそうなっただけで……。それに、その時使った闇魔術のせいでクラスメイトの皆さんを萎縮させてしまいました。その後すぐギース様方に庇ってもらえなかったら、きっと今頃私は恐怖の対象になっていましたわ。こちらこそ、ギース様にはいつもお世話になっております」


 正直、あの時は後先考えず短絡的な行動をしてしまったと反省している。ギースやメリアたちのフォローが無かったらと思うと今でもゾッとする。危険な攻略対象だからと距離を取ってしまっていた、ギースと出会って間もない頃の俺に説教してやりたい。


「いやいや、ギースについては俺からも礼を言いたいくらいさ。君と出会ってからのギースは本当毎日楽しそうにしているんだ。連休の時なんて、仕事を放ってまで君に会いに行くくらいだしね。学園に入る前のギースでは考えられない話だよ」


 確かにあの時の訪問は唐突すぎたが、まさかそこまでしてルーナに会いに来てくれていたとは。アルバーの言う通り、真面目な印象が強い彼からは考え難いエピソードだ。


 と、そこまで話したところでアルバーの目つきが急に鋭くなる。ゲームプレイ時に感じた威圧感を僅かながら感じ取った俺は、思わず息を呑んだ。


「ところでルーナ。ギースとの婚約関係は、まだ保留しているということで間違いないかな?」


「ええ、その通りですが……」


 ここで婚約の話が出るということは、つまりはそういうことなのだろう。ここでの返答次第で、ルーナの人生は大きく変わるかもしれない。


「ふむ……では単刀直入に聞こう。ギースとの婚約、受け入れる気は無いのか?」

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

次回は4日投稿予定です。

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