↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界詐欺師 ~魔法が使えない俺は、嘘だけで世界を騙す~  作者: エース・レッド


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/47

祭りは静けさとともに


 ホイスルーランド、街の中央にある武闘大会用の試合場。


 四角のステージを囲むように観客席があり、席は二階席、三階席、立見席まである。


 普段はモンスターと人間との戦闘観覧が目玉として開かれているが、今日は違った。


 ステージの中央で、派手なパステルカラーの衣装を着たMCが、拡声魔法を使い、声高に叫ぶ。


『さあさあ皆さまお待たせしました! 今日のスペシャルステージはなんと! 勇者様との一対一の武闘対決が出来る、挑戦形式の武闘ショーだああああ!』


 立見席まで満員になっている観覧席が、一気に歓声を上げた。


『挑戦者は事前に決まった10名だが、飛び入り参加ももちろん歓迎だああああ! 皆、全力で楽しんで行ってくれええええ!』

『おおおおお!』


 会場のボルテージはMAXになっていた。一種のお祭り状態である。


 そんな中、マオは観客席の一番前の席で青白い顔をしながら、魂を半分飛ばしていた。


 ザビトはといえば、売店で買ったチュロスをむしゃむしゃと頬張っていた。


 何とも緊張感のない光景である。


 どう見ても逃亡者に見えない二人は、無事会場に馴染んでいた。


 会場のボルテージはますます上がる。MCが入場ゲートを指さした。


『それでは挑戦者の発表だあああ! エントリナンバー一番、アレクシュドラああああ!!』

『おおおおおお!』

『そしてそして、世紀の異世界来訪者、サイトウ ユウマああああああああ!』

『おおおおおお!』


 ユウマが入場する。割れんばかりの歓声が起こり、紙吹雪や紙テープなどが投げられた。


 ユウマは紙吹雪の中を観客に手を振って、人好きのする笑顔を浮かべていた。


「おうおう、凄い人気だねえ~。お兄さん嫉妬しちゃう」

「うう~……人、多い……」


 二者二様の反応を浮かべながら、ザビトとマオはユウマを見る。


 ユウマは背中にロングソードを背負っていた。白光するそれは、『勇者しか扱えない』といわれた伝説の剣らしい。王都の森林深くに眠っていたのを、ユウマが見つけたそうだ。


 何ともおとぎ話に出てきそうな話である。


 剣の効能については公表されていないが、やれ魔法はすべて無効化されるなど、やれ一太刀で龍を消せるなど、その真偽は定かではない。


 しかしユウマが愛用しているのをみるに、実践的な効能そうだ。


 ザビトはむしゃっとチュロスを食べ終わると、やる気のない眼でユウマを見た。


 ステージの中央に、ユウマと対戦者が向かい合う形になり、試合開始の合図が待たれた。


『それでは一試合目、レディ・ファイ!』


 MCの合図で、挑戦者はいきなりユウマの懐に飛び込んだ。


 しかし、ユウマはそれを避けると、下級魔法・氷壁で挑戦者の着地する部分を凍らし、バランスを崩させた。


 だが、挑戦者も黙ってはいない。倒れながらユウマに薙ぎ払いをし、近づけさせない様にした。


「ほおー」


 思わずザビトは声を出すが、マオは興味なさげに見つめていた。


 その後挑戦者が中級魔法・火炎砲を使ったことで会場はどよめいたが、ユウマは一薙ぎすると魔法は霧散し、挑戦者は驚愕に顔を染めた。


「悪いけど僕に魔法は効かないよ。それこそ洗脳魔法みたいな神聖創造魔法じゃないとね」

「くそ!」


 荒々しくユウマに突っ込んでいった挑戦者の下払いを、ユウマは難なく避けると、そのまま挑戦者の首元に剣を当てた。


 無駄のない、見事な動きだった。


『勝者、勇者ユウマだあああああ!』

『おおおおおおお!』


 会場の割れんばかりの賞賛に、ユウマは手を振って答える。


 そして挑戦者と握手すると、間を置かずに次々と挑戦者が現れた。


 しかし、ユウマに疲労は見られない。安定した力で、いや、圧倒的な力で相手の技をいなし、軽々と相手を地に伏していた。


 その光景を見て、ザビトはマオに問うた。


「……魔界ってどんだけ強いんだ?」

「ん~? ここに居る人たちが弱すぎるだけだよ~」

「わあお」


 あっさりと規格外なことを言われ、若干ザビトはマオと契約をしていてよかったと思った。

 多分マオが本気の魔法を使える状態であれば、人間界など木っ端みじんだろう。

 そんな相手と戦争しようとしていたのだから、人間は本当に怖すぎる。無謀過ぎないだろうか?


 試合はエントリーしていた挑戦者の分が終わり、次は飛び入り参加の時間となった。


 会場は待ってましたと言わんばかりの歓声が上がる。


 MCが観客席に向かって声を張り上げた。


『誰か挑戦する者はいないかあああ!? 勇者様とバトルできるまたとないチャンスだぞおおおお!』


 観客たちは一斉に互いに顔を見合わす。見るのはいいが、自分が出るのは違うらしい。


そこでザビトが動いた。


(紅眼かどうか、確かめてやる)


 心の中で舌なめずりをする。


「は~い! 俺やりま~す!」


 左腕を名一杯上げ、MCにアピールする。

一番前の席とあって、すぐにMCが気づいてくれた。


『おお! それじゃあ一番前の席にいるあんちゃん! ステージにカモーン!』


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。