第57話 グレーター・デーモン
グレーター・デーモン再び
第5話話 グレーター・デーモン
第一層は昆虫、第二層はアンデットと続いたが、第三層は悪魔とジャイアントが出現する魔境と化している。
悪魔族では、アークワン迷宮にも出現したグレーター・デーモンや混沌から生まれ出ずる悪魔と言われるケイオス・ストームが出現する。
一方巨人族は、ファイア・ジャイアントやフロスト・ジャイアントが出現する。
これらのジャイアントは、ネーミングこそアークワン迷宮で出現した巨人と同じだが、その実、遙かに高いレベルの個体達であり、攻撃力、防御力、ブレス攻撃、どれをとっても全体的にパワーアップしている。
いつも通りに、ゴースト・エンペラーを葬り去った僕たちは、第三層に下りてきた。
「うーん、やっぱり時間停止は出来なかったよ。僕の予感も当てにならないね」
「あら、まだ分からないわよ。何かのきっかけで出来るようになるかもしれないし、諦めないことが大切だわ」
「そうだね、励ましてくれて有り難う。いろいろ頑張って試してみるよ」
「その調子よ」
*
強敵が跋扈する第三層ではあるが、相手が二体までなら、今の僕たちには何の問題も無い。
エライザの流麗な攻撃は、相手の反撃をも許さず葬り去る事が出来るし、僕の攻撃も、エライザのように華麗ではないものの、威力は折り紙付きで、敵を蹂躙することが出来る。
グレーター・デーモンが三体現れた。
この迷宮に出現するグレーター・デーモンは、アークワン迷宮に出現するものと比べると、レベルが高く、ニュークリア・バーストさえも唱えてくる。
ジャイアント達と同様に、大幅にパワーアップしているのだ。
一体でも放置しておくと、多大なダメージを受けることがあり、油断は禁物だ。
僕は、すかさず分身の術を使い、分身体を出現させた。
実は、分身体は本体と同様の能力を有してはいるが、分身体に僕の意識は宿っていない。
意識は本体にとどまったままである。
但し、無制限かつ瞬間的に、本体と分身体で意識を入れ替えることが出来る。
ある意味、本体と分身体が、瞬時に入れ替わるような物である。
意識が無い分身体は、僕の情報を記憶させた高性能なAIが動かしているような状態で、自動的に最適な行動を取ってくれる。
僕本体、分身体、エライザがそれぞれグレーター・デーモンに斬りかかっていった。
僕は、素早い動きで、グレーター・デーモンの横を通り過ぎながら、その大腿部を手裏剣で深く切り裂いた。
そのまま反転すると、グレーター・デーモンは大腿部から青い血を吹き出しながらも、こちらに振り向こうとしているのが見えた。
僕は、間髪入れず、その顔面部に手裏剣を投擲した。
エライザは、鋭い剣戟で、一瞬のうちに数発もの斬撃を繰り出し、グレーター・デーモンを切り刻んでいる。
分身体は跳躍しながら、手刀で頭部を深く突いており、グレーター・デーモンが倒れゆくのが見えた。
どのグレーター・デーモンの命も風前の灯火だ。
安心しかけたその時、仲間を呼ぶグレーター・デーモンの雄叫びが、どこからともなく響いた。
死ぬ間際に仲間を呼んだのであろう。
その雄叫びに呼応するように、巨大な青白い光の球体が四つ、音もなく出現した。
「仲間を呼ばれたわ!しかも四体!」
青白い光の球体は、僕たちを取り囲むように存在している。
「逃げられない。囲まれている!」
その光は、ゆっくり膨張と収縮を繰り返しながら、だんだんと増大していく。
「呪文攻撃が来る前に、何とか倒しきるよ」
やがて、光の球体が消失したかと思うと、異世界とつながる巨大な門が現れた。
「来るわ!」
グレーター・デーモンは、ほぼ同時に四体出現した。
それと同時に、僕は時空間操作スキルを使った。
それと同時に「時間よ、止まってくれ!!」と心に強く念じた。
それに伴い、時間の流れは緩慢となるが、停止はしなかった。
僕本体、分身体、エライザはそれぞれグレーター・デーモンに斬りかかっていった。
しかし残りの一体には手が回らない。
最悪なことに、その一体は、ニュークリア・バーストの呪文を詠唱しはじめた…。
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