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俺の人生。支離滅裂。でも、楽しい。  作者: ケイ


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2

眩しい。

温かい。


日の光ってこんなだったな。

今、思い出した。


太陽。


それを見つめ、俺は目を細める。


風が気持ちいい。

空気がおいしい。

こんな澄み切ったところにきたのっていつぶりだ?


「ノアくん」


「どうかした?」


止まっていた、俺。

その姿を不思議に思ったのだろう。

マリアさんが俺を見つめ、首を傾げている。


仕草がかわいい。好き。


「もしかして。気分悪くなっちゃった?」


「それなら少し休んでく?」


俺を心配してくれてる。大好き。

しかも、美人。ほんと好き。


「そ、その俺の願いごとのひとつが叶って嬉しくて。つい」


「願いごと?」


「太陽の光を浴びて、風を浴びる。そして澄んだ空気を吸う……そんな願いごとが」


「そっか」


微笑んでくれる、マリアさん。


「大したことない願いごとで、すみません」


「そんなことないよ。願いごとなんて人によって変わっちゃうものだもん。ノアくんのお願いごとはノアくんだけのお願いごと。それに」


「わたしは好きだな。そうやって素直に当たり前のことを嬉しいと思える」


「ノアくんが」


ち、近い。

マリアさんの顔。顔。顔。


「す、好き。お、俺のことが」


「うん」


「おおお、俺もマリアさんのこと」


っと、そこに。


「マリアさま」


「先にこちらの進路を塞ぐ者たちが数人」


「どうやら、先ほどの連中の仲間のようです」


「ナイフをチラつかせこちらを威嚇」


「たかり。かと思われます」


そんな声に、俺の夢のような時間は終了。


代わりに響く声。


「ノアくん」


「できるかな?」


「へ?」


「わたしのお手伝い」


数歩先。

そこからこちらを仰ぎ見る、マリア。


「手伝ってくれたら。ご褒美、あげるよ?」


「やる!!」


微笑む、マリアさん。

だがそれを。


「マリアさま」


「ここは万全を期して自分たちが」


しかし。


「これは【実験】」


「ノアくんの身体」


「それをミる為の」


短くも無機質なマリアの一言。

それに二人は身を引き、後ろに下がる。

まるで主人に従う従者のように。一切の感情のブレも感じさせることもなく。


実験。その言葉。


だが、俺にはその言葉が甘美な響き聞こえてしまう。

マリアさんが発した言葉。

その全て。それが俺にとっては天使の言葉なのだから。


「じゃっ。がんばろうね」


「あ、あの。俺、なにをすれば」


「思いっきり殴る。それだけ」


「なぐ、る?」


「うん」


「で、でも俺」


「ノアくん。君の強みはわたしが1番理解しているの。なにをされても【再生】だよね? だって。素性を隠して君の身体を買っていたのってーー【わたし】なんだもの」


瞬間。


俺の鼓動は飛び跳ねた。

興奮。俺の再生を繰り返して売っていた身体。それを買っていたのは。


「マリアさんが、俺の」


「うん」


胸が熱い。

それだけで、十分だった。


もう、俺は怖くない。

なにも、怖くない。

マリアが俺を買い続けていた。

その事実だけで、頑張れる。


一歩。


また一歩。


俺は前に進む。


「俺の強み」


「なにをされても再生できること」


「うん」


「だから、痛みも死も恐れず」


「うん」


「相手に突っ込んでぶん殴れる!!」


「よく。できました」


駆け出す、俺。


それに、マリアは送る。

ぱちぱちと。一定リズムの拍手を、微笑みを絶やすことなく。送りつづけたのであった。

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