50. ジュニパー編⑦ 今度から
※主な登場人物は、作品あらすじ欄にまとめています。
寮のジュニパーの部屋で、ペルラは先日届いた宝石の話をしていた。
「そう、ごめんね。ペルラを困らせたかったわけじゃなかったんだ」
「あ、あの、大丈夫ですわ。でも、申し訳なくて……」
「今度から宝石は少しにしよう」
「あ、いえ、その」
「でも、つけてくれたんだね。ありがとう。うれしい。とてもすてきだよ」
ジュニパーはペルラを見ると目を細めた。
「ペルラのスケッチをしてもいい?」
「え?」
「この瞬間を留めておきたいんだ。一分でいいから描かせてくれない?」
「どうぞ。いいですわ」
ペルラは生まれて初めて絵のモデルをした。動いてはいけないと思うと、一分が長く感じられた。
「ほら、できた」
ジュニパーは鉛筆を置くと、スケッチをペルラに見せた。
「まぁ! 殿下はピアノだけではなく、絵もお上手なのですね。
何だか、自分の顔を絵で見るのは、不思議な感じがしますわ」
「そうだね。自分が見ている自分と、他人が見ている自分は違うらしいから、ちょっと不思議な感じがするのかもしれないね」
ジュニパーは立ち上がると、絵の具と筆を持ってきて、スケッチに軽く色を付け始めた。
ペルラは手持ち無沙汰になり、ジュニパーの部屋をさりげなく見回した。
「何だか、お部屋の雰囲気が変わりました……?」
「ああ、カーテンを変えたんです。衣替えで。
さすが、ペルラはよく気づきますね」
「新しいカーテン、すてきな青ですね」
「わかってくれますか。
どの青がいいか、悩みました。
この青が、ペルラが一番映える」
ジュニパーはスケッチから目を上げると、ペルラを見た。
「え、そうかしら……」
そういうものだろうか。
ペルラは返事に困った。
「そうです。
前の紫色のカーテンは処分しました。
紫色はペルラの瞳だけでいいですから」
ジュニパーはにっこり笑うと、再びスケッチに目を落とし、絵のペルラの瞳を塗り始めた。




