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さぁ、来い。
って、この黒いヤツに意思とかあんのか?
威勢よく啖呵を切ったまではいい。
だが、この黒いヤツをどうやって?
「おい、スズメ」
「そいつを俺に寄越せ」
「ぎ、儀式が必要なの」
「だ、だけど…い、いたいから無理」
は?
早速八方塞がりじゃねぇか。
「無理っておまえ。それを言ったらおしまいだろ」
「で、でも方法はある」
冷や汗まみれの顔。
その顔。それはまるで、拷問にかけられている人そのもの。
「ならはやくその方法を言えって!!」
「う、うるさい!!」
「その四文字を吐くより前に言うべきことがあるだろ!? いい加減にしろ」
一瞬。
こちらを睨む、スズメ。
なんだその涙目。
そんな目で見られても可哀想なだけだぞ。
そして。
「こ、コレにも意思がある。だ、だから」
「わ、わたしより。あんたのほうを痛めつけたいと思ったらーーいっ、いたい!! いたい!!」
そ、そうか。
なら、ここは。
「おい、黒いヤツ」
「そんなちっこい奴を痛ぶるより」
「俺を痛ぶってみねぇか?」
中指を立ててみる。
「おらおら」
「もしかしてビビってんのか? こいつ痛がってくれなさそう…とか思ってんのか?」
ぴくっ
お?
「いたい…いたい…いたい」
スズメの声が少し静かになったぞ。
よ、よし。
「マカイのタネ。略してマタネ」
「ま、マタネって…ば、バカすぎ」
少しだけ、安心したような顔。
うるせぇ、スズメ。
余計な口を挟むな。
俺の煽りに陰りがでるだろ。
安心して、俺にまかせとけ。
なんとか平静を保つ。
そして、続ける。
「てめぇ悔しくないのか?」
「俺みてぇな奴に小馬鹿にされて」
「痛めつけてやりてぇって思わねぇか?」
「俺なら思うね」
「そうやって"痛めつける力"があったらな」
瞬間。
スズメの身。
それにまとわりついていた黒いモノが解ける。
そして。
「ダレがてめぇみてぇなヤツを。イタめつけたいと思う?」
「か弱い少女がいたガルさま。それこそ、至高」
「オトコに興味なんてナイ」
「たまたま。この女が、ワレらに選ばれたダケ。そして」
「勝手に力をつかわせて」
「代償を払ってモラっているだけだ」
黒いナニカ。
そいつらが長い影になって話してくる。
えっ?
こ、こいつら話せるの?
て、てっきり。たたた。ただの化け物かと思ってたんだけど。
「お、おい」
すやすや。
スズメぇ。
こ、この女ぁ…痛みから解放されて寝てやがる。
くそっ。
後から覚えてろよ。
「だが、オトコぉ」
「オマエだけはユルさない」
「我らをアオったこと」
「後悔させてやるからナ」
「は? 後悔すんのはてめぇらだろ?」
両手を広げ。
「こっちとら、ガキの頃から色んな痛みを経験して再生してんだよーー舐めんなよ?」
呼応し、俺にまとわりつく黒いナニカ。
貫く色々な痛み。
頭の中に響く、耳障りなマタネたちの嗤い声。
しかし。
俺は吐き捨てる。
「この程度の痛み」
「再生してやるよ」
湧き上がる痛み。
それを俺は片っ端から、なおしていく。
痛み?
んなもん。
感じる前に再生しちまえば、問題ねぇ。
だろ?
そう胸中で呟く、俺。
その顔はきっと笑っていたに違いない。
再生して。再生して。
再生しまくる。
それが俺のーー
やり方だからな。




