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53. ジュニパー編⑩ 王子の部屋
※主な登場人物は、作品あらすじ欄にまとめています。
ジュニパー・ムーンストーン王子の部屋は、寮の端にある。
ディアバスとヴィレンスは、夜の静かな廊下を早足で歩いていく。
ヴィレンスが不意に口を開いた。
「ディアバス・バサルク」
急に本名を呼ばれたディアバスは驚いて、ヴィレンスを見た。
「何があっても抑えろ」
ヴィレンスは無表情のまま前を向いていた。
「……わかった」
全て吞み込んで、ディアバスは返事した。
ヴィレンスは王太子の護衛だから、ディアバスの正体を知っていたとしても、おかしくない。
そもそも、アーバス・セルドの偽名と身元を用意したのは、ムーンストーン王家だ。
◇
ジュニパー王子の部屋に着いた。
入口の近衛2名が、ヴィレンスに敬礼する。
「開けろ」
ヴィレンスが言うと、すぐさまドアが開けられた。
ディアバスはヴィレンスの後について、部屋に入った。
一般生徒用の部屋と違い、中には何部屋もあった。
途中ですれ違った使用人が、壁に寄って頭を下げた。
突き当たりの部屋の前には、さらに近衛が立っていた。
近衛はヴィレンスに気づくと敬礼した。
「ヴィレンス殿」
「ジュニパー殿下はご在室か」
「はっ」
「入る」
「……はっ」
ヴィレンスは部屋に向かって、少し大きい声で言った。
「ヴィレンス・アゲート、失礼します」
近衛はドアを開けた。




