第59話◇ 訳ありのドワーフ
ラグナードへ戻ったのは、バルガードを出てから数日後の午後だった。
見慣れた城壁が街道の先に見えた時、コウイチは思っていた以上にほっとしている自分に気づいた。
バルガードも悪い街ではなかった。むしろ鉱石や鍛冶、ダンジョンという今まで知らなかったものに触れられたという意味では、かなり実りのある旅だったと思う。
その代わり、肋骨を3本折った。
治療師から馬車での移動を許されてはいるものの、長時間揺られた身体にはまだ疲れが残っている。
「やっと着いたな」
「はい」
隣に座っていたミアも、窓から城壁を見ていた。
「コウイチ様、痛いですか?」
「もうほとんど平気だよ」
「ほとんど?」
「……まだ少しだけ」
誤魔化しても無駄らしい。
馬車を降りたあと、2人はまず宿へ戻って荷物を置いた。
本当なら、今日はそのまま休んでもいい。
だが、ラグナードへ戻ったらルークのところへ行くと、馬車の中ですでに決めていた。
「ミア」
「はい」
「疲れてるか?」
「大丈夫です」
「じゃあ、ルークのところだけ行ってみるか」
ミアは少し考えるようにコウイチを見てから頷いた。
「次の人を探すんですね」
「ああ。ただ、今日買うとは限らないぞ。どんな奴がいるか聞くだけだ」
「はい」
手持ちの金は、金貨9枚と銀貨23枚、銅貨50枚。
バルガードへの往復や治療、装備の手入れなどで減っている。鉱殻ゴーレムの魔石や素材はまだ売っていないため、今すぐ大きな出費をするなら慎重になる必要があった。
もちろん、自分たちにできないことができるだけなら、候補はいくらでもいるだろう。問題は、その人間と一緒に行動できるかどうかだ。
コウイチは隣を歩くミアをちらりと見る。
最初に奴隷商館へ向かった時とは、考え方が少し変わっていた。
あの時は契約によって裏切られる危険を減らせることを重視していたし、実際、それがミアを買う理由の1つだった。
今度は、それだけでは足りない。
ダンジョンで背中を預けるなら、契約があるからではなく、その人間の行動を見て、任せられると思えることの方が重要だった。
もちろん、会ったその日にそこまで分かるはずもない。
だからこそ、まず会ってみる。
◇
ガルディ奴隷商館へ入ると、以前と変わらない落ち着いた空気が2人を迎えた。
受付で名前を告げると、それほど待たされることなく奥の部屋へ案内される。
「お久しぶりです、コウイチさん。それにミアさんも」
ルークは、以前と変わらない笑顔で2人を迎えた。
「久しぶり」
「お元気そうで何よりです……と言いたいところですが」
ルークの視線が、コウイチの身体をゆっくりと見る。
「何かありました?」
「分かるのか?」
「歩き方が少し硬いので」
コウイチは思わず自分の足元を見た。
自分では普通に歩いているつもりだった。
「肋骨を折った」
「それはまた」
「もう治りかけてる」
「何をされたら肋骨を折るんです?」
「ゴーレムに殴られた」
ルークが一瞬だけ黙る。
「……随分と元気な旅をされていたようですね」
「俺もそう思う」
勧められた椅子へ腰を下ろすと、ミアも隣に座った。
ルークは2人を見比べてから、わずかに目を細める。
「それで今日は?」
「人を探してる」
「なるほど」
驚いた様子はなかった。
「どのような方を?」
「まだ決めてない」
「決めていない?」
「ああ。戦えるだけの奴が欲しいわけじゃないんだ。俺とミアにできないことができる奴が欲しい」
ルークは少し考えた。
「随分と広い条件ですね」
「だから見に来たんだよ。俺たちだけじゃ何が足りないのかも、まだ全部分かってないからな」
「なるほど」
ルークはそこで、ミアへ視線を向けた。
「ミアさんはいかがです? 新しい方が増えることについて」
「私は大丈夫です」
「即答ですね」
「コウイチ様が決めるなら」
そこまで言ってから、ミアは少し考えた。
「でも、会ってから決めた方がいいと思います」
コウイチは思わずミアを見る。
「俺もそう思ってた」
「はい」
ルークが小さく笑った。
「以前とは少し雰囲気が変わりましたね、お2人とも」
「そうか?」
「ええ」
それ以上は説明せず、ルークは立ち上がった。
「ちょうどいい方がいます」
コウイチは眉を寄せる。
「もう?」
「正確には、コウイチさんが好きそうな方が入りました」
「……その言い方、前にも聞いた気がするな」
「結果としてミアさんをお買い上げいただけましたので、私としては成功例です」
ミアが自分のことを言われ、少しだけ耳を動かす。
「ただし」
ルークが続ける。
「今回も少々、訳ありです」
「またかよ」
「普通の方をご紹介しても、コウイチさんは面白くないでしょう?」
「俺を何だと思ってるんだ」
「良い意味で、普通の商品を普通に選ばないお客様だと思っています」
「それ、褒めてるか?」
「もちろんです」
信用ならない笑顔だった。
ルークに案内され、以前ミアと会った時とは別の部屋へ向かう。
扉が開いた。
中にいたのは、小柄な女だった。
年齢は、見ただけでは分かりにくい。
背丈はミアと大きく変わらないが、身体の印象はかなり違った。腕や肩が太いわけではなく、服の上から見れば筋肉質という感じもしない。
むしろ最初に目についたのは、落ち着いた顔立ちだった。
少し癖のある濃い茶色の髪を後ろでまとめ、椅子に座って何かの小さな金属片を眺めている。その目つきには妙な集中力があり、奴隷商館で商品として待っているというより、作業机に向かう職人か研究者のようにも見えた。
ただ、華奢ではない。
手首や肩の位置、座っているだけでも分かる重心の低さから、身体の芯そのものがしっかりしているように見える。
女がこちらへ気づいた。
「あ」
手にしていた金属片を置き、すぐに立ち上がる。
その動きは、意外なほど軽い。
「この方です」
ルークが言った。
「ドワーフです」
コウイチは黙った。
ドワーフ。
つい数日前まで、自分たちはバルガードにいた。そこで何人ものドワーフを見て、採掘や鉱石、鍛冶、加工について、自分たちに足りないものを嫌というほど思い知らされた。
今もミアのマジックポーチには、正体不明のA品質の鉱石が入っている。
その状態でラグナードへ戻り、仲間を増やそうと奴隷商館へ来た。そしてルークが紹介したのが、ドワーフだった。
出来すぎている。
コウイチは女からルークへ視線を移した。
「……ルーク」
「はい?」
「お前、俺たちのこと見張ってないよな?」
「はい?」
珍しくルークがきょとんとした。
「俺たちがどこへ行ってたか知ってるか?」
「いいえ。どちらへ行かれていたのです?」
「バルガードだ」
「鉱山都市の?」
「ああ。じゃあ、俺たちがダンジョンへ入ったことも、ゴーレムと戦ったことも知らなかった?」
「ええ。肋骨のことも、先ほど初めて伺いました」
即答だった。
コウイチはしばらくルークの顔を見る。
嘘をついているようには見えない。
もちろん、それだけで信用するつもりはないが、少なくとも今の反応は本当に何も知らなかったように思えた。
「……偶然か」
「何がです?」
「いや。タイミングが良すぎたからな」
「どういう意味でしょう?」
「こっちの話だ」
ルークは少し考えたあと、目の前のドワーフを見た。
「よく分かりませんが、もしドワーフをお探しだったのでしたら幸運でしたね」
「探してたわけじゃない」
「では、やはり私の見る目が良かったということで」
「自分で言うなよ」
「奴隷商人ですので」
さらりと言われる。
やはり、ルークは人をよく見ている。
監視しているという意味ではない。どういう人間が何を選ぶのかを、商売として見ているのだ。
「で、なんで俺がこの人を好きそうだと思った?」
「前回、普通のお客様が選ばない方を選ばれましたので」
ルークの視線がミアへ向く。
「ミアが《???》を持ってたからか?」
「それもあります。ただ、それだけではありません」
ルークは少し考えてから続けた。
「ミアさんは当時、半年ほど買い手がついていませんでした。通常の技能を持たず、読み書きも十分ではなく、固有スキルらしきものがあっても効果が分からない。多くのお客様にとっては、金貨3枚を払う理由がありません」
「そうだったな」
「ですがコウイチさんは、分からないことを理由に、価値がないとは判断されなかった」
その言葉に、コウイチは少しだけ黙った。
「……よく覚えてるな」
「仕事ですから」
「やっぱりお前、人のこと見すぎじゃないか?」
「それも仕事のうちです」
「怖いな、奴隷商人」
ルークが微笑む。
「ですから今回も、少し変わった方をご紹介しました」
「最初から俺が来るのを知ってたみたいな言い方だな」
「では、たまたま入った変わった方を覚えておいた、と申し上げておきます」
「それなら分かる」
そこで、先ほどから黙って話を聞いていたドワーフの女が手を上げた。
「質問していい?」
コウイチは少し意表を突かれた。
「……俺に?」
「うん!」
「いいけど」
「ゴーレムって、何のゴーレム?」
「そこを聞いてたのか」
「聞こえたから」
当然のように答える。
「鉱殻ゴーレムってやつだ」
女の目が少し変わった。
「どこで?」
「バルガードのダンジョン」
「何階層?」
「2階層」
「2階層?」
今度はルークではなく、ドワーフの方が驚いた。
「鉱殻ゴーレムが?」
「ああ」
「普通はいないよ?」
「俺もあとで聞いた」
「どうやって出たの?」
「見た目は普通の岩だった。でも、《鑑定》したら名前の分からない鉱石と出た。それをつるはしで叩いたら壁が崩れて、中から出てきた」
「どんな岩?」
「色は周りとほとんど同じだったと思う」
「硬さは? 叩いた時の音は? 壁と岩の境目はあった? そのゴーレムの外殻は何色だった? 倒したあと魔石以外に何か残った? 鉱物は? 欠片は持ってる?」
「……ちょっと待て」
止めると、女は口を閉じた。
「1個ずつ聞いてくれ」
「うん! 分かった!」
素直に頷き、少し考えてから口を開く。
「じゃあ、倒したあと何が残ったの?」
「そこからなのか」
「一番気になるから!」
横を見ると、ミアも少し驚いたように女を見ている。
ルークだけは慣れているのか、平然としていた。
「……これが訳あり?」
「まだ、ほんの一部です」
「嫌な言い方をするなよ」
コウイチはため息をついてから、ミアを見る。
「例の石、出せるか?」
「はい」
ミアが腰のマジックポーチへ手を入れた。
それを見たドワーフの視線が、すぐにポーチへ向く。
「それ、マジックポーチ?」
「はい」
「どれくらい入るの?」
「おい」
「あ」
女は口を閉じた。
「今は石だ」
「うん!」
ミアが【???鉱石】を取り出す。
拳ほどの黒灰色の塊。
それを見た瞬間、ドワーフの女から笑顔が消えた。
「……それ」
「分かるか?」
「見てもいい?」
「どうぞ」
女は両手で受け取ると、まず重さを確かめるように何度か持ち替えた。
次に顔へ近づけて表面を見てから、指でなぞり、爪を当て、角度を変えて光へかざす。
さっきまでの明るく単純な雰囲気は消えていた。
目だけが、異様なほど真剣になっている。
しばらく、誰も口を挟まなかった。
「どうだ?」
コウイチが聞く。
女は鉱石を見たまま答えた。
「分からない!」
「……そうか」
思わず肩の力が抜ける。
ドワーフなら何か知っているかもしれないと思ったのだが、さすがに都合よくはいかなかったらしい。
ところが、女は鉱石から目を離さなかった。
「でも、これどこで出たの? さっきのゴーレムから? そのまま落ちた? 外殻の中に入ってたの? 割れた時に出た? 最初からこの色? 削った? 熱した? 魔力は通した? 硬さは調べた? 重さは測った? 同じものは他にも――」
「待て待て待て」
また止める。
「1個ずつって言ったよな?」
「うん! 分かった!」
「絶対分かってないだろ」
「分かってるよ?」
「じゃあ、なんで増えるんだよ」
「聞きたいことが増えたから」
「……なるほど」
理屈だけは通っていた。
ミアが隣から鉱石を覗き込む。
「それが何か、本当に分からないんですか?」
「うん。見たことない」
「ドワーフでも?」
「ドワーフだって、知らないものは知らないよ」
女は当然のように言ったあと、鉱石を指先でゆっくり回した。
「でも、たぶん普通の鉱石じゃない。重さがおかしいし、表面も変。母岩がほとんど付いてないのも気になる。もし本当に魔物が落としたものなら、普通に鉱脈から掘ったものと同じように考えない方がいいかもしれない」
さっきまでとは違い、説明に入ると口調が落ち着いた。
「見ただけで、そこまで分かるのか?」
「分かるんじゃなくて、考えてるだけ」
女はすぐに訂正した。
「まだ何も調べてないから、今言ったことが合ってるかは分からないよ。重さも手で持った感じだけだし、表面もちゃんと拡大して見てない。硬さも測ってないし、熱を入れた時にどうなるかも分からない。だから今分かるのは――」
そこで初めて、鉱石から顔を上げる。
「分からないってことだけ!」
「……それは最初に聞いた」
「うん!」
明るく返され、コウイチは思わず笑いそうになった。
変わった女だが、嫌いではない。
分からないことを誤魔化さず、知らないのに知っているふりもしない。その代わり、分からないと知った途端に、どうすれば分かるのかを考え始める。
どこかで見たような性質だった。
「名前は?」
コウイチが聞くと、女は答えようとした。
だが、その横でルークが先に口を開く。
「その前に、コウイチさん」
「なんだ?」
「この方をご紹介するなら、先に価格と事情をお話ししておいた方がよろしいかと」
「事情?」
「先ほど申し上げたでしょう」
ルークの笑みが少しだけ深くなる。
「訳ありです、と」
そういえば、まだ聞いていなかった。
「普通なら、ドワーフはいくらくらいなんだ?」
「鍛冶や採掘など、明確な技能を持つ成人のドワーフであれば、金貨30枚前後になることもあります」
「……30?」
予想より遥かに高い。
今のコウイチには手が届かない。
だが、ルークは続けた。
「こちらの販売価格は、金貨10枚です」
今度は別の意味で黙った。
3分の1。
安い。
安すぎる。
だが、安いとはいっても金貨10枚だ。
現在の所持金は金貨9枚と銀貨23枚、銅貨50枚。どう計算しても銀貨76枚と銅貨50枚が足りない。
「……欲しくても、今の手持ちじゃ少し足りないな」
「そうでしたか。それは残念です」
ルークが答えたところで、隣にいたミアが小さく手を上げた。
「あの、コウイチ様」
「どうした?」
「こちらは、代金の足しになりませんか?」
ミアが腰のマジックポーチへ手を添えた。
「それを?」
「はい」
コウイチは少し驚いた。
そのポーチは、バルガードへ向かう前にミアのために《生成》したものだ。旅の間も肌身離さず持ち歩き、ダンジョンでは回復薬や道具の収納に役立っていた。
「でも、それはお前のために用意したものだぞ?」
「はい。でも、代わりのものを用意していただけますよね?」
「……まあ、それはできるけど」
「でしたら、大丈夫です」
ミアは迷いなく答えた。
確かに、コウイチにとってマジックポーチは、必要な知識と魔力があれば再び用意できる道具だった。
それでも、ミアが自分から差し出すとは思わなかった。
「ルーク、このマジックポーチは代金の一部として引き取ってもらえるか?」
「拝見してもよろしいですか?」
「ああ」
ミアはポーチの中から回復薬や水袋、本などを取り出し、コウイチへ渡していく。
鉱殻ゴーレムの魔石と外殻も取り出され、最後に残っていた小物まで移し終えると、空になったポーチをルークへ差し出した。
正体不明の鉱石は、まだドワーフの女が手にしている。
ルークは受け取ったポーチの縫製や金具を確かめ、収納部分の状態も調べた。
「……これは、なかなか良い品ですね」
「そうなのか?」
「ええ。傷みもほとんどありませんし、容量拡張も正常に機能しています」
ルークは何度かポーチを裏返し、丁寧に状態を確認する。
「この程度の容量を持つマジックポーチでしたら、市場での販売価格は金貨3枚ほどでしょう」
「そんなにするのか」
「携帯しやすい収納魔道具ですからね。冒険者だけでなく、商人にも需要があります」
「それなら、いくらで引き取れる?」
「そうですね……金貨2枚と銀貨50枚でいかがでしょう?」
金貨2枚と銀貨50枚。
十分な金額だった。
これなら、金貨10枚を支払っても手元に金が残る。
コウイチは隣のミアへ顔を向けた。
「本当にいいのか?」
「はい」
「気に入って使ってたじゃないか」
「また用意していただけるなら、大丈夫です。それに……」
ミアは少しだけ言葉を選んだ。
「私も、新しい仲間が欲しいです」
コウイチはしばらくミアを見つめた。
最初に会った頃なら、自分の持ち物を手放すことを、彼女はこんなふうに自分の意思で提案しただろうか。
今は違う。
必要だと思えば、自分で考えて行動する。
「……そうか」
コウイチは頷いた。
「ルーク、その金額なら助かる。ただし、まだ買うと決めたわけじゃないからな」
「もちろんです。ご購入を決められた際に、代金の一部としてお引き取りしましょう」
ルークはそう言って、マジックポーチをミアへ返した。
ミアは受け取ったポーチを腰へ戻す。
コウイチは改めて目の前のドワーフを見る。
彼女はそんな話など気にしていないのか、まだ【???鉱石】を夢中になって眺めていた。
「……何をやらかした?」
「やらかしたって何?」
「お前の話だよ」
「私?」
「そう」
女は少し考える。
「分からない!」
「またそれかよ」
ルークが小さく咳払いをした。
「能力が低いわけではありません。身体能力はドワーフらしく高く、《採掘》も習得しています」
「じゃあ、なんで金貨10枚なんだ?」
「理由はいくつかありますが――」
ルークはそこで、鉱石に夢中になっている女へ目を向けた。
「まず、非常に扱いづらい」
「聞こえてるよ!」
「聞こえるように言っています」
「そっか!」
怒らないのか。
コウイチは少しだけ頭が痛くなってきた。
「それと、もう1つ」
ルークの表情が少し変わる。
「この方には、通常とは異なるスキルがあります」
コウイチの意識が切り替わった。
「固有スキルか?」
「ええ」
「効果は?」
「それが、評価しづらいのです」
その言葉を聞いた瞬間、コウイチは隣のミアを見た。
ミアもこちらを見ていた。
半年前まで売れ残っていた少女。
効果の分からない《???》を持っていたため、価値を判断されなかった。
似ている。
「名前は?」
ルークは答えた。
「《探求》です」
コウイチはもう1度、目の前のドワーフを見る。
本人は相変わらず、A品質、純度100%の正体不明の鉱石を夢中になって眺めていた。
分からない。
だから、知りたい。
その姿を見ていると、《探求》という名前だけは妙に納得できた。




