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好きになりすぎるのは、悪いことですか  作者: ネロ
社会人編

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67/77

映画

9月のある土曜日、朝8:30。

駅前の映画館で柊は少し早めに着いて、スマホをいじりながら待っていた。

9時からの上映しかないコテコテの恋愛映画。

女子高生が好みそうな、王道の胸キュン展開と涙腺崩壊のラストがウリらしい。

柊自身も予告編を見て「ちょっと見てみたい」と思ったけど、恋愛映画を1人で観に行くのは、さすがに気恥ずかしくて躊躇していた。

そこで、

「理央なら一緒に観てくれるかも」

という口実で誘った。

本音は7割、理央と一緒にいたい。

映画が見たい気持ちは3割くらい。

でも、理央は

「え、恋愛映画!? なんか意外なチョイスだね~

でも、いいじゃん、行く行く〜♡」

と即OKしてくれた。

「朝早いけど大丈夫?」

「平気平気! 柊くんと映画なんて久しぶりだし楽しみ〜」

8:28頃、理央が小走りでやってきた。

秋らしいカーディガンにデニム、

髪を軽く巻いて、いつもより少しおしゃれ。

「おはよー! 待った?」

「いや、今来たところ」

って、ちょっと照れながら答えた。

理央は

「ふふ、朝から柊くんかっこいいね〜。

社会人スーツ慣れた?」

ってからかう。

柊は

「まだ慣れない……スーツ着てると、なんか俺じゃないみたい」

と苦笑い。

理央は

「でもなんか似合いそう。大人っぽくなった」

って笑って、

チケット売り場に向かった。

チケットを買って、朝の映画館は空いていて、2人は真ん中あたりに並んで座った。

予告が始まる前、理央がポップコーンを分けながら、

「この映画、めっちゃ泣けるらしいよ?柊くん、泣いたらどうするの(笑)」

って小声で言う。

柊は

「泣かないよ……理央こそ、絶対泣くでしょ」

と返す。

理央は

「負けないもん!賭けようか、負けた方奢り!」

って、いつものノリ。

映画が始まった。王道の恋愛ストーリー。

高校生の男女が出会い、すれ違い、誤解が解けて、最後に大号泣の告白シーン。

理央は案の定、ハンカチを握りしめて涙ぐんでいた。

柊も、胸が熱くなって、目が潤んだ。

でも、泣いたのは映画のせいだけじゃなかった。

隣に理央がいる安心感。

理央の肩が少し触れる距離。

理央の小さな嗚咽。

全部が、

「理央と一緒にいる」

という幸せを、強く感じさせた。

映画が終わって、2人は劇場を出た。

理央は目を赤くしながら、

「やばい……泣きすぎて目腫れた……柊くんは泣かなかったの?」

って聞いてくる。

柊は

「……ちょっとだけ」

って正直に答えた。

理央は

「ふふ、素直になったね」

って笑って、

「じゃあ、負けだね。次は柊くんが奢り!」

と宣言した。


その後、2人は近くのカフェに入って、映画の感想を話した。

「ラストの告白、よかったよね」

「うん……俺も、ああいう風に言えてたらな……」

って柊がぽつりと言うと、

理央は

「柊くん、言えるよ。いつか、絶対」

って優しく言った。

帰り道、

理央が

「今日、誘ってくれてありがとう。柊くんと映画、楽しかった」

って笑う。

柊は

「……俺も。理央と一緒で楽しかった」

って、初めて素直に言えた。

この映画デート(?)が、柊にとって、理央への想いをさらに強くする一日になった。

でも、まだ、「好きです」とは言えない。

理央を失うのが、怖すぎるから。

社会人としての日々が続く中、理央との時間は、柊の心の支えであり、同時に苦しみの源でもあった。


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