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第59話 前世

気になり出すと、知りたくなるものです。

第59話 前世

いつものように、エライザと夕食を摂りながら、雑談を交わしていた。

僕の両親の話や、エライザの公爵家での話、それにエライザの幼い頃の思い出話だ。

そんなとき、突然にエライザが話題を変えて尋ねてきた。

「レン、ちょっと聞いていい?」

「何?」

「あの…、前世の記憶はどの程度戻っているの?」

「そうだな…かなり戻ってきているよ」

「そうなの?どんな生活をしていたのか、聞かせて欲しいわ」

「うん、いいよ。前の世界は、この世界とはずいぶんと違うよ。魔法はないし、魔物は存在しない、比較的に安全な世界。でも大規模な人と人の争いが時々起こることがあった。人間族以外の獣人や亜人もいなかったし、魔族もいなかった。魔法の便利さがない代わりに、科学技術が発展していて、それなりに便利で、この世界と比べたら娯楽にあふれた世界だったよ」

「ふーん、私、行ってみたいわ。でも何か変ね、まるで見たことがあるかのようにはっきりと想像できるわ…」

「それで…、あの…、レンは…結婚をしていたの?」

「?いや、していなかったよ」

「そうなのね………」

「どうしたの?」

「いや、何にも無いわ」

「そう?」

「ねえ、それより、これからのことを相談しましょう?」

「?…そうだね」

第四層の適正レベルは、15-20とされている。

レベルアップした僕とエライザは共にレベル15に達しているので、そろそろ第四層の攻略を始めても良い頃だ。

人数が二人しかいないので、多くの敵に遭遇したときには、危険な状況となる危険性があるが、こちらには時間停止という切り札があるのだ。

決して無謀な挑戦というわけではない。

「第四層には、この世界の最強種族とも言われるドラゴンや、悪魔の最上位と言っていいアーク・デーモンが出現するらしいよ。もっとも最近は、誰も挑戦していないらしく、記録の上で、という話だけれどね」

「勝算はあるかな?どう思う?」

「わからないな…。でも本音を言うと、僕はレベル20を目指したいんだ。記録の上では最高レベルらしいし。まずはそこに到達したい」

「そして、それよりも上を目指すのね?」

「それ以上があるならね。魔族相手に、どれだけ準備をしても、十分とは思えないんだ。だから、勝算はともかく、早く第四層に挑戦したい」

「私は、レンが行く所には、どこまでもついて行くわ。それは場所においてもレベルにおいてもね」

「それじゃあ、二人でレベル20オーバーを目指そう」

「…そうね、それなら、第四層に挑戦決定ね」

「うん」

            *

第四層に下りて、初めて出会った魔物はドラゴンだった。

それは、大地と同じ茶色の鱗を持ち、そびえ立つように僕たちを見下ろしている。

その高さは5mはあるだろうか?

その瞳は赤く光っており、閉じた口の下顎から二本の牙が見えている。

アース・ドラゴンだ!

(なんだか、怪獣映画に出てくる○○ラみたいだな…)

僕は、場違いな感想をいだきつつも、気を引き締め、ドラゴンに向かって走りだした。

一方、エライザは、ドラゴンを認識すると、間髪を入れずに動き出した。

すぐにドラゴンの足下まで移動すると、愛剣のシューティングスターで斬撃を加えた。

僕は、ドラゴンの足下で大きくジャンプした。

目の前にドラゴンの首が迫ってくると、手裏剣で力を込めてそこを攻撃した。

一方、アース・ドラゴンは、二人の攻撃を避けようともせず、呪文の詠唱を開始した。


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