表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺の人生。支離滅裂。でも、楽しい。  作者: ケイ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/35

1

「あんた、なに者だ」


「わたしは、マリア。とある研究所を任せてもらっています」


淡々とした声。瞳に光は無く、あるのは闇色。

表情は柔らかい。しかしどこか魅力的。


美人すぎ。大好き。


頬を赤らめていたであろう、俺。

名も知らぬ美女は、そんな俺に微笑んでくれる。


いつも向けられていた笑み。

馬鹿にし、ゴミに向けるような笑み。


それとは違う、温かい太陽のような笑み。

生まれてはじめて向けられたそんな笑みに、俺はもうダメだった。


「マリア?」


「聞いたことねぇ名前だな」


「はい。この名前も使い捨てですので」


「使い捨て?」


「はい。使い捨て」


連中を見る女の顔は笑っている。

確かに笑っては、"いる"。

しかしその目に光は無い。ただ対象を見ている。そんな眼差し。


そんな女の姿。

それに、連中は笑う。


「おかしな女だ」


「だが今の話が本当なら……こいつを売ってやってもいい」


買ってください。

いやほんと、お願いします。


「だがな。国家予算の数年分? んな、話。信じられるわけーー」


刹那。


「マリアさま」


「例のモノ。お持ちいたしました」


女の背後。

そこから声が響く。


現れる二人の黒に包まれた者。

その二人の手には、大きな麻袋。


「ありがとう」


「これは頭金です」


「受け取ってください」


どさっ。


と連中の前に落とされた麻袋。

その口からは、金貨の山が垣間見える。


す、すげぇ。


同時に俺は解放された。

荒々しく鎖を解かれ、背中を蹴られて。


そして、連中はげらげら笑いながら立ち去っていった。

その手に麻袋を持ち、そそくさと。


残されたのは。


「これからよろしくね」


そう言って微笑むマリアと。

無言を貫く二人。そして、俺。


しゃがみ、俺を見るマリアさん。


「あなたの名前は?」


なまえ?


あれ、なんだっけ?


思い出せない。


なまえ。名前。


なんだっけ?


「わからない?」


「なら、わたしがつけてあげよっか?」


少しだけ考えーー


「じゃあ、ノアにしよっか」


「は、はい」


にこり。

と笑う、マリア。


「ノアくん」


「改めてよろしくね」


マリアは頭を撫でてくれる。


その手つきはどこか慣れている。


しかし俺には充分だった。


あぁ。誰かに頭を撫でられたのっていつぶりだったかな。


いや。


んなことなかったかもしれない。

あったかもしれないが、覚えてなかったら同じことだ。


マリアは笑ってくれる。


その笑顔だけで、俺は決めた。


この人のためなら。


なんでもできる。


そう心に誓う。


ちょろいと笑われても構わない。


俺はこの人についていく。


それが。


俺が縋るしかない一本の生き方なのだから。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ