第2話 召喚
第2話 召喚
「ようやく目を覚ましたわね、ルナ。気分はどう?」
「ここは…?あなたは誰?」
「私は女神ベス。力と自由を司る闇の女神。ルナ、思い出せるでしょう?前世で起こった出来事を」
…そうだった。
私は、田舎の銀行に勤めている真面目な普通の女子だった。
小さい頃から真面目に頑張って勉強もしたし、親や先生の期待に応えるべく、努力してきた。
友達との付き合いだって、手を抜かなかった。
だから、みんなから嫌われることも無く、無難な生活を送るはずだったのに…。
あの日は曇天で、気分が良くなかった。
頭痛がするし、いやな予感がした。
でも、真面目な私はいつもの時間に出勤した。
いつものようにカウンターの席に座り、業務を開始して、しばらく経ったときだった。
いきなりあいつらは現れたのだ。
あいつらは銀行の中に入ると、拳銃で脅しながら、人質を取った。
私は、あいつらに気づかれずにこっそりと、緊急連絡ボタンを押すことに成功した。
それなのに…、それなのに、馬鹿な店長はそれをみて、私にうなずきかけた。
それを見逃すあいつらでは無かった。
私のすぐ近くに緊急連絡ボタンがあることを確認すると、激高して何かを叫び、そのまま私は拳銃で撃たれてしまった。
薄れゆく意識の中で、私は後悔した。
こんなに真面目に頑張ってきたのに…私の人生って何だったの?
もし次の人生があるなら…。
「…思い出したようね。今、私の眷属が召喚の儀を行って、勇者を召喚しようとしているわ。勇者として私が選んだのはあなた。前世の経験をふまえ、思いっきり自由に生きてみなさい」
「あなたには、私が最強だと思う戦闘能力を授けるわ。この世界では生き抜くために戦わなければならない、そのための力よ」
「そして力があれば、ほとんどの望みは叶うでしょう」
「それで、女神様、その力を得た私はどうすれば良いの?女神様は何を私に望んでいるの?」
「そうね、勇者として魔族の英雄になり、魔族を導いて欲しいの。今からあなたに授ける能力があれば、成し遂げることが出来るはずよ。そして、女神サリアの眷属と戦い、私の眷属のために、勝利して欲しい」
「まあ、その前に魔王の問題があるわね。私の眷属が今召喚の儀をしているのは、魔王を討伐して欲しいから。まずは力を蓄え、魔王を討伐して欲しい。その後サリアの眷属と戦い勝利する。それがあなたに望むことよ」
「それで、女神様は私にどんな能力を授けて下さるのですか?」
「あなたには、魔法と剣の両方に長けた、魔法剣士の能力を授けます。しかも魔法は、通常の魔法だけではなく、この世界の最強魔法である時魔法を使えるようにするわ。時魔法はほとんど使える者がいない最強の魔法よ」
「私が魔法剣士?それで誰よりも強くなり、好きに生きていけるのね…」
「魔王の討伐とサリアの眷属との戦いはしてもらうけどね。それ以外は自由にして良いわ。それが嫌なら、この話はなし。別の者を召喚し直すわ」
「分かりました、やります。で、私は魔族に転生するのですね?」
「そう。魔族といっても人間族との違いは一つだけ。魔族には体のどこかに魔晶石が付いているの、それが唯一の違い。それは外部から力を取り込んで、魔力に変換するためのもの。クリスタルの色は様々あって、その色はその者の能力の高さを表しているの。あなたには紫のクリスタルが付いているわ。紫色は最高位のクリスタルの色で、特別な色なのよ」
「…女神様、私に今の姿を見せてくれませんか?」
「いいわよ」
等身大の幻影が私の前に現れた。
それはピンク色の瞳と髪を持ち、均整のとれた身体と美しい顔を持つ美少女だった。
でも、肌の色は青白い…。
「これが、私…」
「女神様、瞳と髪の色を薄紫に、肌の色を前世の私の色に変えて貰えませんか?」
「いいわよ」
「あっ、変わった!こちらの方が良いわ。あと、この胸のクリスタルをもう少しだけ上にして貰えませんか?」
「ええ」
「その位置なら、服装で隠すことも、敢えて見せることも出来るわね。あなたのその肌の色は、魔族では忌み嫌われる色。実力が認められるまでは、クリスタルが見える服装をすることを勧めるわ」
「で、もう注文はない?」
「ありません」
「じゃあ、魔王の件とサリアの眷属の戦いの件は頼んだわよ。転生したらまずはスキルを確認しなさい、それから、戦闘では時魔法のスロー・タイムを使いなさい。しばらくはそれで何とかなるわ。それじゃあ、期待しているわよ」
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