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俺の人生。支離滅裂。でも、楽しい。  作者: ケイ


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はじまり

「ちッ、死にやがった」


「おい、クソガキ」


「てめぇは今から俺たちの人質だ」


「お前の【これから】は、全部。俺たちのモノ。わかったな」


「わかったらさっさとついてこい。泣き喚いてみろ。ここでバラしてその死体を金持ち死姦野郎に売ってやる」


足元にへんてこな紋様が描かれた親の首吊り死体。


それを前に、幼き俺はそう後ろから告げられた。

銃口なようなもの。それを背中に押しつけられて。


泣くことさえできなかった。


泣いたらここで殺される。


それがわかっていたから。


気づけば大人たちに連れられ、どこかに連れて行かれた。


そしてそこは、まさしく。


〜〜〜


地獄だった。


「おい、クソガキ!! 働け!!」


炭鉱での23時間労働。

食事は濁った水とカビたパン。

残りの1時間は水浴びと地べたでの睡眠。


たまにでる普通の水と普通のパン。

それがとても幸せだった。


幾度となく、死ぬ。

と思ったことだろう。


しかし、その度。


「なにがあっても生きていればいいことがある」


そんな今は亡き親父の言葉を糧に--そんなことは断じてなく、ただ死んだら負け。そんな思いで歯を食いしばって生きてきた。


「おら、クソガキ」


「小遣いをやるよ」


へらへらと笑う、大人たち。


投げ捨てられたのは、炭鉱の残り滓。

売れば金貨1000分の1の価値しかないであろう、そんな残り滓。


それを拾い、俺は思った。


あぁ、そうか。


ここでの俺の価値は、その程度なのだと。


しかし、同時に思った。


死んでたまるか。クソ野郎と。

今に見てろ。俺はいつか絶対に--


デカくなって、上に立ってやると。


〜〜〜


そして、更に10年後。


「おい、奴隷!! 今日の仕事は--ッ」


「はいッ、なんでもやらせてください!!」


身体だけはデカくなったが、現状はなにひとつ変わることはなかった。


しかし、この10年で気づいたことがある。


それは。


俺、丈夫すぎね?


ってことだ。


どんな過酷な事をしても。どんな罵詈雑言を浴びせられても。どんな暴力をふるわれても。どんな傷を負わされても--


「今日も頑張るぞッ、今日は確か致死性の粉塵舞う劣悪度999の炭鉱労働だ!! 報酬はいつもの倍もらえるらしい!!」


1時間もあれば、その全てが何事も無く治ってしまっていた。


身体の傷?心の傷?


そんなもの、まるで治るのが当たり前かのように。


「さて、と。元気よくお仕事お仕事っと」


っと、そこに。


「おい、そこのあんた」


振り返るとそこには、いつも俺に絡んできていた柄の悪い連中が居た。


「少し話をしないか? 喜べ。話をしている時間は休憩だ。おまけに飴玉をひとつくれてやる」


「どうだ? 悪い話じゃないだろ」


悪い話? むしろ神なんですが。


不器用な笑み。


それを浮かべたであろう、俺。


その俺の姿。

それに、その連中はいつもよりすごい欲に満ちた笑みを浮かべていたのであった。


〜〜〜


話。

それを要約すると、人体を売れば借金返済がはやまる。このまま借金返済を続けても、自由になるのは1000年後。

それがなんと。臓器売買をすれば950年ぐらいに短縮されるらしい。


50年だぞ、50年。

ヤバすぎるショートカットだろ。


勿論、二つ返事。


その時。

なぜか、男たちは笑っていた。


そして、言った。


「じゃっ、早速行くぞ」


「そうだな。指からはじめっか」


「高くはねぇが…人体売買初体験だからな。最初は慣らしだ慣らし」


気づけば俺は手を引かれ、いつもの炭鉱の入り口ではなく正反対の道を連れていかれたのであった。


〜〜〜


結論を言おう。


俺は、小指を売られた。


「俺の指の値段。3枚。金貨3枚」


いつもの報酬より三倍。


しかしその報酬も、「借金返済に充ててもらう」と告げられあえなく没収。

代わりに俺は飴玉をひとつ渡された。


俺は飴を舐める。


甘い。うまい。


口の中に広がる甘い味。


それにしても、指一本であんなに報酬がもらえるのか。


甘い。うまい。


一日中働いても金貨1枚どころか半かけらももらえない現状。


甘い。甘い。うまい。


そう考えると、こっちのほうが割りに合う。


よし、決めた。


俺は、こっちの道で借金返済をしてやる。


さっさと借金返済をして。

太陽の下で謳歌するんだ。自由を。


その時。


俺は感じた。


指を切断され、包帯でぐるぐる巻きにされた小指の位置。

そこが仄かに温かくなり--


小指が【再生】されていく感覚。

それをはっきりと。


そして同時に、俺は気づく。


そうだ、俺は--再生なおるんだ。


なら。


飴を噛み砕く。


これを繰り返して、借金返済してやろうじゃねぇか。



俺、天才。



こうして俺は、遅すぎた新たな一歩を踏み出したのであった。


〜〜〜


売っては、再生。

再生しては、売って。


それを繰り返す。


最初は気味悪がっていた連中も、今となっては躊躇いなく俺を売る。


お医者さんっぽい人も、「あっ、また君か」と軽いノリで挨拶を交わす間柄。


最初は小指だったっけ?


しかし、今となっては一日でだるまにされることだってあった。


そして臓器も例外なく、売られまくった。


しかし、俺は死ななかった。


心臓や脳を売られた時は、流石にやばいと思った。

だが、生命に関わる箇所の再生は他の箇所よりはやかった。


解体した奴、曰く。


「光の速さ」だったらしい。


だが、いっこうに俺の借金は減らなかった。


気づけば鎖で繋がれ、


「こんな希少人間ッ、誰が手放すかよ!! お前は一生ッ、俺たちの金のなる木に決定!!」


だとさ。


くそっ、くそったれ。


「さて、今日もはじめるぞ」


「よし、今日はそのお目々をくり抜いて」


あぁ、くそ。


このままじゃ俺は--


太陽の下で自由になることも。

かわいい女の子を見ることも。

親以外に名前を呼ばれることも。

飴以外の味付きの食べ物を楽しむこともなく。


終わっちまう。


だが、そこに。


「すみません」


「その男の子。わたしに売ってはいただけないでしょうか?」


「わたしの研究所。それにぴったりな男の子。売っていただけないでしょうか?」


聞いたことのない澄み切った声。


そんな声が響き、俺は見た。


「勿論、タダでとは言いません。どうでしょう? ここは」


「【国家予算】。数年分で」


そう言ってこちらを見据え、微笑む、漆黒の女神のような女性の姿。それをはっきりと。


逆光。


その中に、見てしまったのであった。



そして思った。



すげぇ美人! 好き。


と。


本気で思ってしまったのであった。

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