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俺の人生。支離滅裂。でも、楽しい。  作者: ケイ


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20/35

19

翌朝。

殺風景な飯を食うところ。


そこで。


「はい。これあげる」


ひょいっと、身を乗り出し。

俺の皿にりんごを置く、スズメ。

その手は震えてる。


慣れてねぇな、こいつ。

優しくすることに。


「おい」


「なに?」


「こりゃどういうつもりだ?」


皿の上。

そこに置かれた二つのりんご。

いつもならひとつ。だが、今はふたつ。


「なにって…その、昨日のお礼」


なんだこいつ。

結構しおらしいとこあるじゃねぇか。


だがな。


「あのな」


「な、なに?」


「お礼ってんなら、りんごよりパンをくれ。腹が膨れねぇだろ」


「やだ。パンはやだ。後からお腹空くもん」


皿を守るような格好。


「り、りんごで我慢してよ」


「ね? お願い」


お願いされちゃ仕方ねぇ。

大目に見てやる。


りんごも甘くてうまいから、よしとする。


りんごを頬張る。

噛む。うまい。


「あのさ」


「なんだ?」


「昨日の夜のことなんだけど」


「あぁ」


「やっぱり。ノアがわたしの代わりに痛がるなんてダメだと思う」


まぁ、一理ある。


「だから、その」


「これからはもっと…わたしが痛みを我慢する。だから、ノアは。い、今まで通り」


「無理」


「俺は一度決めたことは覆さない主義だから」


それが、俺。

それが俺こと俺の信念。


「はい。終わり」


「それよかパンくれ」


「パン、パン。パンくれって」


「うぅ…パンだけはあげたくない。そ、ソーセージでゆるしてよ」


「いいぜ」


「い、いいんだ」


っと、そこに。


「ここ。いいかな?」


こ、この甘美なお声。

ままま。まさか。


「ま、マリアさま!!」


「マリアさん!!」


響く、俺とスズメの声。


それに。


にこり。


と、マリアは微笑む。

その手には、湯気があがるマグカップ。


「二人とも」


「朝から元気だね」


「「はい!!」」


ハモってしまう。


「うん」


「元気なのはとってもいいこと」


前に座ってくれる。

朝日に照らされる、黒のローブを纏ったそのお姿。


まさしく、黒の女神マリア様。


「ノアくん」


「はい!!」


「今日はお休みだったよね?」


「はい!! お優しいマリアさんからお休みをいただきました!!」


「うん。ゆっくりしてね」


にこり。


やべぇ。

相変わらずの反則的な美しさ。


「スズメは?」


「わ、わたしはその」


「昨日の夜。疲れたよね?」


「ちゃんとミてたよ」


ぴくっと震える、スズメ。


ん?

マリアさん昨日の夜のこと知ってんのか?


顔は笑っている。


だけど。

ま、瞬きしてない?

目の中にも光が無い。


でも、美しい。

なにをしても美しいとか、もしやこの人。

ほんとに女神なんじゃね?


見惚れる、俺。


そんな俺を尻目に、声が響く。


「ノアくんといっしょに」


「お休みしてもいいよ」


「スズメも疲れてると思うから」


「は、はい。ありがとうございます」


「うん。ゆっくり休んでね」


いつもの笑顔に戻る。


でも、俺は。


うーん。


どっちの笑顔も捨て難い。

マリアさんはなにをしても美しいからなぁ。


そんなことを考え、ずっとマリアさんを見つめることしかできないのであった。

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