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道参人夜話  作者: 曽我部浩人
第五章 ~ がしゃどくろ
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終章 身を砕いて骨を粉にして




 恨み骨髄(こつずい)(てっ)す──。


 それを体現した外道の物語はこれで終わりだ。


 しかし、後日談として語られるべきエピソードは少々あった。


 まず凱念(がいねん)和尚の髑髏(どくろ)と、彼が守ってきた軽張村の遺骨たち。

 これらはマイルの手によって埋葬された。


 話を聞いてその悲劇に涙したマイルが、龍剣を駆使して遺骨を納める墓所を掘り、巨大な自然石から慰霊碑を切り出し、彼等を供養するべき場所を一時間足らずで作ってしまったのだ。


 軽張ダムを一望できる山の中腹に建てられた慰霊碑。

 これで彼等も少しは安らげることだろう。


 そして、マイルは共感性に恵まれた少女だということもわかった。


 その優しさゆえに魔道を歩む上で苦しむこともあるだろうが、このまま真っ直ぐに育ってほしいものである。


 ところで──あれから弓田(ゆだ)充三(じゅうぞう)副知事はどうなったか?


 なんと生きていたのだ。

 首に囓られた跡こそ残ったが、致命傷には至らなかったらしい。


 そして、今では県知事となっているそうだ。


 県知事となった彼は県政の改善に全力で取り組み、今まで目もくれなかった慈善活動などにも積極的に口を出すようになり、世のため人のために働く、絵に描いたような理想的為政者(いせいしゃ)になったという。


 我が身を削って激務に励み、善政を敷く彼に非の打ち所はなかった。


 その仕事っぷりが全国区に広まるほど認められた弓田はある日、ニュース番組でインタビューを受けていた。


 それを見た信一郎は驚きのあまり、飲んでいたお茶を噴き出してしまった。


 度を超えた肥満体だったあの弓田が、ガリガリに痩せ細っていたのだ。


 その変わり果てた姿は骸骨──骨と皮だけのミイラ。


 テレビでもその激変っぷりを重点的に取り上げていた。それはそうだろう、ダイエット成功なんて痩せ方ではない。いくら激務を続けたとはいえ病的だった。


 どうしてそんなに頑張るのか? この問いに弓田は虚ろな眼で答えた。


彼等がね(・・・・)……許してくれんのですよ……いつでも、どこでも、わしを見張っているんです……目玉のない虚ろな穴で……カタカタと歯を打ち合わせて……そしてね、責め立てるんですよ……我等を捨てていった罰だ、もっと働け、世の為に、人の為に、身を粉にして働くがいい……我等のようになるまで善行を積むのだ、それがおまえの償いだ、ってね……ほら、今もこっちを見て……』


 この意味不明な言葉を呟いてから三日後──弓田充三はこの世を去った。


 死因は過労──骨と皮になるまで働き続けた結果である。


 その一報を聞いた幽谷響は、契約を完了させた悪魔のように微笑んだ。




粉骨砕身(ふんこつさいしん)──でございやす」




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