第36話 筋肉聖女、冒険者の戦い方をする!
――ヒュン、ヒュン、キン!
アナスタシアの凄まじい斬撃を、教官役の男はギリギリで躱し、最後の一撃だけは何とか剣で受けた。
――ドゴーーーン!
剣での連撃だけではなかった。
最後の剣が受け流されると、アナスタシアは流れるように身体を回転させ、後ろ回し蹴りを教官役の男の腹部に当てたのだ。
――ガタンッ、ガラン、ガラン。
教官役の男は後方に吹き飛ばされ、そのまま地面を転げまわった。
「うぐっ、これは……!?」
立ち上がった直後だった。
ダッシュしてきたアナスタシアが迫ってきていた。
「!!!」
教官役の男はアナスタシアの斬撃に備え、咄嗟に剣を構える。
アナスタシアの横に払う剣が見えかけた瞬間だった。
――シュンッ!
教官役の男の視界から、彼女の姿が一瞬消えた。
――ズサーッ! ガシャンッ!
「うわーッ!!!」
アナスタシアの攻撃は剣ではなかった。
フェイントで相手に一瞬だけ剣での攻撃動作を見せておきながら、スライディングで教官役の男を転ばせたのだ。
男はうつぶせのまま倒れた。
しかし、教官役の男も長年の経験から、すぐに身体を横に回転させながら、剣を持ったまま立ち上がった。
しかし――
――カキーーーンッ!
金属同士の打撃音の直後、男は自分の手から離れ、剣が回転しながら空中を飛んでいく姿を見ることになった。
教官役の男が飛んでいった剣から視線を戻すと、すぐ目の前にアナスタシアが立っていた。
「あなたの利き足は右足ですから、こちら側で起き上がると分かっていました」
「うわぁっ!」
追い詰められた男は、命の危機を感じ、反射的に動いてしまった。
腰の後ろのベルトに隠していた刃引きされていないナイフを、アナスタシアの顔面に向けて突き出した。
――シュッ!
その直後、教官役の男の不正防止の水晶が赤く光った。
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