第3話 噂の影は笑顔の裏に
「ねぇ、紬。昨日の掲示板、また荒れてる」
蒼がスマホを指さす。
「うん……理央の噂の件が、別の方向に膨らんでる」
紬は眉を寄せ、ノートを開いた。
「悠里ちゃん、昨日の事故でびっくりしたよね」
「うん……でも、もう大丈夫」
悠里は小さく笑うが、目が少し伏せている。
「ところで、事故のことを“怨霊のせい”って言ったの、誰?」
「え……そんなの誰も言ってないよ」
理央は慌てて否定した。
「噂は、善意でさえも勝手に膨らむ」
紬は蒼に目を向ける。
「おい、今日は俺も手伝うぞ」
「ありがとう。でも、噂を止めるのは難しい」
紬はペンを回し、分析の手を止めない。
掲示板には書き込みが続く。
「悠里ちゃん、事故の後、階段を見ると怨霊が……?」
「嘘でしょ? でもちょっと怖い」
紬は眉をひそめる。
「人は“怖い”と思うと、噂に加担する」
「つまり、恐怖は噂の栄養か」
蒼は笑いながら言う。
「その通り。だから、私たちは噂を解剖する」
紬は悠里に向かって言った。
「私、迷惑かけちゃったかな」
悠里は小さく俯く。
「いいえ。あなたは被害者。でも噂は、誰かの思い込みや想像で勝手に育つ」
紬は穏やかに答えた。
「私、もっと強くならなきゃ」
悠里の目が少しだけ輝く。
蒼が冗談っぽく肩をすくめる。
「よし、噂解剖部、今日も仕事開始だな」
紬はノートを閉じ、微笑む。
「うん。噂の先にあるのは、ただの真実だけじゃない」
#学園掲示板
「悠里ちゃん、昨日のこと大丈夫かな」
「でも紬と蒼がいるから安心かも」
「噂って怖いけど、ちゃんと見てくれる人もいるんだね」




