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俺の人生。支離滅裂。でも、楽しい。  作者: ケイ


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ころころ。

転がされてる。

自覚はある。


でも。


「まぁ、いっか」


ぼそっと呟く。


「ん? なにが?」


「い、いえ!!」


やべぇ。

声出てた。


アリスさんは、くすっと笑う。


「変なノアくん」


「す、すいません」


「いいよ。そういうとこ、好きだし」


さらっと言う。


まただ。


こういうの。

心臓に悪い。


「ねぇ」


アリスさんが、少しだけ身を乗り出す。


距離が近い。

さっきより、さらに。


「ノアくんってさ」


「はい」


「ほんとに疑わないよね」


「え?」


きょとんとする。


疑う?誰を?


「わたしのこと」


「マリアさんのこと」


「この場所のこと」


静かに言葉を落とす。

でも、声は優しいまま。


「全部、そのまま受け取ってる」


「それってね」


少しだけ、間を置く。


「すごく危ないことなんだよ?」


「……」


意味が、うまく入ってこない。


危ない?


「でもね」


ふっと、空気が緩む。


「嫌いじゃないよ、そういうの」


にこっ


いつもの笑顔。


でも。


「むしろ、好き」


ぽつり。

その言い方は、さっきまでと少し違った。


「だって」


「そういう子のほうが」


「ちゃんと守りたくなるから」


どくんっ


心臓が、跳ねる。


守る?


俺を?


「ア、アリスさんがですか?」


「うん」


あっさり頷く。


「ダメ?」


首を傾げる。


ずるい。


それ、ずるい。


「ダメじゃ、ないです」


むしろ。


「お願いします」


反射で言ってしまった。


「ふふっ」


アリスさんは嬉しそうに笑う。


そして。


そっと。


俺の手に、自分の手を重ねてきた。


「じゃあ、約束ね」


「約束?」


「うん」


指先が絡む。


やわらかい。


あったかい。


「もし、この場所が嫌になったら」


「いつでもわたしのとこに来ていいよ」


「え?」


「逃げてもいいんだよ、ノアくん」


その言葉。


それは。


今まで誰にも言われたことがないものだった。


逃げる?


ここから?


「そんなの」


考えたこともない。


「でも」


「選択肢はあったほうがいいでしょ?」


優しく。


でも、はっきりと。


そう言う。


「ノアくんは」


「もっと自由でいいんだから」


アリスさん。


「自由」


小さく呟く。


その言葉。

なんか、引っかかる。


でも。

よく、わからない。


「まっ、今はいいや」


アリスさんはぱっと手を離す。


「難しい話しちゃったね」


「す、少しだけ」


「でしょ?」


くすっと笑う。


いつもの空気に戻る。

戻った、はずなのに。


胸の奥に、なにかが残っている。


「ねぇ、ノアくん」


「はい?」


「さっきの質問」


「え?」


「ずっとここにいてもいいって言ったら、どうするか」


にこり。


「ちゃんと答えて」


「……」


さっきは冗談って流された。


でも今は。


逃げられない感じがする。


「俺は」


言葉に詰まる。


マリアさん。


仕事。


今の場所。


全部が頭に浮かぶ。


でも。


それと同時に。


目の前の、アリスさん。


「わかんないです」


正直に言った。


「ふふっ」


笑われる。


でも、バカにした感じじゃない。


「いい答え」


「え?」


「無理に決めなくていいよ」


「そういうのってね」


「あとから決まるから」


意味深に、言う。


そして。


「そのときに」


「わたしが隣にいられたらいいな」


どくんっ


まただ。


心臓。壊れる。


「はい」


小さく頷くことしかできない。


その時。


――コン


窓を叩く音。


二人同時にそっちを見る。


「風、かな」


アリスさんが呟く。


でも。


さっきと同じ。


一瞬だけ。

目の温度が、消えた。


「気にしないで」


すぐに笑う。


でも。


今度は、はっきりとわかった。


(今の……なんだ?)


違和感。


それが、少しだけ確かに残った。


〜〜〜


窓の外。


「……」


おぼろげなナニカ。

それは、じっと見ていた。


二人を。特に。


「ノア」


その名。

それを確かめるようして。


〜〜〜

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