第18話 筋肉聖女、魔力測定を受ける!
宮廷大学入学試験二日目――
本日は実技試験の日となる。
騎士コースの受験生は、魔力測定と魔法の実技試験、剣の型の試験、盾を使った防御の型の試験、そして教官との対戦実技試験を三回受ける。
試験を受ける順番は自由となっていた。
受験生たちは、前もって決めてきた順番で受ける者もいれば、人が込んでいない科目から受ける者もいる。
アナスタシアは、最初に魔法の実技試験を受けるため、その会場へと向かった。
「まずは魔力測定を受けるのね」
受験票を係員に見せ、複数ある列の一つに並ぶ。
アナスタシアの番がやってきた。
「次の受験者、前へ!」
担当者が大きな声をあげる。
「この測定用の水晶に手を当て、深呼吸をしてください」
アナスタシアが水晶に手を当てる。
「……えっ!?」
担当者は困惑していた。
「も、もう一度……手を離して、最初からやってください」
再び測定するが、担当者の困惑の表情は変わらなかった。
「すみません。ちょっと待ってください」
担当者は予備の水晶を、アナスタシアの前に準備する。
そして、再び水晶に手を当てて、深呼吸をする。
「ま、間違いない……」
担当者の顔から血の気が引いていく。
「魔力量は……」
ごくり、と喉を鳴らす。
「四十三万超。加護の色は――白!」
その数値を聞いた周囲の受験生たちの視線が、一斉にアナスタシアへと集まった。
「よ、43万!?」
「さすがに間違いじゃないのか?」
「おい、あれってルクサリス家の……」
受験生にとって、魔力量の測定は緊張と注目の瞬間だった。
どうしても受験生は、他の受験生の魔力量を気にしてしまう。
魔力量が合否に直結する訳ではないのだが、ライバルたちの魔力量と自分の魔力量を比べてしまうのだ。
ざわめきは伝播していき、収まる気配がなかった。
魔力量が1,000を超えれば優秀とされる中、自らの魔力量が尋常ではないことはアナスタシアも分かっていた。
しかし、魔力で注目を浴び続けることに、だんだん我慢できなくなってきた。
「あーもう、みんな魔力ばっかり気にしちゃって……」
「私が気にして欲しいのは……筋肉なのっ!」
アナスタシアは背筋に力を込めた。
――ビリビリビリッ!
服の一部が膨張する筋肉に耐えきれず裂けていき、筋肉が露出する。
――バァァァーーーーーーーンッ!
まるで肩と首に何かを乗せているのかと疑いたくなるような筋肉の盛り上がり。
腕でパンを焼いてしまったのか!?と誤解させるほどに盛り上がった腕。
「モミの木なのかいっ!」とツッコミたくなるような、絞り込まれた美しい背中。
ざわめきは完全に止まった。
――決まった!
アナスタシアは、心の中でガッツポーズを決めていた。
しかし、自らの背中に対する視線の先には、ぽかーんと口を開けた受験生たちが佇んでいるだけだった。
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