表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
好きになりすぎるのは、悪いことですか  作者: ネロ
大学時代編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

43/77

プチデート

柊は理央のアドバイスをしっかり胸に刻み、予算を3000〜5000円程度に抑えつつ、

「気持ちが伝わるけど重くなりすぎない」ものを選んだ。

最終的に決めたのは、スターバックスのギフトカード(3000円分)

シンプルで可愛い桜柄のハンカチ(誕生石カラーのピンクがかった色味)

小さなメッセージカード(手書きで「いつもありがとうございます。海月先輩の笑顔に元気をもらってます」)


これを小さな紙袋にまとめて、理央に「これで大丈夫かな?」と見せると、

理央は「完璧! これなら喜ぶよ。重くならないし、毎日使ってもらえるものもあるし」

と太鼓判を押してくれた。誕生日当日(3月3日)は、海月先輩から

「ごめんね〜、今日は予定が入っちゃってて……」

と丁寧に断られた。

柊は少し胸が痛んだけど、

「じゃあ、後日でもいいですか?」

と勇気を出して返信すると、

「もちろん! ありがとう♡ じゃあ3/15とかどう?」

と返事が来た。

柊はスマホを握りしめて、部屋の中で小さくガッツポーズをした。

3月15日の午後。

大学近くのカフェで待ち合わせ。

海月先輩は普段着で現れた。

白いニットにデニム、軽く巻いた髪が春らしくて、柊は一瞬息を飲んだ。

「柊くん、お待たせ〜! 今日はありがとうね♡」

柊は「いえ……こちらこそ」と言いながら、心臓が爆発しそうだった。

これは、プチデートだ。

海月先輩と二人きりで、カフェで話す。

こんな時間が来るなんて、想像もしていなかった。


カフェでは2時間くらい話した。

海月先輩の卒論、大学院、部活、バイト、卒業旅行先での話、他にも他愛無い話がたくさん続いた。

柊は緊張しながらも、

「先輩の研究、面白そうですね」

「こらからも、また会えますよね?」

と、少しずつ踏み込んだ言葉を織り交ぜた。

海月先輩は笑って、

「もちろん! 大学にはいるしね~。部活もたまには顔出すつもりだよ。柊くんの試合の応援とか行っちゃおうかな♡」

そんな言葉に、柊は胸が熱くなった。

話の終わり頃、柊は紙袋を差し出した。

「…これ、誕生日プレゼントです。遅くなりましたが…」

海月先輩は目を丸くして、

「え、ほんとに? ありがとう〜!」

袋を開けて、中身を見た海月先輩は、

「わぁ、スタバのカード! 最近ハマってるんだよね〜。

ハンカチも可愛い! 桜の色、春っぽくて好き♡

メッセージカード……『いつもありがとうございます。海月先輩の笑顔に元気をもらってます』……

柊くん、こんなの書いてくれたの? 嬉しい……ありがとう」

海月先輩は本当に喜んでくれていて、柊は胸が熱くなって、言葉が出なかった。

「よかった……喜んでもらえて」

すると、海月先輩が自分のバッグから小さな箱を取り出した。

「実は、私からも……柊くんの誕生日(3/12)、覚えてたよ。

遅れちゃったけど、これ、受け取ってくれる?」

箱を開けると、中にはシンプルな腕時計。

シルバーのベルトに、黒い文字盤。

スポーツタイプだけど、少しおしゃれで、大学生が日常的に使えるデザイン。

柊は、呆然として、

「…え、先輩、これ……俺に?」

海月先輩は少し照れくさそうに、

「うん。柊くん、いつも練習頑張ってるし、なんか……お祝いしたくて。似合うかな?」

柊は、震える手で腕時計を受け取った。

柊は言葉が出ない。

海月先輩が、

俺の誕生日を覚えていて、

プレゼントを用意してくれていた。

しかも、腕時計。

毎日つけるもの。

毎日、海月先輩のことを思い出すもの。

「…ありがとうございます。すごく、嬉しいです」

声が震えた。

海月先輩は

「似合うかな? 早くつけてみて〜!」

って促してきて、柊は震える手で腕に着けた。

ぴったりだった。


カフェを出た後、柊はすぐに理央にLINEを送った。

『理央、今日海月先輩にプレゼント渡せた。喜んでくれたみたい。

それに……先輩から腕時計もらった。俺の誕生日覚えててくれたみたい……』

理央からはすぐに返事が来た。

理央

『えええ!! マジで!?

海月先輩、覚えててくれたんだ! やったじゃん!!

腕時計って……めっちゃ良いじゃん!

でも、喜びすぎて重くならないようにね〜』

柊は、スマホを握りしめて、『ありがとう』とだけ返した。


その日から、柊は外出時には必ずその腕時計をつけるようになった。

部活に行くときも、講義中も、バイト中も。

視界の端に光る針を見るたび、海月先輩の笑顔が浮かぶ。

「先輩が選んでくれた」という事実が、胸を温かくする。

でも、同時に、

「海月先輩は俺のこと、どう思ってるんだろう……」

という疑問が、胸の奥で疼き続ける。

柊の想いは、どんどん膨らむ。



つい1年前まで病的なまでに執着していた瑶季のことは、既に全く思い出さなくなっていた。

3月6日、瑶季の誕生日が過ぎても、柊は全く気づかなかった。

忘れていた。

瑶季の名前を思い浮かべることも、ほとんどなくなっていた。

海月先輩の存在が、瑶季の記憶を完全に上書きした。

だがそれは、執着の矛先が、ただ相手を変えただけ。


恋心、嫉妬、独占欲——

すべてが、海月先輩に向かって、静かに暴走し続ける。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ