第33話 筋肉聖女、目つぶしを受ける!
粉末がアナスタシアの顔面に直撃する――。
そう思われた瞬間だった。
アナスタシアはまるで予知していたかのように、頭を下げてくるりと背を向けた。
そして、粉末を吸い込むことすらないように距離を空け、上体を半回転させて再び剣を構える。
「な、なぜ避けられるんだ……?」
「冒険者の戦い方だからですよ」
アナスタシアは表情を変えずに答える。
「どういうことだ? 意味がわからねぇっ!」
「……どうぞ、冒険者の剣を見せてください」
「てめぇっ!」
教官役の男は怒りに任せて、猛攻をしかけてきた。
――キンッ! シュッ! ガシンッ! ビュッ!
あまり見ない構えからの攻撃、両手を使ったフェイント、体術を駆使した足での攻撃――
しかし、どの攻撃も空を斬るか、完璧なタイミングで剣で受け流されていった。
「ありえねぇッ! なんで学生ごときがこんなに戦えるんだよ!」
教官役の男は、判定役の男の方を向いて叫んだ。
「魔道具を使っていねぇのか? 魔力の反応はッ?」
「反応なしです。そもそも、魔法封じの結界が張られていますから、魔法の類は一切使えませんよ」
「じゃあ、おかしいだろっ! なんらかの不正をしてなきゃ、戦える訳ねえはずなんだ!」
その言葉に、アナスタシアは怒りを覚えた。
「あなたが不正をしているから、他人の努力も不正をしたように見えるのですっ!」
「!!!」
その言葉を聞き、教官役の男は絶句した。
「今まではあえて攻撃を受けてきましたが、私の剣もぜひ受けて下さい!」
アナスタシアの目には、正義と怒りの炎が宿っていた。
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