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第60話 アース・ドラゴン

ドラゴンとの戦い

第60話 アース・ドラゴン

エライザと僕の攻撃は、確実にドラゴンにヒットした。

しかし、この世で最高に硬いとも称されるその鱗に阻まれ、ダメージを与えることが出来ない。

「鱗のない所を狙う」

僕は、先ほどよりもさらに強くジャンプすると、呪文を唱え終えようとしていたアース・ドラゴンの顔面の高さまで到達し、赤く光る目に、手裏剣を突き入れた。

苦痛のあまり詠唱を中断し、よろめくアース・ドラゴン。

その間に、エライザはアース・ドラゴンの後方へと移動すると、ドラゴンの尻尾の根元の裏側に斬撃を加えた。

この部分は、ドラゴンの尻尾の鱗が生え始める所とされる部分で、その硬度は他の部分に比べ、かなり劣っていると言われている。

比較的柔らかい部分から加えられた斬撃は、内側から尻尾を切り裂き、切断の一歩手前にまで至った。

アース・ドラゴンの赤い血液が吹き出る。

かなりのダメージを与えたようだ。

ダメージにより詠唱を中断してしまったドラゴンだが、すかさず反撃に出た。

足で何度も強く地面を踏みつけると、スキルが発動し、局所的な地震が引き起こされた。

地面が上下に激しく揺れ、ある所では大きな裂け目を作り、その上にある物をすべて飲み込み、別の所では槍のように鋭い岩がいくつも飛び出してきた。

また大きな震動により、地面から打ち上げられた無数の岩が、雨のように降り注いだ。

エライザはこの攻撃によりかなりのダメージを受けた様子で、一旦退避をし、回復呪文の詠唱を始めた。

僕は、スキルの地震が起こった瞬間に跳躍することに成功し、ダメージは受けていない。

降り注ぐ岩を、悉く手裏剣で弾き飛ばしながら、そのままドラゴンの頭に降り立った。

そして今度は、すぐそこにあるもう片方の赤く光る目に、渾身の力を込めて、手裏剣を突き入れた。

苦痛にあえぐアース・ドラゴン。

視力を失ったアース・ドラゴンは、自分の前の空間に、闇雲に両手の爪で攻撃を繰り返している。

しかしその攻撃は、空を切るばかりだ。

僕はジャンプして飛び降りると、次の攻撃に備え、ドラゴンの動きを確認した。

その間にエライザは回復を終えると、ドラゴンの背後に戻ってきた。

そして闇雲に動くドラゴンの動きを見切り、先ほど与えた尻尾の切断面から、体内に向けてシューティングスターを深く突き入れた。

その突きは体内の神経の束を切断し、大動脈を突き破った。

血しぶきと共に倒れるドラゴン。

ようやく、ドラゴンを倒すことに成功した。

「やったわ!」喜ぶエライザは血まみれになっている。

僕は素早くクリーン・アップの呪文をエライザに唱えた。

「強敵だったね。ドラゴンの鱗があんなに硬いなんて…」

「レン、クリーン・アップの呪文をかけてくれて有り難う。でも本当にそうだわ。対策を練り直さないといけないわね」

アース・ドラゴンが消えた後には、数枚の綺麗な鱗が残っていた。

それを収納ボックスに収納すると、僕たちは迷宮を後にした。

宿泊施設に戻った僕たちは、ギルドカウンターで、アース・ドラゴンを倒したことと、鱗を数枚持ち帰ったことを報告した。

驚きで固まるギルド職員と、歓声で湧き上がる他の冒険者達。

ドラゴンの討伐は、とても栄誉な事なのだ。

ドラゴンバスターの称号を与えられると共に、多額の賞金まで与えられる。

そのことを知らなかった僕は、みんなの反応にとても驚き、少し固まってしまった。


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