表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/244

第29話-2 迷宮攻略

第29章の後半です。迷宮ボスであるヴァンパイア・ロードとの戦い。

第29話-2 迷宮攻略

勢いよく部屋に入ると、それはそこにいた。

高貴な印象の衣装を身に纏い、そこだけは時が止まったかの様な落ち着いた態度で、それでいてどこか蔑んだ目でこちらを見ている。

人の身では決してあり得ない、究極の美を体現しているかの様なその相貌と、それに不釣り合いな青い皮膚の色、突き出た犬歯。

そのすべてが、危険信号を発している。

「みんな、のまれるな!行くぞ!」

「おう!」

レイリアはサイレントの呪文の詠唱を開始した。

サーシャはスリプルの呪文を紡ぎ始めた。

リンはすかさず火炎魔法のスクロールを投擲した。

メンデスは気合いを入れながら、フランベルクで斬りかかっていった。

僕はいつもの様に高速移動しながら、手裏剣で攻撃を開始した。

みんな一斉に攻撃を開始した。

しかし、サイレントの魔法と火炎魔法はレジストされた。

スリプルの呪文は、レジストはされなかったものの、効果を発揮することはなかった。

メンデスは、ヴァンパイア・ロードの攻撃を盾で防ぎながらも、フランベルクで攻撃を加えているが、与えた傷はすぐに癒えてしまい、ヴァンパイア・ロードには少しのダメージを与えることができない。

僕は高速に移動しながら、あらゆる生物の急所である死点、すなわち頭部、頚部、心臓を、順に手裏剣で攻撃したが、いずれの攻撃も致命傷を与えることは出来なかった。

急所への一撃でさえ、ダメージはすぐに回復されてしまった。

ヴァンパイア・ロードは、一見防戦一方となっている様に見えるが、実際は余裕を持って対応している様だ。

レイリアとサーシャは、レジストされる確率の高いデバフや攻撃魔法は諦め、味方の物理や魔法防御力の上がるバフに切り替えた。

リンは、ポーションを用いて、回復役に徹する構えだ。

タンク役のメンデスは、ヴァンパイア・ロードと攻防を繰り返していたが、事態の膠着を恐れ、フランベルクでの攻撃に重点を置く様に切り替えた。

しかし、ヴァンパイア・ロードは、それを見越した様に反撃に転じた。

鋭い爪による攻撃を執拗に繰り出しはじめた。

メンデスはそれを剣や盾で流していたが、ついにその一撃が右腕に掠ってしまった。

わずかに掠っただけのかすり傷であったが、そこから体内へと注入された毒液は、メンデスを麻痺させてしまった。

「くっ、しまった。でもエナジードレインは受けてないだけましか・・・」

エナジードレインは最悪の攻撃なのだ。

レベルを吸い取られると言うことは、身につけたステータスやスキルを奪われることにもなり、精神的なダメージが大きいのだ。

「メンデス、待ってて」

レイリアは、すかさず麻痺を解くべくキュアパラライズの詠唱を始める。

しかし、ヴァンパイア・ロードはその隙をついて、眷属召喚を行い、三体のヴァンパイアを召喚した。

ヴァンパイアも攻撃呪文を得意としている。

ヴァンパイアからの魔法攻撃が後衛に向かうと、一気に危険に陥る危険性がある。

そう判断した僕は、時空間操作スキルを発動すると、三体のヴァンパイアに狙いを定めた。

今では、時空間操作スキルの使用中は、時間の流れは数分の一以下に感じられ、それを2-3分ほど継続できる。

ゆっくりと流れる時間の中で、僕は高速に移動しつつ、順番に、速やかに、手裏剣でヴァンパイアに致命傷を与えていき、ヴァンパイア三体を一気に屠ることに成功した。

その間、リンは状況を確認し、ヴァンパイア・ロードを牽制すべく、火球魔法のスクロールを投擲した。

サーシャも連続で火炎魔法を唱え、牽制に専念している。

ヴァンパイア・ロードは、火炎魔法による攻撃で、ダメージを受けることはなかったが、目の前で爆発を繰り返されることにより、攻撃には移れない様だ。

それでも、爆発の間の一瞬を狙い、アイシクルバレットという氷の弾丸魔法を放ってきた。

アイシクルバレットの飛来とともに、サーシャの魔法防御が発動したが、魔法を防ぎきることはできず、メンデス達にダメージを与えた。

リンは、ダメージの大きかったメンデスとレイリアを、ポーションを使って回復している。

そうしてみんなの踏ん張りにより稼いだ時間で、レイリアの呪文詠唱は完了し、メンデスの麻痺は解除された。

動けるようになると、メンデスはすかさず戦線に戻り、再びタンク役をこなしはじめた。

やはり僕がダメージディーラーになって、倒しきらなければ勝利は難しい。

しかし、単に死点を攻撃するだけでは倒せない。

どうすれば倒せるのか?迷っている時間はない。

僕にできるのは、手裏剣で死点を攻撃することだけだ。

それならば、死点を複数攻撃したらどうか?

僕はステルス・スキルを使いつつ、高速でヴァンパイア・ロードに近づいた。死角に入るために時空間操作スキルを使うのではなく、攻撃直前から使うことで、死点と呼ばれる三カ所を、ほぼ同時に攻撃する作戦に出た。

ゆっくりと流れる時間の中で、相手の攻撃をよけつつ、眉間から深く手裏剣を突き入れ、頚部に斬撃を加えて首をはね、最後に胸部に深く手裏剣を突き入れることに成功した。

三カ所への死点攻撃で、さすがのヴァンパイア・ロードも大きなダメージを受けた。

回復能力も追いつかない様子で、瀕死の状態へと追い詰めることができた。

それでも徐々に頭や首が生え、眉間や胸の傷は閉じ始め、また回復し始めている。

まだ倒し切れてはいない。

僕は右手に魔力をチャージすると、気合いとともにヴァンパイア・ロードの生えつつある頭部を手裏剣で斬りつけた。

それと同時に手裏剣を通して魔力を解放した。

手裏剣の刃と魔力の刃の両方でヴァンパイア・ロードを斬りつけたのだ。

手裏剣の刃はヴァンパイア・ロードの体を切り裂き、魔力の刃は回復能力を封じ込めることに成功した。

この攻撃によって、ようやくヴァンパイア・ロードを倒すことに成功した。

ヴァンパイア・ロードが煙の様に溶け徐々に消失していく、それとともに魔方陣と宝箱が現れた。

リンが早速宝箱の罠を調べている。

「ちょっと待つのです、すぐに開けるのです」

宝箱には、爆発を引き起こす罠のエクスプロージョンがかかっていた。

しかし、リンは罠を作動させることなく解除に成功した。

中には、迷宮攻略の証となる攻略証が入っていた。

「なんだ!これだけ~?」

「まあ良いじゃないか。無事に勝てたし、これでCランク冒険者だ!」

「そうだね、やった~!!」

迷宮の攻略を終えた僕たちのパーティーは、部屋の奥に出現した魔方陣を使い、迷宮外に出てきた。

「さあ、戻ろう!」


読んで頂き有り難う御座います。宜しければ、高評価、ブックマーク登録をお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ