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好きになりすぎるのは、悪いことですか  作者: ネロ
社会人編

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2年目

社会人2年目に入った柊は、仕事にも少しずつ慣れてきた。

残業は相変わらず多いが、

「これくらいなら耐えられる」

という感覚が身についてきた。

でも、心のどこかで、毎日のように理央のことを考えている自分がいる。

理央の大学院2年生としての忙しさを知っているから、

「今は邪魔しちゃダメ」

と自分を抑えつつも、週末の予定が空くとすぐに

「今週末、空いてる?」

とLINEを送ってしまう。

理央は

「空いてるよ〜! 何する?」

と、いつも明るく返してくれる。

その一言だけで、柊の1週間が救われる。

でも、関係に進展はない。

2人で食事に行っても、映画を見に行っても、理央の部屋で晩酌して泊まっても、「友達」としての距離は変わらない。

理央は

「柊くん、今日も疲れてるでしょ?肩揉んであげるよ」

って言って、柊の肩を揉んでくれる。

柊は

「ありがとう……理央の手、気持ちいい」

って返すけど、「好きだ」とは言えない。

言ったら、この距離が壊れるかもしれない。

理央を失ったら、今度こそ立ち直れないかもしれない。

その恐怖が、言葉を飲み込んでしまう。


一方、理央も、少しずつ変わり始めていた。

大学院2年生の理央は、研究に追われながらも、柊との時間を大切にしている。

柊が

「今日も残業でクタクタ……」

とLINEしてくるとすぐに

「うち来なよ。ご飯作って待ってる」

と返す。

柊が来ると、一緒にご飯を食べ、ビールを飲み、ソファで肩を寄せ合ってYouTubeを見る。

理央は

「柊くん、最近ちょっと大人っぽくなったよね。スーツ似合うよ」

って笑うけど、その言葉の裏で、自分の胸が少しざわついていることに気づき始めていた。

柊が疲れた顔で

「理央がいてくれて、ほんとに助かる」

と言うたび、理央は

「私も、柊くんがいてくれて嬉しいよ」

と返す。

でも、その「嬉しい」が、友達としてだけのものじゃなくなっていることに、理央自身が戸惑い始めていた。


ある土曜の夜、いつものように理央の部屋で晩酌。

柊はビールを飲みながら、

「理央、俺、社会人になってから、理央に会う時間が一番幸せだわ」

って、ぽつりと言った。

理央はグラスを止めて、

「……私も、だよ」

って、小さく答えた。

その一瞬、2人の間に微かな緊張が走った。

柊は「理央……」と名前を呼んで、理央の目を見た。

理央も、柊の目を見つめ返した。

でも、どちらも、次の言葉を言えなかった。

理央は慌てて「ほら、ビールもう1本開けよ!」って誤魔化して、

柊も「……うん」って頷いて、グラスを合わせた。


2人の関係は、まだ「友達」のまま。

でも、お互いの心に「友達以上」のものが静かに芽生え始めている。

柊は「理央を失いたくない」という恐怖で告白できない。

理央は「柊くんを友達以上のものにしたら、今までの関係が変わってしまう」

という不安で、踏み出せない。

この微妙な距離が2人を幸せにし、同時に苦しめ続けている。


社会人2年目。

柊は、理央との時間を何よりも大切にしながら、「好きだ」という言葉をまだ、言えない。


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