義昭公のお相手
義昭公の要請を快諾した信長は義昭公の使者と共に自分の家臣を越前に送った。彼らに伴われて美濃に入った義昭公は立正寺に入り、そこには銭や太刀、鎧、武具、馬などの贈り物が山のように積まれていたらしい。
興福寺から脱出してから今に至るまでの話を、俺は義昭公から聞かされた。
どうも皆さんこんにちは、織田信勝です。
あれからニート生活を堪能していたら、急に信長から呼び出しを食らった。信長曰く「いつまで引きこもっている、織田家存亡の危機にも引きこもりおって、義昭公の接待を命じる、見事こなしてみせよ」だって。だから俺は「御意」とニヤっとして言ってやったんだ。そしたらフンっと鼻を鳴らして下がって行った。いいじゃん、間者ホイホイとして機能していたんだから。来るわ来るわ手紙が大量に、返事を引き延ばして情報はちゃんと信長に流してたじゃん。
まあ、そんな感じで義昭公の所に挨拶に行ったら苦労話を聞かされてしまった。でも分からなくもない、最初に頼った六角家も始めは協力的だったが、結局は手のひらを返された。尾張の織田信長と美濃の斎藤龍興を和睦させて上洛に協力させようとするも、約束通り兵を起こした信長は龍興に妨害され撤退する。
いざ実行という時にほぼ同時に六角家と斎藤家が離反するという事態に三好家の調略の尻尾が見え隠れしている。終いには色々と便宜を尽くしてやったのに朝倉家は重い腰を動かす事はなかった。ちなみに一番頼りにしていたのは上杉輝虎(後の謙信)だったが、こちらは武田に妨害されて上洛どころではなかった。
義昭公とても不憫だ。きっと色々と我慢の限界だったんだろうな。だってこいつマジかって時に要らんことしてくれるし、よく信長の目と鼻の先でそんなお痛が出来るなと思ったよ。手が出せない計算はあったんだろうけど無茶するなよ。
同情はするよ? うんマジで、気持ちだけだけど。
でもこの人の話は愚痴ぽくって嫌いだな。可哀想だけど好きにはなれないわ。こういうところから性格が出るよね。




