52. ジュニパー編⑨ 夕食
※主な登場人物は、作品あらすじ欄にまとめています。
ディアバスは、寮のペルラの部屋で夕食の片づけを終えると、窓の外を見た。
もう真っ暗だった。
――ペルラの戻りがこんなに遅くなるなんて、おかしい。
そもそも、朝出かける時は、夕食はジュニパーとではなく、自室で食べると言っていた。
だから、ディアバスも待っていた。
しかし、夕食の時間には帰ってこなかった。
それはまあいい。
最近は絵のモデルの時間も長くなっていた。
夕食の時間までかかり、王子に食事に誘われて断りづらく、結局ジュニパーと食べることもあるだろう。
しかし、それにしても遅過ぎる。
いつもなら、ディアバスは夜の鍛錬を終える時間である。
寮から外出する時はいつもジュニパー側からディアバスに連絡があったから、ジュニパーの部屋にいるままなのだろう。
ペルラの部屋の一角に積み上げられた、ジュニパーからのドレスやら宝石やらの贈り物の山を、ディアバスはぼんやり眺めた。
多過ぎてしまいきれず、床に直に置いていた。
贈り物は毎日届いた。
もはや寮でも噂にならなくなっていた。
ジュニパーはペルラを大切にしているはずだった。
しかも、近衛も常についている。
――何の危ないことがある?
それでも、ただ待つという選択肢は取れそうになかった。
◇
ディアバスは、まずジュニパーの部屋に行ってみた。
呼ばれてもいないし事前申請もないのに王族と面会するのは難しいと、ディアバスも思っていたが、案の定であった。
その上、時間が夜である。
ジュニパーの部屋の入口の近衛に丁重に断られてしまった。
ペルラがいるかだけでも聞きたかったが、近衛は何も答えなかった。
ディアバスは困り果てたが、その時、脳裏にヴィレンスが思い浮かんだ。
ヴィレンスはシナモン王太子の専属護衛だが、所属は近衛だ。
ヴィレンスにこんな相談をするのは心苦しいが、他に相談できそうな人はいなかった。
アーバスことディアバスは息を吸い込むと、ヴィレンスの部屋をノックした。
「ヴィレンス、いるか?
アーバスだ。夜に悪いが、相談したいことがある」
ドアが開いた。
ラフな格好のヴィレンスが立っていた。
「寝るところ悪い。相談できるのがお前しかいなかった」
「何だ?」
「ペルラが戻ってこない」
ヴィレンスは、ディアバスを部屋に招き入れると、ドアを閉めた。
「時間と場所は?」
「朝にジュニパー様の部屋に行ったきり、戻ってきていない」
それを聞いて、ヴィレンスはため息をついた。
「さっき、殿下の部屋に行ったが、入れてもらえなかった。
まあ当然だろうが……。
しかし、ペルラがどうしているかだけでも知りたい」
ヴィレンスは近衛の制服を羽織った。
「悪いな」
「いや、いい。行くぞ」




