第29話-1 再戦
第29話は長くなりすぎたので分割しました。
いよいよアークワン迷宮攻略の最終局面です。
第29話-1 再戦
第三層の渦巻き状の通路に続くT字路の近辺には、いくつもの小部屋が並んでいるところがある。
そのうちの一つの小部屋には奥に通じる扉があり、ここを通過するのにキーアイテムが必要となる。
ここを通過すると、同じところをさまよっているのかと疑うほど、単調で長い通路が続いている。
この単調な通路は、概ね数十メートル進んでは折り返し、また数十メートル進んでは折り返しといったことを何度も繰り返し、ようやく終点に到達する。
そして終点には扉がぽつんと一つだけ存在する。
僕たちのパーティーは、その扉の前に到達し、キャンプを張っていた。
「ギルドのリーリアさんにこっそり確認してきたんだけど、ラストキーでこの扉を開けて中に進むと、そこからは部屋を進むごとに戦闘となる。アイアン・ゴーレム、ヴィレント、そしてボスのヴァンパイア・ロードとの連戦だ」
「ヴァンパイア・ロードは当然だが、ヴィレントもやはり強敵だ。十分に対策を練っておきたいね」
「まずアイアン・ゴーレムだが、これは問題にならないだろう。で、次のヴィレントだが、前と同じように、まず初っぱなに範囲攻撃だな」
「ん、任せて。今度は事前に準備して、大きいのをお見舞いする」
「サーシャ、頼んだよ」
「ん」
「レンもあらかじめ気配察知能力を全開にしておいてほしい。で、位置を確認できたら魔弾をお見舞いして」
「了解」
「それからいつもの攻撃に移ってほしい」
「分かった」
「レイリアはブレス対策にまず防御魔法を、それからは回復呪文をお願い。リンはポーションを使って適宜回復をお願いする。余裕があれば巻物を使って攻撃もしてみて」
「わかったわ(のです)」
「サーシャは範囲魔法の後、スリプルの呪文で相手の動きを無効化して」
「睡眠に落ちたら全力攻撃。これで行こう」
「了解!」
「ヴァンパイア・ロードには予定通り物理攻撃で。基本的にリンを含め三人はサポートをお願い。特にレイリアはサイレントで呪文を封じてほしい。僕はタンクをしつつ、可能な範囲で攻撃。レンがメインアタッカーになって、攻撃。できるだけとっとと仕留めてね」
「了解」
「じゃあアイアン・ゴーレムからやっつけよう」
「おう!」
アイアン・ゴーレムはすでに僕たちのパーティーの敵ではなかった。
僕が手にしている手裏剣は、アイアン・ゴーレムの防御をたやすく抜くことができ、メンデスのフランベルクも同様にアイアン・ゴーレムの防御を問題としなかった。
二人の攻撃により、動きの緩慢なアイアン・ゴーレムは、為す術もなく葬られるのだった。
アイアン・ゴーレムを倒した後、予定通り、ヴィレントのいる部屋の前で、次の戦闘の準備に入る。
僕は右示指の先に魔力をチャージし始め、気配察知能力を全開にした。
サーシャは、火炎魔法の上位呪文であるファイア・ストームの魔法を紡ぎ始めた。
準備が整ったところで扉を開け、僕たちは一斉に部屋になだれ込んだ。
ヴィレントは気配を消しながら高速移動をし、居場所を悟らせない。
しかし、僕は神経を集中し、ヴィレントの位置を見定めた。
「上にいる!サーシャ、天井付近に魔法を!」
詠唱を終えていたサーシャは即座にファイア・ストームの呪文を解放した。
ファイア・ストームの魔法は、天井付近で炎の嵐を広範囲に生み出した。
ヴィレントは、荒れ狂う炎にとらわれ、ダメージを負っている。
しかし、ヴィレントは更に高速に移動し、魔法の範囲外に出ると、攻撃に転じ、こちらに突進してきた。
その動きを見切っていた僕は、すかさず魔弾を撃ち込んだ。
ヴィレントは魔弾を避けきれず、大腿部に被弾した。
足に大きなダメージを受けている。
それにより、ヴィレントは移動が鈍くなったが、それでもそのままこちらに向かってこようとしている。
メンデスはそれをチャンスと捉え、フランベルクで斬りかかっていった。
流れる様な動きから、無数の斬撃をヴィレントに撃ち込んでいく。
しかし、ヴィレントは、棒状の武器でその斬撃を悉く無効化している。
それを見た僕は、メンデスに力を貸すべく、ヴィレントに手裏剣を投擲した。
そして手裏剣が右腕に命中した。
そのため、ヴィレントは腕の動きも鈍くなり、メンデスの攻撃を捌ききれなくなっていった。
そして気合いののったメンデスの新しい必殺技が炸裂した。
「魔剣、五月雨!」
美しい型から、流れる様に、舞う様に、無数の斬撃がヴィレントに襲いかかる。
手負いとなっていたヴィレントは、受けることはかなわず、無数の斬撃で切り刻まれ、そのまま倒れ落ちた。
そして煙の様に溶けて消えていった。
僕たちは見事な連携で、強敵ヴィレントから攻撃を受けることなく、倒すことに成功したのだった。
「やった、完勝だ!」
「上手くいったのです」
「チームワークの勝利ね」
「メンデス!凄い技だね!」口々にみんなを讃えあっている。
「油断するなよ!次はいよいよボス戦だよ」
「打ち合わせ通りに行くよ!」
「おう!」
僕たちのパーティーは、ヴィレントに勝った勢いそのままに、ヴァンパイア・ロードとの戦闘に臨んだ。
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