―第0️⃣9️⃣5️⃣話― 【地震・二日目】買い出し——見知った街で、思うこと。
昨日の地震の被害が、少しずつ、判明し始めました。
■ 見知った場所で
何より大きな被害は、市民の憩いの場でもあった、あのショッピングモールで起きた、爆発事故でしょう。
何度も足を運んだ店内が、テレビに映る。人々が避難していく姿が、映る。それが、遠く離れた見知らぬ土地ではなく、勝手知ったる場所であるだけに——見ているだけで、恐怖が、増していきます。
そして、その爆発によって、尊い命が、失われたとも聞きました。
もしかしたら、あの場所で、私が接客を受けたことのある方かもしれない。名前は知らずとも、顔だけは見知った方だったかもしれない。そう思うと、胸が、張り裂けそうになります。
■ 余震と、猫
余震も、続いています。
昨晩も、眠っている間に、何度も「ミシッ」「グラッ」と来ました。慣れてきたのか、揺れていない時でも、なんとなく揺れているような気がする。少し不思議な感覚が、ずっと続いています。
猫たちも、昨日は、ひどく不安そうにしていました。ですが今日は、余震が来ても、いくらか平気な顔をしている。少しずつ、いつもの調子を、取り戻しつつあるようです。
■ 買い出しに出て
お店の様子も、私の住むあたりは、大丈夫でした。
ただ、店内では、お酒などのビン類が割れて、商品が散乱したのでしょう。朝は臨時休業し、午後二時過ぎから開店するなど、ずいぶんと苦労をされていました。一部の商品が入荷しておらず、少しだけ、品薄な棚も見受けられます。
それでも——十年前の、熊本地震の時に比べれば。人々に、どこか余裕があるように感じました。あの時のような、殺伐とした空気はない。買い占めに走るような雰囲気も、ありません。
……もっとも、そうでない人も、いるにはいました。
お店が「一家族二本まで」と制限をかけている水を、夫婦二人で来て、四本、買おうとしている。店員さんが「一家族二本でお願いします」と伝えても、「家族じゃなか。同居人たい」と言って、平然と持っていく。
見た目は、会社のお偉いさんのような、きちんとした身なりの方でした。それだけに、なんとも、やるせない気持ちになります。混乱もない中で、こういうことを、平気でしてしまう。残念で、仕方がありません。
ただ、逆に言えば。街全体で目についた綻びは、そのくらいのものでした。前回の熊本地震のように、本震が遅れてやってくる、ということさえなければ。混乱は、最小限で済むのではないか——そう思えるくらいには、皆、落ち着いていたのです。
■ 祈るばかり
被害の全容が明らかになるほどに、失われた命のことに、心が痛みます。
どうか、今分かっている以上の被害が、これ以上、出ませんように。
今はただ、それを、祈るばかりです。




