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めこねこの日々のあれこれ  作者: めこねこ


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―第0️⃣6️⃣8️⃣話― 【ひとまず安心】猫の健康——チャトラン、命がけの「ご馳走大作戦」。

先日、猫のチャトランが体調を崩し、動物病院に連れていきました。


わが家で一番の食いしん坊が、食欲を一気になくし、ご飯を食べようとしない。


好物のシーバに、とろりとしたカリカリを混ぜて出しても、食べない。鶏の唐揚げを作っても、寄ってこない。あの、ちゅ〜るにさえ、興味を示さない。


そして、ひどい下痢と、嘔吐を繰り返す。(すみません、食事中の方がいたら)


心配で心配で、動物病院へ。


けれど、触診や見た目の診察では、悪いところが分からない。「人間ドックならぬ、猫ドックで、原因を探りましょう」ということになり、精密検査です。レントゲン、エコー、血液検査。ありとあらゆる検査をしても——原因は、不明。


とにかく元気を取り戻すために、と、栄養剤の点滴に、吐き気止め、下痢止めの注射。しかし、改善されない。結局、同じ処置を三回受けましたが、それでも、まったく食事を口にしてくれません。


検査に、数万円。治療が、一回あたり一万円。気づけば、十万円近い治療費です。

これを続けていくのは、さすがに厳しい。わが家に、じわじわと暗い影が落ち始めました。



■ 救世主は、一本のちゅ〜る


先生から「いろいろと、食べ物を変えてみてください」と言われ、私はペットフードコーナーを、何度も何度も見に行きました。


ちゅ〜るに見向きもしなかったので、ウェットフードばかりを物色していたのですが——ふと、目に留まった商品があります。


ちゅ〜るの棚に、見たことのないパッケージ。


その名も、「エナジーちゅ〜る」。どうやら、猫用の、ちゅ〜る型栄養補助食のようです。


ダメ元で、これをあげてみました。


すると、まあ、食いつきのいいこと。

一気に一本を平らげたあと、物欲しそうに、すり寄ってくる。じゃあ、ともう一本。これも、ぺろり。え、と思ってもう一本用意すると、これもまた、ぺろり。


一気に、三本を平らげたのです。


そこからでした。劇的に、食欲が戻ったのは。


エナジーちゅ〜るを、それはもう美味しそうに、ガツガツと食べていく。三日後には、体重が二〇〇グラムほど増えました。ならばと、試しに大好きなシーバをあげてみると、これまた、食べ始める。一週間で、五〇〇グラム、戻りました。


今では、下痢も嘔吐もすっかりなくなり、体調は元通り。わが家に、ようやく安堵が訪れたのでした。



■ 家族会議「あれは、何だったのか」


さて。安堵するのはいいとして、いったい、何が原因だったのか。


家族会議が、始まりました。


まず挙がったのが、アイス疑惑。チャトランはアイスが好きで、家族が食べているとねだってくる。その可愛さに負けて、つい少しだけ、分けてあげていたのです。これが悪かったのではないか、と。


ただ——あげていたのは、溶けたのをペロリと舐めさせる程度。キンキンに冷えたものを食べさせていたわけではないので、完全に食欲をなくすほどの理由としては、少し弱い気もする。(もちろん、人と猫は違いますから、一概には言えませんが)


次に浮上したのが、盗み食い疑惑。私たちの知らないところで、虫か何かを食べたのでは、と。妻の友人の家の猫に、セミか何かを食べてお腹を壊した子がいるらしいのです。しかし、今の時期にセミはいませんし、例の「黒い奴ら」も、まだ出てきていません。


すると、妻が、ぼそりと言いました。


わが家全員が、内心思っていながら、口に出さずにいたことを。


「……仮病じゃ、ないわよね?」



■ 妻と猫の、根比べ


実は、チャトランが食欲をなくす少し前。わが家のご飯事情に、ちょっとした変化があったのです。


妻の勤めるパート先で、なかなか売れないウェットのキャットフードが、従業員向けに激安販売されました。妻は、これを大量に購入。わが家の猫たちに、供されることになったのです。


いつものカリカリを半分に減らし、残り半分を、このウェットに置き換える。


しかし、売れ残るだけのことはあり、食いつきが、実に悪い。チャトランは速攻で見向きもせず、彼女と食い意地で双璧をなすマロンでさえ、半分しか食べない。


それでも、「これしかないぞ」と、意地で出し続ける、妻。

こうして、妻と猫たちの、根比べが始まったのです。


そして——今回の、チャトランの食欲不振。


妻は、こう言いました。

「これは……命がけの、抗議活動だったんじゃないかしら」


さすがに反省したのか、妻は「安かろう悪かろうは、これからは改める」と、殊勝なことを口にするのでした。



■ 命がけの、ご馳走大作戦


現在、チャトランは普通にご飯を食べ、体重も元に戻り、すっかり元気にしています。


その満ち足りた姿を見て、私は思うのです。

いや、あれは「抗議活動」ではなかったのではないか、と。


というのも今、「今また食欲を落とされては大変だ」と、チャトランにだけ、ちょっと贅沢なシーバに、ちゅ〜るに、エキスの染み染みたカリカリにと、複数のご馳走を混ぜ込んだ「特別食」を出しているのです。


それを、実に美味しそうに、平らげていく。


そう。彼女は、抗議していたのではない。

命がけで、この「特別待遇」を勝ち取ろうとしたのではないか——。


……いえ。本当は、何かの病気だったのでしょう。原因不明とはいえ、あれだけ弱っていたのですから。それは、分かっているのです。

分かっては、いるのですが。


もし。この特別食から、少しずつ、また皆と同じご飯に戻していって——そのタイミングで、再び、パッタリと食欲をなくすようなことがあれば。


その時は。

本格的に、疑うしかありません。

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