82. バサルク王宮編(25) 願い
※主な登場人物は、作品あらすじ欄にまとめています。
ペルラの熱は下がったが、相変わらずほとんど食べられなかった。
あれほど楽しみにしていたパイナップルのスープも、口にしたのはわずかだった。
それから数日が経っても、食事の量は戻らない。
オーニチェは回廊を歩きながら、何度目か分からないため息をついた。
ディアバスと話そう。
何を話すのかは、まだ決めていなかった。
ただ、ペルラのことを話したかった。
ディアバスの部屋の前まで来ると、中から話し声が聞こえた。
近衛がオーニチェに気づいて姿勢を正した。
オーニチェは片手を上げてそれを制した。
ディアバスの声が聞こえた。
「ペルラ、どうだった?」
もう一人の声が答えた。
「寝てた」
「そうか。あの面会以来、俺は会ってないけど……熱は下がったんだろ?」
「ああ」
「もう少し持ち直したら、結婚式か。
俺もついに自由の身だな」
「そうだな」
「バサルクにもだいぶ慣れたし。
ここでの暮らしも結構気に入ってる」
少し間が空いた。
「ペルラも、きっと良くなる」
オーニチェは静かに拳を握ると、踵を返し、来た道を戻っていった。
◇
しばらくして、ヴィレンスが口を開いた。
「でもさぁ……」
「何だよ」
「ペルラ、ガリガリだぞ」
「ガリガリって……そこまでじゃ。って、お前、ペルラの何を見た?」
「……顔」
ヴィレンスは呆れたようにディアバスを見た。




