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好きになりすぎるのは、悪いことですか  作者: ネロ
日常編

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僅かな後悔

理央がソファでスマホをいじりながら、

「ねえ柊くん、この前の中学同窓会の写真、みんな送ってくれたよ。見てみよっか?」

って言ってきた。

柊はキッチンで皿を洗いながら、

「……うん、見よう」

と答えたけど、胸の奥に、ほんの僅かな棘のようなものが刺さった。

同窓会の写真を見ながら理央が

「瑶季さん、可愛いね〜。柊くん、瑶季さんと中学の頃めっちゃ仲良かったんだよね?」

って笑う。

柊は

「……うん。あの頃は、毎日話してた」

と、懐かしそうに答えた。

でも心の中で、

「もっと瑶季との写真があれば……」

という思いが浮かぶ。


大学入学直前に、瑶季とのトーク履歴や一緒に撮った写真、卒業式のツーショットを、すべて削除したこと。

あのとき、瑶季への執着を振り切るために、

血反吐を吐くような思いで消した。

今は、理央が一番大切な人だ。

瑶季も海月先輩も、完全に過去の思い出として、痛みなく振り返られるようになった。

でも、柊は元来、過去の思い出を大切にするタイプだ。

たまに、昔を懐かしむように、瑶季とのエピソードを振り返りたくなる。

でも、あのときすべて消去したために、トーク履歴や写真は見返せなくなっている。

それが、ほんの僅かな後悔……。


理央が柊の表情に気づいて、

「どうしたの? なんか暗い顔」

って聞いてきた。

柊は洗い物を終えて、理央の隣に座り、少し迷ってから、

「……少し、後悔してるんだ」

と話した。

「大学入学前に、瑶季との写真やトーク、全部削除したこと。

あのときは、瑶季への執着を無理矢理断ち切りたくて、身を断つような思いで消したけど……

今は、瑶季のことも痛みなく思い出せるようになった。

ただの良き友人として、懐かしく振り返れるのに、あの思い出の証拠が何も残ってないのが、少し寂しいというか……後悔してる」


理央は少し考えて、

「そっか……柊くん、過去の思い出大事にするタイプだもんね。

でもさ、あのとき削除しなかったら、今も瑶季さんへの執着で苦しんでたかもよ?

削除したからこそ、海月先輩のこともあったし、私に出会えて、今こうして一緒にいられるんだと思う」

って、優しく言った。

柊は

「……うん、そうだな。理央がいてくれて、ほんとに幸せだよ」

と、理央の肩を抱き寄せた。

「ふふ、私も。過去は過去で、大事だけど、今が一番大事だからね」


柊の僅かな後悔は、理央の言葉で、少し溶けた。

瑶季との思い出は、写真がなくても、心の中に残っている。

今は、理央との「今」が、一番の宝物だ。


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