―第0️⃣9️⃣8️⃣話― 【断酒ダイエット】今日から、三ヶ月——そして初日に、回転寿司。
わたしには、三年前から、毎年三ヶ月間だけ、続けていることがあります。
ダイエットです。
毎年、十月末頃に人間ドックを受けるので、それに備えて、始めるものです。独自のやり方なので、万人に効くとは言いませんが——まず、結果からお伝えすると。この三年で、約二十キロ、痩せました。
■ まずは、結果から
軽いリバウンドはあるものの、ほぼ順調に、身を引き締めてきています。家族からの評判も、上々です。
一年の流れで言えば、三ヶ月で約十キロ落とし、そこからの九ヶ月で、緩やかに体重が戻る。三キロほど戻ったところで、また十キロ痩せる。それを、繰り返してきた感じです。
では、いったい、どんなダイエットなのか。
■ 正体は、「断酒ダイエット」
「断酒ダイエット」なのです。
いや、酒を飲まないだけのダイエットって……と、思われるかもしれません。ですが、これには、理由があるのです。
もともと、人間ドックの前の一ヶ月ほどは、お酒を控えめにしていました。しかし、血液検査の結果、肝臓の数値が、少しばかりオーバー気味。簡単に言えば、脂肪肝だと、言われ続けてきたのです。
■ 肝臓は、正直だった
人間ドックのたび、先生は「お酒を控えめにしたらね」と、しきりに仰います。
確かに、わたしの酒量は、多い。体が大きいこともあり、飲むときには、かなりの量が入ります。その分、アルコールを分解するため、肝臓はフル回転。数値にも響きますし、肝臓が本来やるべき仕事ができず、そこに脂肪が溜まっていく、という具合でした。
そこで、ダメ元で、二ヶ月間、やめてみたのです。
すると——見事に、肝臓の数値が改善。脂肪の層も、薄くなっていました。
先生も驚いて、何をしたのかと、尋ねてきます。正直に「二ヶ月、断酒しました」と伝えると、たいそう驚かれて、なるほどという理由を、話してくださいました。
いわく。お酒を習慣的に飲む人は、その誘惑——言ってしまえば、軽い依存から、なかなか逃れられない。自分の意志だけで飲まないでいるのは、難しいのだ、と。そして、もし、それができたなら。肝臓は、修復のできる臓器。本来の「脂肪をエネルギーに変える」仕事だけをさせていれば、脂肪肝には、ならなくなる。
それを叶えられたのは、大きいですよ。続けたら、もっと痩せますよ——と、嬉しい言葉まで、投げかけてもらえたのです。
■ なぜ、休肝日にしないのか
ここで、普通の人なら。「よし、これからは休肝日を作って、飲む日と飲まない日で、楽しもう」と、考えるかもしれません。
しかし、わたしは、極端な性格なのです。
飲み始めたら、ついつい、飲み続けてしまう。休肝日も、「今日は本当は休肝日だけど、明日と明後日、まとめて取ればいい」と、ズルズル先延ばしにして、結局、作れない。元の木阿弥、というわけです。
そこで、わたしは、三ヶ月間の「ダイエット宣言」を、家族にするのです。
この間、酒は飲まない。積極的に、体を動かす。そう家族に宣言することで——お父さんとして、恥ずかしいところは、見せられない。意志の弱さを、家族に対する虚栄心で、なんとか塗り固めて、持ちこたえる。そういう作戦に、持ち込むわけです。
■ そして、今年も宣言する
それを始めて、三年。毎年、体重は戻り、肝臓の数値も、良くなっています。
そして今年も、八月一日から、始めました。家族に、高らかに宣言します。
「今日から三ヶ月、断酒ダイエットを始めるからな」
普通のご家庭なら、どうでしょう。
「お父さん、頑張ってね」
「毎年すごいね。私にはできないわ」
そんな、甘くて優しい言葉が、並ぶのでしょうか。
■ ダイエット初日に、回転寿司
我が家では、こうでした。
「ふ〜ん、あっそ。……とりあえず、回転寿司、今日行くから。予約よろしく」
ダイエット宣言をした、まさに、その日に。回転寿司です。
家族は、美味しそうに、次々と皿を重ねていく。わたしは——ガリを食べながら、ひたすら、お茶を飲むのでした。
お酒の誘惑に打ち勝つことよりも。まずは、家族の協力を勝ち取ることのほうが。ダイエットの、一番の近道なのかもしれません。




