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53. ジュニパー編⑩ 王子の部屋

※主な登場人物は、作品あらすじ欄にまとめています。

ジュニパー・ムーンストーン王子の部屋は、寮の端にある。


ディアバスとヴィレンスは、夜の静かな廊下を早足で歩いていく。


ヴィレンスが不意に口を開いた。


「ディアバス・バサルク」


急に本名を呼ばれたディアバスは驚いて、ヴィレンスを見た。


「何があっても抑えろ」


ヴィレンスは無表情のまま前を向いていた。


「……わかった」


全て吞み込んで、ディアバスは返事した。


ヴィレンスは王太子の護衛だから、ディアバスの正体を知っていたとしても、おかしくない。


そもそも、アーバス・セルドの偽名と身元を用意したのは、ムーンストーン王家だ。



ジュニパー王子の部屋に着いた。


入口の近衛2名が、ヴィレンスに敬礼する。


「開けろ」


ヴィレンスが言うと、すぐさまドアが開けられた。


ディアバスはヴィレンスの後について、部屋に入った。

一般生徒用の部屋と違い、中には何部屋もあった。

途中ですれ違った使用人が、壁に寄って頭を下げた。


突き当たりの部屋の前には、さらに近衛が立っていた。

近衛はヴィレンスに気づくと敬礼した。


「ヴィレンス殿」


「ジュニパー殿下はご在室か」


「はっ」


「入る」


「……はっ」


ヴィレンスは部屋に向かって、少し大きい声で言った。


「ヴィレンス・アゲート、失礼します」


近衛はドアを開けた。

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