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俺の人生。支離滅裂。でも、楽しい。  作者: ケイ


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6

やだ。こんな奴と組むのやだ。


茶色の髪に、小柄な体躯。

顔立ちは、ただの少女。

マリアさんと同じ、黒のローブ。


いや、今はそんな見た目よりーー


嫌いなこと。初対面の人と組むこと?


それ、モロ俺のことじゃねぇか。


俺も言ってやろうかな。


「嫌いなこと。初対面の人と組むことです」


ってなぁ。


引き攣ったであろう、俺の顔。

それにマリアは困ったように首を傾げる。


その顔に俺は心が痛む。


なので。


「俺は別に組んでもいいと思ってますよ。でも、こいつが」


嫌われたくない。

困った顔を見たくない。

だって、好きだもん。


「組みたくない。って言われたらそれまでじゃないですか。俺は組んでもいいですよ? でもこいつが。いえ、スズメさんが嫌って言うから」


「うん。そうだね」


よし。

これで俺の非はなくなった。

これで全部あんたのせいになっちまったな。


「スズメ」


「どうしても。なら、無理にとは言わないけど」


笑っている。


俺以外にも優しい。

ますます好きになっちまう。


しかし。


スズメとかいう少女も俺と同じだった。

嫌われたくない。というその一点において。


「できます。マリアさまの為ならできます。き、嫌いなことを我慢することだって……す、スズメにはできます」


「できます。できます」


「だ、だから。スズメのことを嫌いにならないでください。マリアさま。お、お願いします」


震えた声。

まるで母に捨てられぬよう必死な子犬。


そんな風に、俺の目にはうつってしまう。


「なんでも。なんでもします。マリアさまの言うことならなんでも。す、スズメはなんでも」


震え始める小さな身体。


「嫌いにならないで。嫌いにならないで。スズメのこと。きらいに。ならないで…ください」


その姿。

それに、俺はちょっぴり同情。


俺も。

マリアさんに嫌われたくない。


このスズメとかいう少女も、同じ。


嫌われたくない。

嫌われたくない。


わかる。

だが、嫌われたくないのは俺も同じ。


だからこうやって。

必死に弁明してるんだからな。


そして、そこに。


「"これぐらい"で嫌いになんてならないよ」


「だって。スズメは」


微笑む。


「これまでたくさんの【こと】。実験わたしの為だけにしてくれたんだもん」


響く温かな声。


それに、スズメの表情がぱっと明るくなる。


「マリアさま」


「スズメはがんばります」


「マリアさまの為にがんばります」


ぐいっ。


力強く、俺は引っ張られる。


スズメの小さな手に。


「この初対面の人とがんばります。ほら、がんばろうね。えっーと…名前はなんて言うのかな?」


なんだ、こいつ。

いきなり積極的になりやがった。


しかも、目の中に光がねぇ。


こわっ。


自分を押し殺しすぎだろ。


だが、ここは俺も合わせる。

だって愛しの人に嫌われるのいやだし。


「俺はノア」


「色々あると思うが、よろしくな」


「ノア?」


一瞬。戸惑う、スズメ。

その顔はまるで、その名を前に聞いたことがあるような表情。


「ノア。のあ。ノあ」


スズメは譫言のように名前を呟き続ける。


ん?

この名前に聞き覚えがあんのか?


疑問に思う。


そして。


「あなたでーー」


しかし。

そのスズメの声を遮る、マリア。


「じゃあ、二人とも」


「これから仲良く。頑張ってね」


そんな優しい声と、屈託のない笑顔。


それに、俺の疑問は一瞬して消え去ってしまう。


「はいッ、がんばります!!」


「いい返事だね」


褒めてもらえた。

めっちゃ嬉しい。


「わたしもがんばります!!」


絞り出された、スズメの大きな声。


「うん。頑張って」


二人に向けられるマリアの眼差し。


それはとても優しく。

そして、とても。無機質な温かみに満ちていた。



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