第22話 筋肉聖女、誰もが避ける相手を選ぶ!
型の試験を終え、アナスタシアは対戦実技の試験の列に並んだ。
「次はいよいよ対戦実技ね! 楽しみは最後に取って置いた甲斐があったわ!」
その言葉を聞いた何人かの受験生が、アナスタシアを白い目で見た。
騎士コースの受験にとって、この対戦実技試験が最大の関門とされていた。
そのため、アナスタシアの発言は、虚勢なのか本気なのかは分からなかったが、いずれにしても受験生を刺激するような言葉だった。
試験にかかる時間が考慮され、大学に雇われた騎士たちにより、同時に三つの会場で試験が行われていた。
公平を期すために試験会場は幕に覆われ、中の様子は見ることができない。
「どの列の騎士が一番弱いのか……?」
騎士の当たりはずれを考え、一試合に一番時間がかかっている列に、多くの受験生が並んでいた。
「えーっと、左が空いているわね! ん? みんなは何でこっちに並ばないのかしら?」
今までのアナスタシアの発言を聞き、我慢できなくなった受験生の一人が声をかけた。
「お前馬鹿だな! 左はあっという間に試合が終わっているから、一番強い騎士がいるんだよ!」
「あら、ちょうどよかった! どうせなら一番強い人と戦いたいわ!」
ぽかーんとしている受験生を尻目に、アナスタシアは誰もいない左の列へと進んでいく。
真ん中と右の列に並んでいた受験生たちは、呆れたり馬鹿にしたような様子でアナスタシアを見ていた。
アナスタシアは受験票を水晶にかざし、手続きを進める。
「あいつ、本気かよ」
「馬鹿っているんだな」
「騎士コースの受験を甘く見すぎだろ」
しかし、アナスタシアが大きな袋から武器を取り出した瞬間、受験生たちの表情が変わった。
「うぉっ! あの子の武器、ウォーハンマーかよっ!」
「……っていうか、あんなに重そうなのに、何か軽々と扱っていないか?」
不安や緊張でいっぱいな受験生たちの表情とは真逆に、アナスタシアは満面の笑みを浮かべていた。
「どんな騎士が相手なのかしら! 本当に楽しみだわ!」
こうしてアナスタシアは、誰もが避けていた「最強の騎士」が待つ試験会場へと進んでいった。
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